月周回宇宙ステーシに日本人1人搭乗へ アルテミス計画で合意
アルテミス計画で新設する月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」のイメージ=米航空宇宙局(NASA)提供
国際月探査「アルテミス計画」の一環で、2028年に完成予定の月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」に、日本人宇宙飛行士が1人搭乗することが決まった。永岡桂子文部科学相が18日、米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官とオンライン会談して合意した。
日本は20年代後半に日本人飛行士を月面に送ることを目指しているが、今回の合意は月面着陸のための搭乗とは別だという。その見返りに、日本は居住棟へのバッテリーや生命維持装置などの提供と、30年を目標に補給船による物資輸送(4トン)を担う。
米国が30年まで運用するとしている国際宇宙ステーション(ISS)についても、日本が30年までの運用に参加することも決まった。ISSは24年までの運用については全15カ国の参加国が合意しているが、期限を6年延長する米国の提案に賛同したのは日本が初めて。参加国で最も早く米国に歩調を合わせ、改めて日米の協調を示す狙いがあるとみられる。
文科省によると、参加国のうち欧州も今月下旬に参加に同意する見通し。ウクライナ侵攻で欧米との対立が深まるロシアは、24年以降は離脱する意向を表明したが、一転して協力する姿勢を見せるなど態度を明確にしていない。
ISSは1998年に建設が始まり、11年に完成した。日本は実験棟「きぼう」の建設や物資の輸送などで貢献している。一方で負担も大きく、これまでに投じた額は1兆円以上に上る。近年では平均して年間300億~400億円を拠出している。
アルテミス計画関連では、文科省の22年度当初予算(一部は21年度補正予算)だけでも新型補給船「HTV―X」の開発費などに938億円を計上した。
アルテミス計画の各国の負担割合は未定だが、日本は20年代後半に日本人飛行士を月に送ることを目指しており、さらに大きな負担を求められる可能性もある。ISSの運用とアルテミス計画が重なり、宇宙関連予算が膨らみ続けることが懸念される2022年11月18日
毎日新聞より