米軍兵士の父親、ゲイ嫌いの教会に対し16500ドルの支払いを命じられる

「神はダイエット・ペプシを憎んでいる」米国保守派がペプシをボイコット - みやきち日記でもお伝えしたゲイ嫌いの教会「ウエストボロ・バプティスト教会」にまつわるニュースです。息子の葬式を利用してアンチゲイなデモを起こされたとしてこの教会を訴えていた男性が連邦控訴裁で敗れ、訴訟費用16500ドルの支払いを命じられたとのこと。

なんでもこのウエストボロ・バプティスト教会は、米軍兵士がイラクやアフガニスタンで命を落とすのは同性愛を憎む神による呪いだと信じているとのこと。この信念のもと、彼らは「神はオカマを憎んでいる(God Hates Fags)」というスローガンをかかげて、米軍兵士の葬式でピケを張る習わしなのだそうです。

このピケを違法行為であるとして訴えたのが、戦死した一兵士の父親であるアルバート・スナイダー(Albert Snyder)さん。彼は海軍軍人だった息子のマシュー(Matthew)さんの葬式で同教会がピケを張ったのはプライバシーの侵害であり、精神的苦痛を引き起こされたとして、500万ドルの賠償請求をしていました。

ところが連邦控訴裁判所は、スナイダーさんの訴えは教会の言論の自由をさまたげるものであると判決。3人の判事の意見では、

  • 「想像による大げさなレトリック」の使用は憲法修正第1条で保護される
  • ウエストボロ・バプティスト教会は議論を引き起こそうとしていたのであり、事実に基づく個人攻撃とみなすのは合理的でない

ということなんだそうですよ。

スナイダー氏は現在、最高裁で争うための資金集めに奔走しているとのこと。氏がバルティモア・サン紙に語ったところによると、今回支払いを命じられた16500ドルについては、既に資金援助を申し出るメールがアメリカ全土から計3000通以上届いているそうです。

それにしても、「議論を引き起こそうとしていたのであり、事実に基づく個人攻撃とみなすのは合理的でない」からと言って、人の葬式で「神はオカマを憎んでいる」なんてプラカード掲げて騒ぐことが看過されていいもんでしょうかね。事実だろうと事実でなかろうと、単純に迷惑きわまりないと思うんですけど。死者の尊厳や遺族の悲しみはどうなるんですかいったい。
あとさ、不幸をすべて自分たちの仮想敵(サタンとか、不信心とか、それこそ同性愛者とかね)のせいだと決めつけて「だから我々に従え」とやるのはカルト宗教の常套手段ですけど、戦争で兵士が死ぬことまで同性愛のせいにするのは牽強付会にもほどがあると思うんですよ。それじゃ何ですか、トロイ戦争でもミトリダテス戦争でも、戦死者はすべて「同性愛を憎む神の呪い」で死んだんですか。古代ギリシャのテーバイには同性愛者の恋人同士300人を集めた「神聖隊」という部隊があり、非常に強かったそうですが、あれはどう説明するんですか。今後出されるであろう最高裁の判決が、非常に気になるところです。