海に眠るダイヤモンド (第8話・2024/12/15) 感想
TBSテレビ系・日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
公式リンク:Website、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok
第8話『ダイヤモンド』の感想。
1964年、端島では爆発事故から4ヶ月が経ち、島は重苦しい空気に包まれていた。荒木家の一平(國村隼)は病に倒れたが、鉄平(神木隆之介)は未開発の石炭層を掘り起こそうと奮闘。鉄平と朝子(杉咲花)は密かにデートを楽しむが、鉄平には良からぬ噂も立っていた。
一方現代、いづみ(宮本信子)は和馬(尾美としのり)の勧めで認知症の検査を受け、秘書・澤田(酒向芳)は和馬の動きを警戒。鉄平を追う玲央(神木)は記録を探しているところにホストクラブのホストが現れる。
---上記のあらすじは、当ブログのオリジナル---
原作:なし
脚本:野木亜紀子(過去作/重版出来!,逃げ恥,アンナチュラル,コタキ兄弟と四苦八苦,MIU404)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル,MIU404,最愛,下剋上球児) 第1,4,6,7話
福田亮介(過去作/恋つづ,俺の家の話,Get Ready!) 第2,3話
林啓史(過去作/拾われた男) 第5話
府川亮介(過去作/着飾る恋には理由があって,ブラザー・トラップ) 第8話
音楽:佐藤直紀(過去作/教場シリーズ,海猿,コード・ブルーシリーズ,ブルーモーメント)
P:新井順子(過去作/着飾る恋,MIU404,最愛,下剋上球児)
松本明子(過去作/婚姻届に判を捺しただけですが,オールドルーキー,トリリオンゲーム)
医療監修:山岸俊介/イムス東京葛飾総合病院(過去作/ブラックペアン1)
主題歌:King Gnu「ねっこ」
※敬称略
ただ、ドラマの"新たな楽しみ方"を味わってほしい…だけ
「初めまして」の皆様も、ご常連の皆様も、管理人のみっきーです!
お仕事や学校の休憩時間や移動中の方、就職活動中の方、病気療養、子育て、介護など、それぞれの生活を送る読者の皆様…
私のブログをご訪問いただき、心から感謝申し上げます。
―――ここまで、ごあいさつ―――
この一週間で、今作に対する賛否両論のネット記事や、視聴者ブログが上がっていた。
もちろん、全てに目を通したわけではないが。
賛否の「賛」のほうは、「脚本家(脚本ではありません)」への(まだ)期待感と。「俳優陣」の演技力の誉め言葉の類で。
賛否の「否」のほうは、「過去と未来の構成」への “こうしたらよかった論” と、「日曜劇場」のマンネリ化への苦言。
こんな感じだろうか。
まあ、大きな的外れもないが、「今さら何言っちゃってんの? 見なきゃいいじゃん」的なものも多い。
私は、(信じられないかもしれませんが)基本的に「私に合っていないな」のドラマの感想は第1話から投稿しないし。
途中から「褒められる部分が少なくなったな」の時点で、感想は中途でも離脱することにしている。
そんな暇じゃないし、“こうしたらよかった論” を掲げたところで、「そうだよね」の共感者の「いいね」をもらうだけだから。
やはり、私が感想を投稿する大きな目的の一つは、たとえつまらない作品でも、私が見捨てない理由を知ってもらって…
作り手の思いを感じたり、好き嫌いとは違ったテレビドラマ(映画を含めたエンターテインメント全般)の “新たな楽しみ方” を味わってほしいってこと。
そして、そういう人がひとりでも増えたら、作り手も変わるし、その先にテレビドラマも良き方向に変わってほしいと願うから。
というわけで、今回の感想はそんな視点で書いてみる。
「分かりづらい」「説明過多」を日曜夜に見たい人はいない
では、まずは、積極的に書くつもりはない、賛否の「否」のほうから(笑)
そもそも、「過去と未来がつながっていないのに」なんて議論は、ほぼ意味がないのだ。
で、本当のそもそもは、連ドラの第1話のキーパーソンとしての「怪しげな婦人・いづみ(宮本信子)」に興味を抱くような展開になっていないから、先の展開に興味が持てずに、第2話以降、第7話までほぼ視聴率は「第1話:11.0%、第2話:9.3%、第3話:7.0%、第4話:第5話:7.5%、第6話:7.4%、第7話:6.7%」と低下してしていった。
参考:海に眠るダイヤモンド|放送日程 - Wikipedia
(「視聴率=作品の質」ではありませんが、指標の一つとして)そりゃあ当然だ。
「未来」では「怪しげな婦人・いづみ」が中心で描かれているのに、「過去」では「青年・鉄平(神木隆之介)」が中心なのだから、単純に <どっちに注目すればいいの? めんどくさい!> なのだ。
だって、最近は若者だけでなく高齢者だって「コスパ(コストパフォーマンス=費用対効果)やタイパ(タイムパフォーマンス=効率、生産性)が悪いのは見ない」なのだから。
もちろん、当ブログも、読者様にとってはこの上なき、コスパ、タイパがよろしくないブログではあるが(汗)
話を今作に戻そう。
その上、今作は異常、異様なほどにモノローグと状況説明が多い。
そもそも、いつも当ブログが掲げているように。
モノローグは、セリフに非ず。ただの感情の説明に過ぎない!
そして、全体の構成が <未来からの回想=過去> であることから。
「回想シーンは、ドラマでも物語でもない。ただの後出しの言い訳(説明)に過ぎない」にもピッタリ合致しちゃう。
その上で、いわゆる「語り」で追加するのでなく、登場人物、特に青年・鉄平」が状況説明まで語る語る… だから、ほぼ <鉄平の歴史本の読み聞かせ状態> が今作なのだ。
これ、面白いと思う人は、熱烈な鉄平 or 神木隆之介ファンくらいでは?
結論。
「分かりづらい」「説明過多」を、明日から勤労が始まる日曜夜に見たい人は、いないような(笑)
前回では、「鉄平と朝子を見ればいいのね」が伝った
賛否の「賛」のほうだ。
まず、前回(第7話)の視聴率が、第6話より増え、第2話以来の高い 8.8%となった。
この理由も簡単だ。
第7話の内容は、第6話で いずみが語ったことを “映像化” したからだ。
もちろん、「前回で語ったことを、また描くの?」の「否」の声はあろう。
しかし、映像化したことで、最大の弱点である「分かりづらい」が払しょくできたわけ。
さらに、盛り込みすぎではあるが、「端島の歴史再現ドラマ」としても「廃坑」がキーワードになったことで流れが見えやすくなり、これまた「分かりづらい」が払しょくされたのだ。
そしてそして、感想に書いたとおり、映像的に、鉄平と朝子(杉咲花)の “ふたり” を衣装などを含め、徹底して際立たせた。
このことで、「鉄平と朝子を見ればいいのね」が伝ったと思うのだ。
だから、「これなら、見続けてみようかな」になるのは当然だと思う。
もちろん、今回(第8話)の最終的な視聴率は今は分からないが。
今作は初担当の府川亮介氏の演出は、一定の爪痕は残した
まだまだ書きたい賛否の「賛」のほうを綴ってみる。
気が付いた読者様もいると思うが、今回の演出はこれまでの今作とは全くと言えるほどに異なっていた。
今回の演出担当は、今作は初担当の府川亮介氏だ。
過去に『中学聖日記』『着飾る恋には理由があって』『ブラザートラップ』などを担当した、新人と中堅の間だろうか(失礼…)
ハッキリ言おう、「府川氏の演出は一定の爪痕は残した…」と。
「昭和の朝子と令和のいずみ」のイメージカラーを統一
では、お得意の演出の解説を軽くやってみる。
前回の演出は、今作のチーフ監督・塚原あゆ子氏で。
序盤の七五三祝いの直後、鉄平は「白いワイシャツ」で、朝子は「真っ赤な前開きボタンシャツ?」で紅白で際立たせ。
その後の鉄平は「ベージュ色の作業服」で現場職員を強調し続け、朝子は「白色が基本のブラウス」で統一し。
衣装の色分けで、映像による主人公の際立たせた。
では、その塚原氏の演出を踏襲、引き継ぐべき府川氏は何をやったのか?
今回の主人公は、諸説あるだろうが、私は「今生きている朝子=いずみ」だと考える。
そう、もっと咀嚼すれば、今回の主人公は「昭和の朝子と令和のいずみ」、同一人物だ。
そこで、今回の演出では、「昭和の朝子と令和のいずみ」の両方の衣装に「鮮やかな青色」「エアリーブルー」「パステルブルー」など、海や空を連想される「鮮やかなブルー」が使われていた。
カラーコーディネートの視点では、カラーコーディネートの視点では、鮮やかなブルーは、「忠誠心」「自信」「安心感」「信頼できる権威」などのイメージを与えるとされる色だ。
こう書けば、鮮やかなブルーが「昭和の朝子と令和のいずみ」にお似合いの色であることはお分かりいただけるはずだ。
キャプチャー画像は添えないが、冒頭シーンでも、いずみは白地に鮮やかなブルーのイラストのロンTを着ている。
衣装の色の使い方、その"映え"させ方による期待感の創出
特に印象的なのは、9分ごろの鉄平と朝子の中華料理屋での食事シーンでの、ターコイズブルーの朝子の衣装だ。
店内の赤色とゴールドの派手めの飾り物と、黄色のメニュー短冊に。
いずみの衣装の色が浮かないように、画面のわきに、薄青のブラウン管テレビに、客が食べるちゃんぽんの青白磁の器を配置。
一方の鉄平は、この回の終盤で退場? するから、常時薄めのベージュのシャツに濃い茶のコートで、前回とは違う “サブキャラ化” させている。
次の3つの画像は印象的なカットだが、いずれも朝子のターコイズブルーを際立たせる画面の色の配置になっていることが分かると思う。
©TBS
©TBS
©TBS
一方の「元ホスト・玲央(神木隆之介)」はというと、ほぼ常に濃いめの青色を着用し始めた。
この「青」の共通点、共通項によって、今回は、いや、もしかすると今回から「昭和の鉄平」から「令和の玲央」が「昭和の朝子と令和のいずみ」と紡ぎ出すのかも?
いや、次回が最終回だから、ようやく、「昭和の鉄平」と「令和の玲央」を神木隆之介さんが二役を演じている意味や、「昭和の朝子と令和のいずみ」が長年胸にしまっていたものが開封されるのかも?
この辺の、衣装の色の使い方、その “映え” させ方による期待感の創出は、過去の3人の演出家が注力しなかった演出だ。
何とか、多くの視聴者を細い糸だがつなぎ止めた(と、思う)。
万太郎の心の友、ウサギを愛した農学者「藤丸次郎」が!
さて、堅苦しい話題ばかりになったから、デザート風に余韻を楽しむ話題で締めくくろう。
以前も、「『らんまん』と『おちょやん』のパートが面白いし、感動的だ」と書いた。
もちろん、今作には多くのNHK連続テレビ小説、通称‘朝ドラ’出演者が多く。
神木隆之介は朝ドラ『らんまん』(NHK/2023年前期)の主人公・槙野万太郎を演じ、杉咲花さんは朝ドラ『おちょやん』(NHK/2020年度後期)で主人公・竹井千代を演じたことに紐づけししたのだ。
で、この先の重要人物として急上昇しきたのが、朝子が、自身が働く「銀座食堂」の料理人・池ヶ谷虎次郎(前原瑞樹)だ。
この前原瑞樹さん、そう、“らんまんファミリー” なのだ。
神木さん演じる万太郎が、東京大学でイジメに合う中で、数少ない心の友、万物に心優しき農学者「藤丸次郎」を演じた俳優さんだ。
まさか、あの東京大学の裏庭でウサギを可愛がっていた藤丸が…
おっと、取り乱してしまった(笑)
あとがき
かなり、「端島パート」が蔑ろになっているのは気になりますが。
でも、過去と未来をつなげるには、もう少し未来(令和)を描かないと難しいのは理解できます。
だから、『らんまん』と『おちょやん』のパートだけで良かったんですよね(苦笑)
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/19348/