米コロラド州の幼稚園、「両親がレズビアンだから」という理由で園児を排除し、来年度からの学校入学も拒否

米国コロラド州Boulderにあるカトリック系幼稚園が、とある園児を「両親がレズビアンだから」という理由で退園させ、来年度からのカトリック系学校(Sacred Heart of Jesus Catholic School)への入学も認めないとして波紋を呼んでいるというニュース。

Sacred Heart of Jesus Catholic Schoolの教師によると、この学校の職員たちは、ある生徒が両親の性的指向が理由で入学を認められないと告げられ、さらにこの件をメディアに話さないようにと指示されたとのことです。

また大司教の弁では、

  • 同性愛の関係は学校の信念やポリシーに違反する
  • Sacred Heart of Jesus Catholic Schoolに入学する子供達の親はカトリック教会の信念に従うことが期待されている

とのこと。

カトリックのゲイ権利団体はこれに反対の意を表明。複数の団体が協力して「Denver Post」紙と「Daily Camera」の日曜版を丸々1ページ買い取り、意見広告を掲載したのだそうです。以下、抜粋。


デンバーの大司教が、子供達の両親への拒絶と排除のメッセージとして強制的に子供達を教育プログラムから追放するところを見るのは、カトリックとして本当に心が痛みます。レズビアンとゲイは私たちの家族の一員であり、教会の一員です。こんな風に彼らの子供達が傷つけられるのを見ると、私たちの心は深い悲しみでいっぱいになります。これはまさしくコミュニティという織物を引き裂く行為です。
As Catholics, it is deeply hurtful to see the Archdiocese of Denver forcibly remove children from their educational programs to send a message of rejection and exclusion to those children’s parents. Lesbian and gay people are part of our families and part of the church. To see their children hurt in this way fills our hearts with grief, and it tears at the very fabric of the community.

また、子どもの入学を拒否されたレズビアン・カップルは、LGBT団体Boulder Prideを通して以下の声明を出しているとのこと。


「世の中には離婚した両親もいれば、結婚していない両親を持つ子供もおり、非カトリック教徒も、宗教活動を行っていないカトリック教徒もいます。彼らは非難されずに済んでいます。どうやら、どの罪がより受け入れがたいかをランク付けする主観的なシステムがあるようです。私たちが学校の判断に反対する最大の理由は、私たちは親のすることを理由として子供を罰するのは間違いだと考えているということです」
"There are divorced parents, children of parents born out of wedlock, non-Catholics and non-practicing Catholics. Their eligibility has not been questioned. There seems to be a subjective rating system of which sins are more unacceptable. Perhaps our biggest objection to the school's decision is that we think that it is wrong to punish a child for who the child's parents are,"

なおこのカップルが子供をカトリック系の学校にやろうとしたのは、ふたりともカトリックとして育てられ、カトリックの学校に行っていたからだとのこと。

ちなみに法的には、大司教は学校のポリシーにそぐわない生徒の入学を拒否する権利があるんだそうです。しかし、LGBTのカトリック団体DignityUSAのMarianne Duddy-Burke代表は、「法的な権利があるからと言って、正しいふるまいだということにはならない」として大司教の判断を批判しているとのこと。

百歩譲って、カトリック教会が同性愛者を忌避するところまではまだわからないでもないんですよ。聖書を一字一句ファンダメンタルに解釈すれば、「ゲイ・レズビアン許すまじ」と考える人もそりゃ出てくるんだろうな、とは思います。でも、だからと言って、「両親が同性愛者だから」という理由で子供を教育の場から排除するのは筋が通らないのでは。子供と親とは別の人間でしょう。「親の性的指向と子供の性的指向の間に関連性は見受けられない」とする研究結果は山ほど出てますし、特にレズビアンカップルの育児については「異性愛者カップルの育児と変わらない」とする調査結果*1もあります。今回の大司教の判断は、まるで金八先生の「腐ったみかん」みたいだと思いましたよ。いや大司教は金八知らないでしょうけど。