「犬以下であると見なされている」:カメルーンの同性愛者迫害の実態をヒューマン・ライツ・ウォッチなどが報告

先日ウガンダの新聞が同性愛者のリストを公開し、リストに載った同性愛者が襲撃されるという事件がありました。カメルーンでも事態はそう変わらないことを、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど4つの人権団体が報告しています。カメルーンでも新聞は同性愛者とみなした人々の名前を公表して憎悪を煽っており、同性愛者とみなされた人は、警察による逮捕・暴行、刑務所内での虐待、地域コミュニティ内での迫害などに苦しめられているそうです。

詳細は以下。

同性愛行為を違法とみなす国は多いですが、カメルーンの場合、「人びとが、非合法とされた具体的な行為によってではなく、同性愛者という「アイデンティティ」を理由に罰せられている」とのこと。逮捕や裁判の実態は以下の通り。


人権4団体の調査は、刑法第347条第2項で逮捕された者が、カメルーン法で定められた時間制限を越え、起訴もされないままに拘束されていことが多いと明らかにしている。裁判官は、同性愛行為を行った確かな証拠がないにもかかわらず、刑罰に処することもできる。裁判官が犯罪は立証されていないとした場合でも、検察官が被告人の釈放前に再度起訴をしている事案もある。

しかも、迫害されているのはゲイ男性だけではありません。以下、引用。


女性らしい服装をしなかったり、「女性らしく」振舞わない女性は、度々迫害の対象とされる。男性の場合と同様、家からはじき出され、あるいは家族の手によって虐待を受ける。女性が家族という囲いの中に留まり従属することを期待される社会では特に、このような状況が顕著だ。
女性と性交渉したとされる女性は、コミュニティ内でレイプや性的暴行の対象にとりわけなりやすく、子どもの養育権をも失う可能性がある。しかし逮捕や投獄を恐れるあまり、彼女たちが法的手段に訴えることはほとんどない。

冒頭に書いたように、同国ではメディアもまた同性愛者への憎悪を煽っています。


新聞は同性愛者とみなした人びとの名前を公表。彼らを「金持ち」で「堕落」した「権力欲のかたまり」で、「国を支配しようとしている」者として描き、人びとの恐怖と憎悪を煽るために、「同性愛階級(ホモクラティ:homocraty)」という造語で同性愛者を呼んでいる。

「金持ち」で「堕落」しているどころか、実際には「犬以下であると見なされている」と、同性愛者人権保護連合のセバスチャン・マンデンさんは語っています。今回人権4団体が出した報告書によると、カメルーンでLGBTとみなされた人は、警察の暴行、刑務所での他の囚人からの暴行やレイプ、虐待(看守は見て見ぬふり)などにさらされているそうです。おまけに政府はLGBTコミュニティにおけるHIV感染に無関心で、レイプの横行にもかかわらず刑務所内でのコンドーム配布を禁止しているとか。

同意に基づく同性愛行為を犯罪とする法律だけでも問題なのに、さらにその法の範囲を超えてまでLGBT(とみなした人)を痛めつけるって、どんだけLGBTが憎いんでしょうか。HIVに無関心なのも、結局まわりまわって自分で自分の首を絞めているだけなのに、人の命よりも「道徳」が大事ってことですか。あと同性同士の平和的な性交渉がダメで、同性愛者とみなされた人へのレイプや性的暴力はOKという不均衡にめまいがします。「道徳」のためなら誰かを虐待したりレイプしたりしてもいいだなんて、そんな「道徳」、はびこらせちゃいけないと思うんですよ。