すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【兵庫発の社会現象】N党・立花氏はしばらくネットから離れるべきか?

2024-12-13 12:06:46 | メディア論
日本の「マス・ヒステリー」状態はまだまだ続く

✳︎前回、公開した記事【政府の思うツボ】世界的に大規模なネット規制が始まりつつあるーーについて、盛り込めなかった部分や言い足りない箇所を大幅に加筆修正した上で、(それによりテーマ自体も変わったため)タイトルを一新し、1本の新しい記事にした。

 だが加筆した部分が意外に長く、よく考えたらそれだけで十分成立した。いま思えば「加筆修正」じゃなくてよかった。古い部分は完全に削除した上で、まったく別の新しい記事を立てればいいのに……。

 しかし、やっちまったもんはもう遅い。やれやれだ。仕方ない。以下、重複する部分は適宜、読み飛ばして頂きたい。

 さて、インターネットに関し、こんな調査結果がある。

「病む→ネットでネガティブな内容を見たくなる→精神状態が悪化→また見たくなる……のループ 英UCLなどが研究報告」(ITmedia NEWS)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9f0ea41cb14abd41798cdd27196928d75f011449

 そして例えば以下の通り、いま日本は兵庫で先日行われた知事選挙問題に端を発し、明らかに「マス・ヒステリー状態」に陥っている。

「【兵庫案件】いま日本社会は「マス・ヒステリー状態」にある」(すちゃらかな日常 松岡美樹)
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/8523685f059a832283f782cbf2bd82cb

 この一連の騒動の起点になったのは、明らかにN党の立花孝志氏だ。彼が「躁状態」で社会に振りまく妖気に煽られ、次々にネットユーザが妖しいネタやデマの類いを世の中に振りまく状態になっている。

「躁状態」でネットする行為が現代ではマス・ヒステリーを招く

 具体的には、まずN党・立花孝志氏はそもそも「躁状態」でネットなんてやっちゃダメだ。

 私はメディア論や社会分析のほか、精神医学にも首を突っ込んでいる。

 こんなふうに躁のメカニズムを知っている人間なら、「躁状態」でネットの過激な情報に接し続けることがいかに人間に悪影響を与えるか?

 もちろんわかっている。

 私の目から見れば、立花氏の行動は自殺行為だ。

 現に日本社会は冒頭で挙げたように、立花氏のネット上の言動に強く刺激され、明らかに「マス・ヒステリー」状態にある。

 立花氏が巻き起こすインパクトのある話題性と社会的反響に強く影響され、今度は似たような体質であるごぼうの党・奥野たかし氏が立花氏に宣戦布告する次第だ。こうした七顛八倒の社会現象はまだまだ続くだろう。

 もっともネット民さんがオールドメディアを初めとする既成のくだらない権威をぶち壊す「インターネット時代の旗手だ」とばかりに、立花氏を支持する心情はわかる。

 だが、それに倣った市井の1ネットユーザが、アクセス稼ぎを狙って面白おかしいデマを垂れ流し始めるのはモラルに反する。社会的な悪影響が大きい。

 そんな絵に描いたようなパターンだ。

 ヘンなチャンネルの宣伝になるといけないので、あえて具体的なソースはあげない。例えば以下のようなわかりやすケースを目にした。

 昨日、あるネットユーザが「斎藤知事が記者会見して有罪を認めた」「裁判所も斎藤氏に有罪判決を出した」とミエミエのデマを流した。

「ああ。とうとう、このレベルの社会現象にまで発展したか……」

 そんな感じさえした。

一部の扇動に幻惑されデマがデマを呼ぶ「拡声器」状態に

 そもそも上に挙げたデマが主張する「裁判所」って、一体どこの裁判所なのか?

 それを明示してないし、ソースもまるでない。だいたい捜査当局の捜査が始まっているかどうかも、世間にはわからない状態なのだ。

 なのに、もう裁判所が「有罪判決」なんて出すはずがない。明らかな作り事だ。

 念のため、過去に本ブログで紹介した「刑事事件がどう進むのか?」を法務省が公式に示した資料を以下に再掲しよう。

「刑事事件フローチャート」(法務省)
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji09.html

 つまりこういう段取りなのだ。だからこの段階で「裁判所が斎藤氏に有罪を宣告した」なんてあり得ない。あまりにも早すぎる。

 だが立花氏や奥野氏に扇動され、こんなふうに「マス・ヒステリー」現象に誘い込まれた人々が無軌道な行動を取るケースが社会にまだまだ出てくる可能性がある。

 そして今度はそれに影響を受けた「観衆」が色めき立って興奮し、「右へ倣え」する可能性だってある。

 現にいまネット上は、まったくセオリーを無視した以下のようなコンテンツ作りが横行する無法状態だ。(まあこれは以前からだが)

『【兵庫に見るメディア論】終わっているのは「オールドメディア」だけじゃない』
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/d171834d596908e377d81e5136651f6c

 上記をご覧の通り、すでに日本社会はもうかなりヤバい状態にある。

日本でもこども家庭庁がネット規制を検討し始めた

 それに乗じ日本政府は、これ幸いと図にのって「ネット規制」を強めつつある。これじゃあ、ヤツらの思うツボだ。

 例えば上で挙げた前回の記事でもご紹介したが、「日本でも、こども家庭庁が11月25日、有識者や関係各省庁の課長級で構成する『インターネット利用を巡る青少年の保護のあり方に関するワーキンググループ(WG)』の初会合を開いたばかりだ。

 また前回の記事でも紹介したが、先行したオーストラリアは「16歳未満のSNS利用を禁止する法案」を今年11月28日に可決した。

 一方、イギリスでも似たような動きがある。

「イギリス政府 16歳未満のSNS利用禁止を検討か(2023/12/15) 」(テレ朝ニュース)

 またアメリカも同じだ。

「米連邦控訴裁が先週、TikTokを禁止する新法は合憲との判断を示した」(Forbes JAPAN)

 日本政府による規制強化は、そんな世界的流れに便乗している。

 だから言わんこっちゃない。

 これだから立花氏は「躁状態」で一線を越えかねないハデな行動をしたり、特にネットなんかしちゃダメなんだ。一方、奥野氏も扇動に乗ってはいけない。

 また一方のネットユーザーも、セオリーを踏まない上記のような酷いコンテンツ作りを自粛すべきだ。

 でないと政府はますます図に乗り、ネットに強い規制をかけてくるぞ。

 そもそもインターネットは政府やマスコミのような「絶対権力」に対し、単なる市井の人々が対抗するためのかけがえのない唯一の武器だ。

 だからネットユーザーは「かえって敵に塩を送るようなマネ」をし、逆にヘンな規制を受けるハメにならないよう、モラルを守って行動する必要がある。

 そうしなければ、必ず自分で自分のクビを締める結果になるだろう。

「個人的な行動」の是非とそれが「社会全体」に与える影響は別の話だ

 さて、ここまで読んだ読者の方は、あるいはこんなふうに感じるかもしれない。

「なんだ。松岡は立花氏の行動を今まで黙認してきたクセに、急に批判し始めたな」

 いや、そうじゃない。

 これは主観的な「批判」ではない。

 立花氏が個人的に何をやろうと(明確に法に触れない限り)自由なのだ。だが彼の行動やその言動が、社会全体に深刻な影響を与えるとなれば話は別になる。

 で、(予想通り)その気配が見え始めたコトここに至っては(私ごときが恐れ多いが)「炭鉱のカナリア」にでもなり、このへんでちょっと社会に警鐘を鳴らしておかなければーー。そう考えて重い腰をあげ、この記事を書いた次第だ。このまま放置すれば日本社会が危険にさらされる。

なんとかとハサミは使いよう、ネットは「正」にもなれば「負」にもなる

 立花氏を単に口汚く主観的に「個人攻撃」する意見は多い。だがそれらの声には、例えば以下のような要素が欠落しているように思える。

(1)「躁状態」にあるという彼の存在が、社会全体に与える「マス・ヒステリー」的な心理の深刻な影響とは?

(2)また彼の言動が社会に及ぼす、構造的なメカニズムもある。つまりここでインターネットが、立花氏の主張を声高に広げる「拡声器」になるのだ。そして「負のツール」としての役割を果たす。

 こんなふうにネットは「正」にもなれば「負」にもなる。なんとかとハサミは使いようだ。

(3)さらに立花氏がそこで(図らずも)演じてしまうマイナスの社会的な役割も見逃せない。

 これらについて緻密に分析した上で主観をなるべく交えず客観的に論理をまとめ、トータルに発言している声は(私が知る限り)ないように思える。

 だが私は精神医学やメディア論、また(特にネット上における)社会現象の分析を本領としてきたため、今回の全体像やそれらの複合する要素が互いに影響を与え合うメカニズムが俯瞰的に見える。

 だからいま立花氏の行動が社会的騒動に発展しかねないコトこの段階に至っては、じゃあいったい何が起こり得るのか? またそれが招く結果がいかにヤバいか? ひとこと言及しておかなければと考え、この記事を書いた次第だ。

 くれぐれも誤解なきように。

この事態に処方箋はあるか?

 最後にあえて付け加えれば……もし本当に立花氏がいま「躁状態」にあると仮定した場合、彼はひとまずそれが収まり小康状態になるまでネットにしばらく触れないほうがいいと感じる。

 繰り返しになるが、ネットはそんな彼のネガティヴでケバ立つ精神状態を拡声器として社会に伝え、投影した上で拡大再生産して社会的な「マス・ヒステリー現象を引き起こす。

 ネットがそんな「負のツール」になる。なによりそれを避けたい。

 そこでひとつの処方箋として、立花氏がしばらくネットに手を出さないことをご提案したい。

 ご本人のためにも、そして社会のためにも。

 精神医学とネットの特性、またそれらが相互に作用することでどんな社会現象(=カタストロフ)を引き起こすのか?

 これらを同時複合的に各分野で体系づけている学者や研究者の方ならば、おそらく誰もが同じ意見だろうと思う。

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