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超特大のブラックホールが、巨大銀河の内側に潜んでいた

Posted by moonrainbow on 21.2025 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
超特大のブラックホールが、重力レンズを作り出す巨大銀河の内側に潜んでいた

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2007年に撮影された重力レンズ「コズミック・ホースシュー」。その名の通り馬の蹄鉄のようだ
コズミック・ホースシュー NASA/ESA/Hubble

宇宙には、まるで魔法のような現象が存在する。そのひとつが重力レンズだ

この重力レンズによって、天文学者たちは通常では観測できないほど遠くの銀河や宇宙の構造を知ることができる。

 その代表的な例のひとつが馬の蹄鉄(ていてつ)型をした「コズミック・ホースシュ」だ。これは、地球から約55億光年先にある巨大な銀河「LRG 3-757」が、さらに奥の銀河の光を歪めて作り出したリング状の像である。

 新たな研究により、LRG 3-757銀河の中心には太陽の360億倍というとてつもない質量を持つ「極超大質量ブラックホール(ultra massive black hole)」が存在することが明らかになった。

「コズミック・ホースシュ」の中に超特大のブラックホールを発見
 銀河や恒星の重力は、ときにレンズのような効果を発揮することがある。これを「重力レンズ」という。

 アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は周囲の時空を歪める。すると、そこを通過する光の進路も曲がることになる。

 その結果、銀河や恒星の後ろに隠れて通常なら地球から見えないはずの天体の姿が見えることがある。これが重力レンズである。

 それが結ぶ像は、ときにリングのように美しいものもあり、これを特にアインシュタイン・リングという。

 しし座の方角へ55億光年離れた高光度赤外線銀河「LRG 3-757」の重力レンズは、まるで”馬の蹄鉄(ていてつ)”のような形をしている。そこからついた愛称が「コズミック・ホースシュー」である。

 LRG 3-757銀河はとても大きな銀河で、私たちが暮らす天の川銀河の約100倍の質量がある。じつのところ、これまでに観測された最大級の銀河のひとつだ。

 だが、今回の研究では、その巨大銀河の中心に、これまでで最大級のブラックホールが存在することが明らかになっている。

 そのブラックホールの質量は、太陽の360億倍。あまりの巨大さに「極超大質量ブラックホール(ultra massive black hole)」と呼ばれている。

 あらゆる巨大銀河の中心には、太陽質量の約100万倍~数百億倍もある怪物のようなブラックホールが存在する。それが「超大質量ブラックホール」だ。

 極超大質量ブラックホールは、超大質量ブラックホールの中でもとびきり大きなもの。厳密な定義はないが、一般には太陽質量の50億倍以上のものがそう呼ばれるのだという。

 これらは、それを宿している銀河と共に進化しており、両者には密接な結びつきがあると考えられている


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銀河のバルジ内(中心の膨らんだ部分)にある星々の「速度分散」と極超大質量ブラックホールの「質量」との関係を表したもの。その結びつきはかなり強固で、速度分散から超大質量ブラックホールの質量をかなり正確に知ることができるが、コズミック・ホースシューにある極超大質量ブラックホールはこの法則から逸脱している/Credit: arXiv (2025). DOI: 10.48550/arxiv.2502.13788

銀河と超大質量ブラックホールの法則から逸脱
 
今回の研究では、LRG 3-757銀河のバルジ内(中心の膨らんだ部分)にある星々の「速度分散」と、極超大質量ブラックホールの「質量」との相関関係が調べられている。

 速度分散とは、個々の星々が動くスピードが、そこにある星々の平均的なスピードに比べてどのくらいばらついているのか表すものだ。速度分散が大きいほど、星々は速く、かつランダムに移動しているということになる。

 じつはこの速度分散は、超大質量ブラックホールの質量とも関係していることが知られている。速度分散が大きいほど、銀河中心にある超大質量ブラックホールもまた大きいのだ。

 その結びつきはかなり強固なもので、速度分散から超大質量ブラックホールの質量をかなり正確に知ることができる。

 ところが、コズミック・ホースシューにある極超大質量ブラックホールの質量は、この相関関係から予測されるものよりもずっと大きかった。一般的な法則から逸脱しているのである。

 研究チームによると、こうした逸脱は、「銀河団中で最も明るい銀河(Brightest Cluster Galaxies)」では特に顕著で、LRG 3-757銀河の事例はそれを裏付けているという。

 ではこの逸脱は何が原因で起きているのだろうか? 研究チームは3つの可能性を考えている。

1. LRG 3-757銀河が「化石銀河群」の一部である可能性

 化石銀河群とは、中心に非常に大きな銀河が存在する大型の銀河群のことで、初期の銀河合体の残骸とされている。

 銀河の進化の終盤に差し掛かっており、大きな活動はない。だが過去に起きた銀河合体によって、一部の星々が追い出され、速度分散に影響した可能性がある。

2. LRG 3-757銀河が「スカウリング」を経験した可能性

 スカウリング(scouring)は、2つの巨大な銀河が合体し、中心部の星々の速度分散が影響を受ける現象のこと。

 この現象では、銀河中心部にあった星々が追い出され、星の速度分散が低下する。一方、超大質量ブラックホールの質量はほとんど変わらないので、法則から逸脱する。

3. 活動銀河核フィードバック

 銀河中心にある超大質量ブラックホールの中でも、特に活発に物質を飲み込んでいるものを「活動銀河核」という。

 活動銀河核から強力なジェットが噴出しているが、これは星の形成を抑制し、銀河中心部の構造を変化させる可能性がある。これが超大質量ブラックホールの成長と速度分散とのつながりを切り離すのかもしれない。

 こうした極超大質量ブラックホールの逸脱を理解するには、さらなる観測とより精緻なモデルが必要であるとのことだ。2023年に打ち上げられたESAのユークリッド宇宙望遠鏡の観測によって、その解明が進むと期待できるそうだ。

 この研究の未査読版は『arXiv』(2025年2月19日投稿)で閲覧できる

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:2025-03-1
カラパイアより

銀河系近くの大マゼラン雲に「超大質量ブラックホール」

Posted by moonrainbow on 17.2025 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
銀河系近くの大マゼラン雲に「超大質量ブラックホール」潜む、超高速星の観測が示唆

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銀河系の最も近くにある銀河(伴銀河)の1つ、大マゼラン雲(LMC)の画像。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡ガイア(Gaia)の観測データを用いて作成(ESA/Gaia/DPAC)

太陽系が属する天の川銀河(銀河系)の外にある最も近い超大質量ブラックホールが、地球からわずか約15万8000光年の距離に位置する矮小銀河の大マゼラン雲(LMC)内に存在することが判明した。南天の星座のかじき座とテーブルさん座の境界にあるLMCは、南半球の夜空では肉眼ではっきりと見ることができる

だが、LMCの超大質量ブラックホールの存在は、長年ずっと不明なままだった。銀河の中心にある可能性が高いが、正確な位置はまだはっきりとはわかっていない。

太陽の約60万倍の質量を持つこの超大質量ブラックホールの検出が可能になったのは、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡ミッション「ガイア(Gaia)計画」の観測データと、長年にわたる超高速星研究のおかげだ。

米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)によると、超高速星は、連星系(2つの恒星が重力的に結び付いた恒星系)が超大質量ブラックホールに近づきすぎた場合に生成される。ブラックホールの強烈な重力によって連星系は破壊され、離れ離れになった2つの恒星の一方がブラックホールに近接する軌道に捕捉される。もう一方の恒星は、超高速で弾き飛ばされるという。

天文学誌The Astrophysical Journalに掲載が受理された論文では、銀河系のハロー領域で発見されていた、重力の束縛から解放された超高速星の謎に対する唯一の解決策が、「LMC*」と命名された今回の新発見の超大質量ブラックホールであることを突き止めている。つまり、超高速星は間もなく銀河外に飛び出し、その先にあるボイド空間へと突入していく軌道に乗っているわけだ


論文の筆頭執筆者で、CfAの天文学者のジェシー・ハンは取材に応じた電子メールで、LMCは最も詳細に研究されている銀河の1つであるにもかかわらず、中心部に超大質量ブラックホールがあることの証拠が得られたのは今回が初めてだと語っている。

一連の証拠により、しし座の方向の空の領域で、超高速星が顕著に密集している「しし座密集集団(Leo Overdensity)」が見つかった。

ハンによると、この密集集団を構成する超高速星はすべてLMCまで軌道を遡れることが、今回の研究で明らかになった。そして、超高速星を発生させた超大質量ブラックホールが実際にLMC内にあると仮定すれば、空のまさにこの観測された位置に密集集団ができるのだと、ハンは説明している。

ハンによると、軌道をたどって調査した超高速星21個のうち9個はLMCを起源とするものだと、ハンと研究チームは確信を持って判定できる。7個は、銀河系の中心に位置する超大質量ブラックホールのいて座A*(Sgr A*)からたどることができる


超高速星がLMCの超大質量ブラックホールに起因

軌道の方向に基づくと、調査対象の超高速星の半数は、いて座A*を起源とすることはあり得ないと、研究チームは気づいた。超高速星の軌道は、LMCの方向を真っすぐに指し示していたという。

そのため、この星の密集集団は、LMCによる超高速星の生成に起因しているに違いないと、ハンと研究チームは結論づけた。これは、LMC内に超大質量ブラックホールが存在するに違いないことを意味する。

だが、LMCの超大質量ブラックホールの検出に、なぜこれほど時間がかかったのだろうか。

ハンによると、LMCは空で非常に大きく広がっており、さらには銀河の歪みが進行中であることから、その「中心」が明確に定まっていない。そのため、ブラックホールと直接的に関連する可能性のある、明らかな光子源がまだ見つかっていないという。だが、今回の研究では、超大質量ブラックホールによる超高速星の生成によってその存在の強力な証拠を見つけることができたと、ハンは指摘している


■まとめ

ハンによると、宇宙の他の場所にある矮小銀河にも今回のような巨大なブラックホールが存在する可能性があるかどうかについては、いまだに議論が続いている。これも銀河系の伴銀河の1つで、約20万光年の距離にある小マゼラン雲(SMC)にこれほど巨大なブラックホールがあることを示す証拠は今のところ存在しないという。

だが、銀河系のような大型の渦巻銀河には超大質量ブラックホールがあることは、以前から知られている。太陽の約400万倍の質量を持つ銀河系中心のいて座A*と比べると、新発見のLMC*は小さく見えてしまう


■次なる展開は?

ブラックホールに対応する可視光や電波、X線の発生源を見つけて、LMC*の位置を特定することだと、ハンは指摘する。LMC*が正確にどこにあるかと、LMC*を直接取り巻く領域がどうなっているかを知りたいと、ハンは話してるい

2025年3月12日
Forbes JAPANより

129億年前の超大質量ブラックホール付近に熱いガスを発見

Posted by moonrainbow on 16.2025 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
129億年前の超大質量ブラックホール付近に熱いガスを発見

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超大質量ブラックホールの想像図。中心にあるブラックホール付近から放たれるX線によって、周囲を取り巻くガスが熱されている。その円盤を横から観測すると、可視光線やX線では暗くなり、ブラックホールは観測の目から隠されてしまう(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), K. Tadaki et al.)

アルマ望遠鏡の高解像度観測により、129億年前の宇宙に存在する超大質量ブラックホール付近に熱いガスが発見された。隠れた超大質量ブラックホールを探るうえで有用な手段になると期待される

銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールに大量のガスや塵が落ち込むことによって強烈なエネルギーを放射し非常に明るく輝く天体は「クエーサー」と呼ばれ、遠方の宇宙で多く観測される。クエーサーを理解するうえでは、その中心付近の様子を知ることが重要だが、領域が小さいことに加えてガスの運動が複雑であるために、通常の観測で細かく知ることは難しい。また、ブラックホールを取り巻くガスや塵の円盤が地球から見て横向きである場合には、可視光線やX線では塵に遮られて観測ができない。

北海学園大学の但木謙一さんたちの研究チームは高いエネルギー状態にある一酸化炭素分子からの電波放射に着目し、129億光年彼方に位置する(129億年前の宇宙に存在する)太陽の10億倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールを、アルマ望遠鏡を用いて超高解像度で観測した。その結果、ブラックホールの近傍数百光年という領域に存在するガスの加熱状態を世界で初めて映し出すことに成功した。

高エネルギー状態にある一酸化炭素分子からの電波放射が強く検出されるには、ガスが相当高温でなければならないが、そのような加熱は若い星が放つ紫外線だけでは説明できない。但木さんたちは、ブラックホールを取り巻く降着円盤や、その上層にあるコロナと呼ばれる領域から放射される強烈なX線がガスを加熱し、通常の星形成領域では得られないほどの高いエネルギー状態に押し上げていると考えている。また、クエーサーが放出する激しい風や衝撃波もガスを加熱している可能性も考えられ、クエーサーの中心部は複数のメカニズムが入り混じる激しい環境であると示唆される。

今回用いられたアルマ望遠鏡による超高解像度の電波観測という手法は、可視光線やX線では観測できないブラックホールを探る強力な手段となる。今後、同様の観測を広範囲に行うことで、宇宙初期における超大質量ブラックホールの実態に迫ることができると期待される


2025年3月12日
AstroArtsより

巨大なブラックホールの活動と銀河団ガスの関係

Posted by moonrainbow on 07.2025 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
ブラックホールの“自炊”? 巨大なブラックホールの活動と銀河団ガスの関係を調べた研究成果

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ケンタウルス座銀河団の楕円銀河「NGC 4696」。赤色は複雑に広がるフィラメント構造、紫色は高温ガスのフィラメントから放出されたX線を示す

こちらは「ケンタウルス座銀河団(Centaurus Cluster)」に属する約1億4500万光年先の楕円銀河「NGC 4696」です。赤色は複雑に広がるフィラメント構造を、紫色は高温ガスのフィラメントから放出されたX線を示しています

銀河団では超大質量ブラックホールの活動が自身に落下するガスを生み出す連鎖反応が起きている?

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ペルセウス座銀河団の活動銀河「3C 84」。赤色は複雑に広がるフィラメント構造、紫色は高温ガスのフィラメントから放出されたX線を示す

アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線宇宙望遠鏡「Chandra(チャンドラ)」を運用するスミソニアン天体物理観測所のチャンドラX線センター(CXC)は2025年1月27日付で、チャンドラの観測データを用いて銀河中心の超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)の活動に関する研究を行ったサンティアゴ・デ・チレ大学のValeria Olivaresさんを筆頭とする研究チームの取り組みを紹介しています。

Olivaresさんたちはケンタウルス座銀河団や「ペルセウス座銀河団(Perseus Cluster)」など全部で7つの銀河団を対象に、超大質量ブラックホールの活動と銀河団内部のガスの間にみられる相互作用を調べました。今回の研究ではチャンドラで取得されたX線の観測データをはじめ、「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」や「超大型望遠鏡(Very Large Telescope: VLT)」といった宇宙や地上の望遠鏡で取得された光学観測データが用いられています。

ブラックホールに引き寄せられた物質は降着円盤と呼ばれる高温の円盤構造を形成しつつ落下していきますが、その一部はジェット(細く絞られた高速なガスの流れ)としてブラックホールから遠ざかるように放出されます


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参考:ハッブルが撮影した渦巻銀河「JW100」(右下)と楕円銀河「IC 5338」(左上)。JW100は「クラゲ銀河」と呼ばれる銀河のひとつで、銀河団ガスから受ける動圧(ラム圧)によってガスが剥ぎ取られ、クラゲの触手を思わせる構造を形作っている

研究チームが分析を行ったところ、これらの銀河団では巨大な銀河の中心で活動する超大質量ブラックホールが放出させたジェットによって高温の熱い銀河団ガスに空洞が生じてガスが冷却され、より低い温度のガスでできた温かなフィラメントが形成されるというモデルを裏付ける結果が得られました。この過程ではガスの乱流も重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

このモデルでは、形成された温かなフィラメントからガスの一部がブラックホールへと落下することで次の活動が引き起こされ、放出されたジェットによってより多くの高温ガスが冷却されることでさらに次の活動につながる、という連鎖的なプロセスが想定されているといいます。ブラックホールがその活動を通じて自身に供給されるガスを次々と作り出していくこのプロセスを、CXCは「Black Holes Can Cook for Themselves(ブラックホールは自炊できる)」と表現しています。

CXCによると、前述のモデルでは銀河団の熱い高温ガスでできたフィラメントと、より低温の温かなガスでできたフィラメントの“明るさ”に相関関係があると予測されていました。今回の研究では高温ガスが明るければ温かなガスも明るいというフィラメントの関係性が初めて確認されており、この発見もモデルを裏付けることになりました。

また、今回の研究で発見されたフィラメントの関係性は銀河団の内部を移動する間に剥ぎ取られたガスが細長く伸びた尾のような構造を形成している「クラゲ銀河(Jellyfish Galaxy)」との類似性が指摘されており、双方で同様のプロセスが起こっている可能性が示唆されるということです


2025年2月2日
sorae 宇宙へのポータルサイトより

M87ブラックホール周囲の降着円盤

Posted by moonrainbow on 02.2025 ブラック・ホール   0 comments   0 trackback
M87ブラックホール周囲の降着円盤の乱流が明るさの変化に影響

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M87ブラックホールの画像とシミュレーション画像
(左)2018年(上)と2017年(下)に行われたEHTの観測で得られたM87ブラックホールの画像、(中央)2つの異なる時間における、一般相対論的磁気流体力学シミュレーションに基づく画像、(右)中央の画像をEHTの解像度に合うようにぼかした画像(提供:EHT Collaboration)

楕円銀河M87の中心ブラックホールの観測とシミュレーションにより、2年間でリングの最も明るい部分が変化したことについて、ブラックホール周囲を回転するガス円盤の乱流が重要な役割を果たしている可能性が示された

約5500万光年彼方のおとめ座銀河団の中心に位置する巨大楕円銀河M87は、その銀河中心部に太陽の約65億倍の質量をもつ超大質量ブラックホールが存在する。2017年に史上初めてブラックホールの画像が撮影された対象の天体だ。

国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」では初撮影の2017年4月の約1年後、2018年4月にも再びM87ブラックホールの画像を撮影し、ブラックホールのシャドウ(影)の周囲に見られるリング構造について、その明るい部分が変化していることを明らかにしてきた。

研究チームは今回、スーパーコンピューターを用いて生成した理論シミュレーション画像12万枚を用意し、2017年と2018年の観測データと照らし合わせて理論を精査した。その結果、リングの最も明るい場所の変化には、ブラックホールの周囲を回転するガス円盤の乱流が重要な役割を果たしている可能性が示された。

「ブラックホールは理論上、周囲のガスを必ずブラックホールの自転と同じ向きに回転させます。しかし、少し離れた所では逆向きに回転していてもよいです。この場合にガスの乱流は比較的激しくなり、今回の観測結果と一致しやすいことがわかりました」(東北大学学際科学フロンティア研究所 當真賢二さん)


「2年間の観測で得られた成果の解釈において、ブラックホールに吸い込まれるガスが逆回転している可能性が提言されたことは興味深いです。この時、生成されるジェットの構造や特性が順回転している場合と異なるため、さらに考察を進めることが楽しみです」(八戸工業高等専門学校 中村雅徳さん)

2025年1月28日
AsroArtsより
 

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