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『響け!ユーフォニアム3』が、この(2024年)4月7日から放送されます。うちの娘は「待ってました」とばかりに大喜びで、数週間も前から相当楽しみにしています。
この放送開始に合わせてのことだと思いますが、AmazonPrimeビデオで、これまでの『響け!~』シリーズの全ての回&全映画を観ることができます。 私も春休みの娘と一緒に、この全ての回&全映画をおさらいしました。
私は
あの事件以降、
もう『響け!~』の続編は観れなくなっちゃうんだなー、、とぼんやり考えていましたが、ついに最高学年になった黄前さんを観ることができて嬉しいです。
■このシリーズの中でも異色の存在となっているのが
、『リズと青い鳥』ですね。 私はこの映画のどこか静かで冷んやりとした空気感が好きで、何度か見返していますが、その度に引っかかるのが、みぞれ(鎧塚みぞれ (ob))が音楽室でピアノを弾き始めるシーン です。
部長の優子先輩と副部長の夏紀先輩が話している脇でみぞれがおもむろに弾き始めるのは、ツェルニー30の3曲目です。
Carl Czerny (1791-1857): 30 Studies of Mechanism Op.849 ,3 Allegro non troppo. ツェルニー30はバイエルを終えた人が次の教材として使用することもあり、ピアノを習っている(いた)人が聴けば結構多くの方がピンとくると思います。
■私はこのシーンの、ストーリーの本筋とはあまり関係の無い(つまり、なくても良いと思われるような)光景が好きです。 放課後の気怠い感じをよく描写しているところや、「ワタシ、こんなに弾けるのよ」 みたいな嫌味を全く感じないみぞれの演奏も好きなのですが、やはりどうしても気になるのは、
この演奏が楽譜と違っているという点です。
まず、2小節目の最後の音が違います。
ここは 「レ」 ではなくて 「ミ」 のはずです。
聴いてて一瞬
「あれっ?」 と思うのですが、ミスタッチを直そうという風もなく進んでいくし、台詞も耳に入ってくるのであまりよく確認してませんでしたが、
この後もちょいちょい楽譜と異なっています。 最初は 「なぜここでツェルニー??」 と思ってしまい聴き逃すかもしれませんが、実際にこの曲を弾いた人や、自分が弾くためにお手本を何度も聴いた人ならすぐにわかるはずです。
リピートでもまったく同じ演奏をしているので、もしかするとわざとそのように弾いているのかも知れませんね。
■この曲は各拍の右手の最初の音にしか左手がつかないので、右手をある程度自由に弾いても和声を乱すことはありません。 みぞれは音楽大学に行くほどの実力の持ち主ですから、この曲のそんな特性を解った上で遊んでいるだけかもしれません。
ツェルニーは世界的に使われている練習曲集だから、
ひょっとするとそのように書かれている版もあるのかも知れませんが、もしそうでないとするなら、このミスタッチ(編曲?)には物語の進行上何か意味があるのかもしれません。
みぞれの演奏は指定速度に対してかなりゆっくり目ですが、レッスンを受けたことのある方なら、合格(マルがつく)までの期間の約半分ぐらいはこのくらいのスピードで弾くように指導 (強要?) されるのではないでしょうか。 私はこの曲はゆっくり目に弾いた方が美しいと思っているので、みぞれの演奏速度に違和感は感じませんでした。
スピードが遅いこともさることながら、平べったいというか、抑揚が少なく手が激しく動くこともないこの曲は、この映画の雰囲気ととてもあっていると思います。 ところがみぞれの演奏は、
ただでさえ抑揚の少ないこの曲の音符の動く範囲を更に狭くするように弾いているように感じられました。 そのことが何を意味するのか、私には分かりませんが、観る度にとても不思議な感覚を覚えるシーンです。
この映画の考察をしている人はモノ凄く多くて、中には深読みし過ぎなんじゃないかと思われるほどの方もおられるので、私の乏しい想像力でモノを語るのはもうやめておきますが。
しかし
この「間違い(或いは、みぞれの編曲)」には何か意味があるはずで、どのような意図を込めているのか知る機会があったら是非とも聞いてみたいと思いました。
■『リズ』について長々書きましたが、みんな暑苦しくて、一人ひとりのキャラが面倒くさい本編も大好きです。
4月7日の放送開始を楽しみに待ちたいと思います。
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テーマ : ピアノ - ジャンル : 音楽
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