ロンドン地下鉄で暴力をふるわれたゲイ男性、TfLを提訴か

ロンドンの地下鉄で起きたアンチゲイな暴力に対し適切な調査を行わなかったとして、3人のゲイ男性がTransport for London (TfL)への法的措置を考えているそうです。

詳細は以下。

この事件は、2010年6月16日、地下鉄内で3人のうちの1人がホモフォビックな乗客から顔面を殴られたというもの。3人はフィンズベリー・パーク駅で下車し、職員に事件を知らせましたが、職員が返した言葉は「何を期待してるんだ、いまいましいホモどもめが」だったそうです。
3人はこの後TfLと警察に通報し、警察は38歳の男性を逮捕。ところが、防犯カメラに言い争いの様子が録画されていたにもかかわらず、「証拠不十分」で起訴取り下げとなってしまったとのこと。

TfLは、データ保護法により録画内容の音声を聞くことはできないという理由で、目撃者がいない限り職員を起訴することはできないと主張しているそうです。

以下、3人の男性のうちの1人、Ben Cookeさんの弁。


「私たちはこの事件に非常に気分を害しています。まず私のパートナーが殴られ、次に地下鉄職員から恫喝されたのです。ひどいことです。
“We were very upset by the incident. First, my partner was punched and then we received intimidation from a member of tube staff. It was awful.

「私たちはイギリス鉄道警察で何時間も話をし、それから駅長と話し、翌日から何週間もさまざまな役人と話しをしたのに、嫌な思いをさせられただけでした。私たちは現在、法的措置を考慮に入れています」
“We spent hours that night speaking to the British Transport Police, then to the station manager, then the next day and over the following week to various officers only to have this thrown back at us. We are now considering legal action,”

ちなみにPinknewsのコメント欄では、「データ保護法のせいで音声が聞けないというのは嘘」「この法が禁じているのは、第3者にデータを売ったりすることであって、データをこのような犯罪捜査のために使うのは合法」などの意見があります。

性的指向を理由として暴力をふるわれるだけでも十分嫌ですが、事件を通報してもなお恫喝され、犯人が処分も受けないというのはさらに嫌です。差別は個人の内心の問題じゃなく、社会構造の問題だというのは、つまりはこういうことだとあたしは思っています。

単語・語句など

単語・語句 意味
altercation 激論、口論
British Transport Police イギリス鉄道警察