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5→9~私に恋したお坊さん~ (第9話・12/7) 感想 ※追記あり

5→9~私に恋したお坊さん~

フジテレビ系・月9『5→9~私に恋したお坊さん~』公式
第9話『さよなら潤子さん…引き裂かれる恋、衝撃のラスト』の感想。
なお、原作漫画:相原実貴氏の『5時から9時まで』は未読。


潤子(石原さとみ)は寺の嫁としてひばり(加賀まりこ)に認めてもらうため、仕事を辞める。そんな潤子を心配する高嶺(山下智久)はひばりに直談判するが、彼女は聞く耳を持たない。諦めない潤子はひばりの元に日参し、土下座までして結婚の許しを得ようとする。するとひばりは潤子に身の回りの手伝いをさせることに。心が通じたと喜ぶ潤子だが、高嶺はひばりの意図を疑う。一方、天音(志尊淳)は寺の解体計画を進めていて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

冒頭1分もしないうちに、分厚い暗雲が立ち込めた…

今週こそ最終回直前の “佳境に入る最もいいところ” なんだから脇役の無駄話は極力削除でお願いするぞ、との気持ちで観始めた第9話。しかし、残念ながら冒頭1分もしないうちに、脇役の恋バナ大会が始まった。折角期待の第9話なのに、早くも分厚い暗雲が立ち込めた…

実に、桜庭家が明るくて楽しくて良い

しかし、突っ込んでいるうちに画面は楽しい桜庭家へ。この当たりの展開の速さを今日は最後まで踏襲して欲しいのだが…

さて、桜庭家が実に明るくて楽しくて良い。コメディアンである上島竜兵さんを活かした女系家族で立場の無い父・満のおもしろ真面目さ。メリハリある演技に定評のある戸田恵子さんが演じる桜庭家の実質的な大黒柱の母・恵子のハツラツさ。そして、回を重ねる毎に桜庭家に馴染んでいる新人女優の恒松祐里さん演じる寧々の元気で明るい性格。

如何にもちゃーんとこの家族だから、潤子(石原さとみ)が、父のちょっと優柔不断さと母のキッチリ筋を通すところ、そして家族全員がご近所から慕われている点は中高生に絶大な人気の非常勤英語塾講師にきちんと活かされている。

星川家の複雑な環境も良く出来てるのだが…

さて、一方の星川家も実にユニークな家族構成。そもそも実家がお寺と言うのが奇抜な設定の上に幼い頃に親を亡くしている高嶺(山下智久)が、一橋寺を継承することと自分の愛を貫くことを同時進行し手に入れようとするのかが、星川家を見ると見えてくる。

自分の息子(高嶺の父)を住職にできなかったことを後悔し寺の実権を握る強烈な個性の女優・加賀まりこさんが演じる祖母・ひばりの頑固っぷり。優しさ溢れる小野武彦さん演じる寺の雇われ住職・光栄の我が子のように高嶺を思が、ひばりには頭が上がらない。志尊淳さん演じる志尊淳さん演じる弟・天音のつかみどころの無さなど…

最初からもっと星川家と高嶺を描くべきだった

そう、高嶺はめっちゃ特殊で複雑な家庭環境に生まれ育ったのだ。それが、シリーズ序盤で見せたストーカーまがいの行動に出たことに繋がるし、天音の出現で寺への思いも見えてきた。

それだからこそ、(やや総括的になってしまうが)もっとシリーズ序盤で星川家を描くべきだった。そして、高嶺をきちんと描くべきだった。そうすれば、序盤の高嶺が異常な変人には見えなかったと思うし、今回のラストでの高嶺が態度を豹変したように映ってしまうことは無かったはず。そうなってしまった理由は…

僅か数分間の英会話学校が、名作へ道から遠のかせる

18分過ぎに挿入された英会話学校ELAのシーンこそが、天音の台詞で無いが「元凶」(とは言い過ぎだろうか)だ。シリーズ序盤では、モテキの潤子があちこちの男から言い寄られるのを描いたつもりだろうが、中盤以降は物語全体が潤子と高嶺の恋バナがメインになっているから、今さらそれ以外を描く必要など全く無いはず。

また、今回は全く無いにも程があると言いたくなるような、本筋とは完全に無関係で出演者のファンくらいしか興味関心の薄い話をわざわざインサート。ひばりの「遊び呆けてる」を映像化してどうする?って感じ。

清宮(田中圭)の過去なんて、天音が登場する前にちゃんと描いて、それなりの決着なり渡りをつけておくべきエピソード。話の腰を折るレベルじゃないことだけは書いておく。

今回の後味の悪さを、最終回の「奇跡」で済ませるの?

結局、これまでの脚本と演出と演技のバランスが悪いことが、この第9話の後味の悪さに終結してしまったと思う。脚本は高嶺と言う人間を十分に掘り下げず、演出は高嶺を表面的にしか描かず、山下智久さんはそんな中途半端な環境の中で都度都度を現場で演じるしかないと言う状況。『アルジャーノンに花束を』の時には演技の計算がきちんと伝わったのに…

私の想像の域だが、本作の撮影現場では殆ど全体像や完成形が見えなかったのではと思う。だから、演者は書かれていること指示されたことを忠実に演じるしかない。やはり、今回のような高嶺が高嶺の中にいるのなら、そう言う風に少しでも描いておくべき。この違和感を「奇跡」で済ませるのは強引過ぎると思う。

あとがき

体調が優れず感想記事が遅れてしまいました。
さて、最終回直前の第9話ですが賛否両論、と言うか否定派が多いでしょうね。中盤で潤子が英会話学校へ行くくだりは無くてもラストに繋がりましたし、最後の高嶺の潤子に対する言葉もいくら最終回を「衝撃の」にしたいとは言え高嶺の思考回路をブレさせるような形で言わせる必要があるのかって感じ。

まあ、こう言うテレビ局のやり方はあるにはあると思います。ただ、これまでの本作の流れ、そして石原さとみさんと山下智久さんの演技を好意的に見てきた視聴者にとっては、ここへ来て努力している潤子に対して高嶺に人を傷つける言葉を言って欲しく無かったと感じるのが普通だと思います。「盛り上がる」のと「盛り上げる」のは違いますよ。

【追記 2015/12/08 11:20】
12/17放送の深夜番組『キスマイBUSAIKU!?』の「幼なじみの失恋なぐさめて告白」のゲスト・山下智久さんが「みんなが見てて、ものすごいこう良い気分で終われるドラマになってると思います。完全なるハッピーエンドで、すっきりこう期待を裏切らない最終回になっていると思います」とおっしゃっていたので、山Pのこの言葉を信じてみようと思います。

※第8話の感想記事に、66回ものWeb拍手を頂きありがとうございます。

【当blog内の “俳優・山下智久” 最新関連記事 2015/11/04】
「アルジャーノンに花束を」Blu-ray & DVD BOX 発売記念:第6話の新たな感想

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5→9 ~私に恋したお坊さん~ #09

『さよなら潤子さん…引き裂かれる恋、衝撃のラスト』

真夜中の鐘が鳴ったので帰ります(山下智久)除夜の鐘には早すぎる(石原さとみ)

クリスマス・プレゼントに因んだ物語といえば・・・「賢者の贈り物/オー・ヘンリー」が思い浮かぶ。 あまり裕福ではない夫婦の話である。 妻は夫のために自慢の長い髪を売って金時計の鎖を買う。 夫は妻のために金時計を売って鼈甲の櫛を買うのである。 相手のことを思いやるあまり・・・すれちがう二人。 しかし・・
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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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