終風日報編集後記 まるで罰ゲーム

 前原誠司前外相が民主党代表選に立候補した。通れば首相ということになる。そして彼が首相になれば各種の難問をかき回したまま放り出して去るのだろう。この御仁にはつくづくこりごりしたというのが私の率直な評である。▼前原さんが出れば票割れを避けるか、そのまま割れるか、ということで、すでに立候補した野田佳彦財務相の目はなくなる。増税路線と与謝野さんのおまけ付きという悪夢が消えるのはよいが、昔の流行した「究極の選択」というネタのような世界だ。まるで罰ゲームである。▼他は小粒と言ってもよい。鹿野道彦農林水産相や樽床伸二元国会対策委員長は自民党派閥風味のご愛敬といったところ。海江田経済産業相が首相になれば日本の面白政治にお涙のシーンが溢れることになる。馬淵澄夫前国土交通相は増税反対で支持する向きもあるが、私はこの政治家の過去の言動から基本的に信頼していない。▼さて全部にバツを付けてしまった。どうするか。無責任ではないか。どうせ無責任で最低というなら、私たちの等身大の首相菅直人首相がいるではないか。続投してくださいよ。菅さん。▼民主党政権になって三人目の首相が生まれるというのは海外ニュースではジョークの扱いになっている。日本の政治がジョークなのだからしかたがない。政治機構に問題があるとして憲法論をぶち上げる人もいるがジョークに念を入れすぎる。▼冗談を抜きにすれば、衆院が予期された期日で解散されるまで良識有る国民はじっと耐えるのがよい。ひどい政権を選ぶと国民がひどい目に遭う。腹の底から自業自得だと得心するのにはあともう一、二年待ったほうがよい。