札幌サウンドデモ逮捕事件について、いくつかの論点

既に多くの人がとりあげており(http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20080705/p1、http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20080706など)、ブクマでも様々な意見が表明されているので、いくつかの論点に絞ってエントリを書く。


(1)道交法違反か否か

荷台に人が乗った=道交法違反という俗論を述べる人が少なくないが、06年の「自由と生存のメーデー」でのDJ逮捕事件以降、サウンドデモに措いて荷台乗車について事前に警察に許可を得るのが一般的である。
しかも、荷台乗車が逮捕理由ならばデモの始めに逮捕が行われるはずだが、今回はデモの終盤に逮捕されていることから、荷台乗車が逮捕理由である可能性はきわめて低い。

http://d.hatena.ne.jp/madashan/20080705/のコメント欄にも、事前の荷台乗車許可についての言及がある。

intellipunk 2008/07/07 21:10

madashanさんと同じくトラックの真後ろで参加していたので、自分なりに真実を記します。

サウンドトラックはデモ申請でDJ用に荷台乗車許可を取っていました。
機動隊はDJを最初からパクるつもりで様子をみはからい、
某DJが次のDJと交代したタイミングで、
いきなり公安の号令で隊列をつくり、トラックと参加者を一気に分断しました。
トラックはジュラルミンの盾で囲まれ、参加者が機動隊に阻まれ混乱する中、荷台にポリスが駆け上がりDJは逮捕され運転手はガラスを割られ引きずり出されたたようです(それは、ここからは見えません)。
自分ら参加者は、機動隊と押し合い怒号の中で「公務執行妨害で逮捕するぞ!」と脅され盾でどつかれ
事態は混乱して、何が何だかわからないまま逮捕されたと伝わり、抗議しつつ収束しました。

道交法違反ならば、先にプレイした「某DJ」も逮捕されてしかるべきであり、むしろ逮捕されたDJを「ねらい打ち」した可能性が高いと思われる。


(2)そもそも機動隊がトラックを包囲する必要があったのか

上記のintellipunkさんのコメントによれば、トラックがいきなり包囲されているわけだが、そもそもなんでトラックを包囲する必要があったのか、その正当な理由がわからない。



(3)トラック運転手は「警察官を轢こうとした」行為に及んだのか否か


これについては、トラックのすぐ後ろにいた、よねざわいずみさんの報告がある。
http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20080706

そして私の目の前で2人が逮捕されてしまいました。どちらもまさに目の前。

いやそれどころか、私のすぐ前の人もこのときに機動隊にごぼう抜きにされて連れ去られてしまい、私は携帯電話のネックストラップを引きちぎられました。ただしその目の前の人はしばらくして解放されてほっ。

一方の逮捕されてしまった方ですが、警察発表とかでは「サウンドカーが警察官をひいた」とかなっていますが、ずっと後ろに居た私から見てそんな場面はまったくなく、突如警察官が車の窓ガラスを割って鍵を開けて引きずりおろしていくという単なる暴行だったのでした。

そもそも、本当に警察官を轢こうという行為が発生したのなら、「公務執行妨害」だけではなく「傷害罪」や「暴行罪」の現行犯逮捕になっているはずだろう。
従って、「警察官を引こうとした」行為が実際に存在したのか、かなり疑わしいと思う。


(4)DJを逮捕する理由はあったのか?

さらにいうと、運転手に何らかの犯罪行為があったとしても、それはDJを逮捕する理由にはなりえない。荷台乗車自体が逮捕理由になる可能性が極めて低いのは上記(1)で述べた通り。



補足;トラック運転手が逮捕時に負傷したらしい

救援会が結成されブログが開設されている。
http://j5solidarity.blog116.fc2.com/blog-entry-6.html

同ブログの最新報告より。

これは本当に心が痛む話ですが、運転席の状況を確認したところ、運転席前方のダッシュボードなど三箇所に血痕がくっきりと残されていました。公安警察・機動隊によって暴力的に引きずり出された際、運転手が怪我したという情報は弁護士接見により把握していましたが、あまりの惨状に言葉を失いました。警察による暴行凌虐に改めて怒りを表明します。