日本への本格進出を発表したハイヤー配車サービス「UBER」。スマートフォンの地図上で自分の居場所を知らせるだけですぐに「黒塗り」のハイヤーを“注文”できるサービスだ。配車したあとは、適宜ショートメッセージであとどれくらいで到着するかの連絡を受けたり、地図上でリアルタイムに指定場所に向かっている車の様子を見たりすることが可能だ。
日本では、2013年11月14日よりテストサービスを開始しており、パリやロンドンといった他の大都市のテストサービス期間登録者に比べ、日本はその3倍程度の登録があったという。
2010年にシリコンバレーで開始したUBERは、現在31カ国81都市、17言語で展開。UBERを展開するウーバー・テクノロジーズ(以下、米ウーバー)には、グーグルの投資ファンド「Google Ventures」が2億5800万ドルを投資するなど話題を呼んでいる。
一方、タクシーをスマホで配車するだけなら、既に国内でもアプリがある。例えば、2011年12月から日本交通が提供を開始しているアプリ「全国タクシー配車」。日本交通のタクシーだけでなく全国約2万台のタクシーを配車できるアプリだ。自社タクシーのみを配車できる「日本交通タクシー配車」と合わせ2013年10月には100万ダウンロードを達成。アプリを使って配車した売り上げ合計は20億円を超え、国内随一の規模を誇る。
さらに、2014年1月には東京のタクシー6グループが参加したアプリ「スマホ de タッくん」が登場。「スマホのタクシー配車」は、国内でにわかに注目を集め始めた。
しかし、米ウーバーがやろうとしていることは、従来のタクシー会社が行う「スマホ配車」とは趣を異にする。
「旅行業」免許でサービスを展開する意味
アプリ上では似たもの同士に見えるUBERと国内サービスの圧倒的な違いは主に2つある。1つはウーバー・ジャパンの営業形態。もう1つは、テクノロジーの利用方法だ。
米ウーバーの日本支社であるウーバージャパンは、日本でのサービス展開にあたり、旅行業免許を取得した。つまり、ウーバージャパンはタクシー会社でもハイヤー会社でもなく、国内の旅行代理店のような業態でサービスを展開していることになる。従うべき法律は主に旅行業法であり、タクシー業界が従うべき道路交通法ではない。
考えれば、当然かもしれない。世界各国で展開するサービスにおいて、ウーバー自身はタクシーやハイヤーを保有していない。飽くまで、車を所有しているタクシー会社や個人ドライバーと、利用者を結びつける「仲介屋」でしかないのだ。現在、ウーバージャパンはMKタクシーのハイヤーなどと契約をして営業をしている。
これについて、米ウーバーのアジア地域統括最高責任者のアレン・ペン氏は「我々は(ホテル・航空券予約サイトの)エクスペディアと同じ。テクノロジー会社であり、旅行代理店というわけだ」と話す。
この意味するところは小さくない。つまり、規制や業界ルールといったものに縛られた日本のタクシー会社にはできない自由なサービスを、ウーバージャパンの責任の下展開できる可能性があるからだ。
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