「問われる戦後補償」(93年11月)

scopedog さんが92å¹´8月14日に NHK で放送された「調査報告 アジアからの訴え〜問われる日本の戦後処理〜」を紹介されておられるので、私は93å¹´11月13日、14日に『朝日新聞』朝刊に掲載された「問われる戦後補償(上)(下)」を紹介しようと思います。


13日は当時提起されていた主な戦後補償裁判とその論点が紹介されています。筆頭に挙げられている「慰安婦」問題ですが、「慰安婦」の総数や徴集の実態については次のように記述されています。

河野談話発表から3ヶ月がたった頃の記事ですが、現在でもほぼそのまま通用する記述です。「吉田清治」の「よ」の字も「挺身隊」の「て」の字もありません。91年からのわずかな期間に軍「慰安所」制度についての認識がどう変化したかがよくわかります。
もう一つ興味深いのが、当時行われた世論調査の結果です。

「慰安婦」問題に関して政府が補償すべきかどうかについて、20代前半は72%が「補償すべき」、21%が「必要ない」なのに対し、60歳以上ではそれぞれ39%、38%で拮抗しています。戦後補償要求全般についての20代前半男性の積極的な態度は際立っており、「事柄によっては応じるべきだ」が84%、「応じる必要はない」は10%しかありません。同じ年代の女性が「応じるべき」68%、「必要はない」28%ですから。20代前半男性ほどではないにせよ30代後半までは男女とも「応じるべき」が明らかに多く、女性は40代でも「応じるべき」がギリギリ半数越え。40代男性と50代両性では賛否が拮抗、60歳以上の特に男性ではっきり「必要はない」が多数派になります。いまから20年前の調査なので当時の20代〜30代はいま40代〜50代になっているわけですが、いま調査すればどんな結果になることやら。加齢による保守化の影響は一定程度あるでしょうが、やはり右派からの反動キャンペーンの効果は大きいのではないか、と。