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2025年12月19日までに全面施行される予定の「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(以下「スマホソフトウェア競争促進法」または「法」)は、モバイルOSとアプリストアを提供する巨大IT企業によるアプリストア市場の寡占状態を是正し、公正な競争を促進することを目的として、一定規模以上の指定事業者に対して、一定の禁止事項と遵守事項を義務付ける法律です。 スマホソフトウェア競争促進法は、スマートフォン用アプリを配信する多くの事業者(アプリ提供者)にも影響が生じる重要な法律です。この法律により、アプリ提供者はこれまで義務付けられていたアプリ内課金システム以外の決済手段を使えるようになったり、アプリ内で自社ウェブサイト等へ誘導してコンテンツを販売することが可能になるなど、大きな変化が予想されます。また、新たなアプリストアの登場も期待されており、アプリビジネス
渡邉 雅之弁護士 弁護士法人三宅法律事務所 越田 晃基弁護士 弁護士法人三宅法律事務所 岩田 憲二郎弁護士 弁護士法人三宅法律事務所 出沼 成真弁護士 弁護士法人三宅法律事務所 いわゆるクラウドサービスについて、個人情報保護委員会の「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」においては、一定の要件を満たす場合には、個人データの第三者提供(個人情報保護法27条)に該当せず、また、利用企業は委託先の監督(同法25条)も不要とされています。 このような取扱いを「クラウド例外」といい、個人情報保護法や関連する個人情報保護法のガイドラインには規定はなく、上記ガイドラインQ&Aにおける取扱いに過ぎないにもかかわらず、実務上広く利用されています。 そのような状況において、個人情報保護委員会は、令和6年3月25日に「株式会社エムケイシステムに対する個人情報の保護に関する法律に基づ
個人情報保護法施行規則が令和5年12月27日に改正され、令和6年4月1日付で施行されました。この改正に伴い、ガイドライン通則編やQ&Aも改訂されています。 今回の改正では、①不正目的をもって行われたおそれがある漏えい等発生時における個人情報保護委員会への報告と本人への通知、②安全管理措置、③保有個人データに関する事項の公表等の3点について、対象が拡大されました。 これらは実務上の影響が大きいにもかかわらず、施行後も自社が受ける影響の内容を正確に認識できていない事業者が少なくないと思われます。本稿では本改正に合わせて新たに追加・更新されたQ&Aも交えて解説します。 凡例 本稿における主な略称は以下のとおりです。
2023年5月26日、知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」といいます)において、動画上にコメントを表示する機能を備えた動画配信システムに関する特許権侵害が主張された訴訟の控訴審判決がありました。 侵害が主張されたのは株式会社ドワンゴ(以下「ドワンゴ」といいます)の特許で、同社の「ニコニコ動画」で画面上を横に流れるコメントに関する技術が対象となっています。ドワンゴは、FC2, Inc.(以下「FC2」といいます)が運営するインターネット上のコメント付き動画配信サービス「FC2動画」等が、ドワンゴのこの特許権を侵害しているとして、FC2等に対して訴訟を提起しました。 実はドワンゴとFC2の間では、同様の訴訟がもう1つ起きていました。ドワンゴが持つ動画上のコメント表示に関する別の特許権をFC2動画等が侵害しているとして提起された訴訟です。 両訴訟は共に、FC2動画のサーバが海外にある場合に特許権
放送と通信の著作権法上のルールをどうするかは、広くはいわゆる「放送と通信の融合」の1テーマに位置付けられてきました。昨今では、ABEMA(旧称Abema TV)やAmazonがインターネット配信でWBCやカタールW杯を中継し、逆にテレビ局であるNHKや民放各社がNHKプラスやTVerでインターネット配信を始めるなど、テレビ放送とインターネット配信の間の区別はどんどん曖昧になってきています。 しかし著作権法上、テレビ放送とインターネット配信は明確に区別され、前者のための音楽の著作隣接権の処理は比較的簡単であるのに対し、後者のためのそれは難しいものとなっていました。著作権法令和3年・5年改正はこの点を見直し、同時配信を含むインターネット配信での音楽利用を今までよりスムーズにするものです。 この記事では、まず音楽の著作隣接権処理ルールについて放送と配信の比較を行い、続いてこれらに関わる令和3年・
2023年(令和5年)5月、「著作権法の一部を改正する法律」(以下、本稿において「改正著作権法」といい、改正前の著作権法を「改正前著作権法」といいます)が通常国会で可決、成立し、2024年(令和6年)1月1日に施行されました。 今回の改正は、①著作物の利用円滑化に向けた新たな裁定制度の創設、②立法府・行政府内部での著作物の公衆送信を可能とする措置、③海賊版被害時の賠償額増額に向けた新たな損害算定方法の導入の3点を柱としています。 本稿ではこのうち、③の概要について解説していきます。 海賊版被害時の賠償額増額に向けた新たな損害算定方法の導入は、著作権法114条の改正によるものです。海賊版被害を含む著作権侵害に対する損害賠償請求の場面においては、改正前著作権法の下では認定される賠償額が低額にとどまり、侵害者が侵害によって得た高額の利益の大部分が侵害者の手元に残存していると指摘されていました。今
2022年(令和4年)10月24日、最高裁判所で著作権侵害をめぐる1件の判決がありました。「音楽教室事件」と呼ばれ、知財関係者の関心を集めたこの訴訟は、全国で音楽教室を営む個人や法人249名が原告となり、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)を訴えた事件でした。 訴訟ではさまざまな争点が争われましたが、最終的に問題になったのは、音楽教室は、生徒の演奏について著作権使用料を支払わなければならないのか、という点でした。今回は、この問題について、背景にあるカラオケ法理の歴史も紐解きながら、この判決を読んでいきたいと思います。 ⚫︎音楽教室事件 原告:全国で音楽教室を営む個人や法人249名 被告:一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) 原告らの音楽教室における被告の管理する楽曲の使用について、被告が原告らに対して請求権を有しないことの確認を求めた訴訟。 第一審:東京地裁令和2年2月
2023年10月1日から、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を禁止するという意味でのステマ規制が導入されます。同日以降は、そのような表示は不当表示とされますので、自社が関与する表示が当該規制に抵触しないよう、対応を検討する必要があります。 本稿では、ステルスマーケティングを規制する「告示」(「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」、以下「ステマ告示」といいます)と「運用基準」(「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」、以下「ステマ運用基準」といいます)について概説します(以下、ステマ告示に基づく不当表示を「禁止対象ステマ」といいます)1 。 ステマ運用基準はあくまで考え方を示すものです。本稿では実務対応のポイントもご紹介しますが、実際に規制の対象となるか、またどのような対応をとるかは、運
新法成立の背景と経緯 フリーランスは、個人で業務を遂行して生計を立てる弱い存在でありながら、必ずしも労働者ではないあいまいな存在であり、その保護のあり方が長年政府で議論されてきました。古くは2005年の厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書で議論がありましたが、複数の省庁がこぞって議論を本格化させたのはここ数年であり 3、2021年3月26日、内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の4省庁が合同で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を制定し、一定の結実を見ました。 しかし、同ガイドラインは既存の法律の適用関係を明らかにしたものにすぎず、既存の法制度では解決できない問題に対処するためには、新しく法律を作る必要がありました。 【「フリーランス・トラブル110番」等での相談対応経験に基づく見解】 おりしも、筆者の所属する第二東京弁護
2023年1月26日、知的財産高等裁判所で、「2ちゃんねる」などの表示をめぐり、商標権侵害・不正競争行為の成否が争われた事件の控訴審判決がありました。本件の事実関係はかなり複雑で、しかも、通常の企業間取引をめぐる紛争とは異なり、契約書などの証拠が少ない中で間接事実が積み重ねられた結果、第一審(東京地裁判決)と控訴審(知財高裁判決)とで事実認定が異なり、結論も分かれました。 判決に現れる法的問題の詳しい解説は、「イノベンティア・リーガル・アップデート」の記事を参照いただければと思いますが、ここでは、本件の損害賠償等の請求に関し、何が東京地裁と知財高裁の明暗を分けたのか、分水嶺となったポイントを見ていきます。 2ちゃんねる商標権侵害・不正競争事件の概要 請求の内容 本事案は、電子掲示板「2ちゃんねる」を開設した「ひろゆき」こと西村博之さんが原告となって、2ちゃんねるの運営に関与していたフィリピ
2022年10月24日、音楽教室事業者249名および個人の音楽教師2名が原告となり、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に対して、「音楽教室における演奏については著作物使用にかかわる請求権がない」ということの確認を求めた事件について、最高裁判決が出されました。音楽ビジネスに関する法的助言に豊富な経験を有する東條岳弁護士が、本判決の読み解き方を解説します。 概要 音楽教室事業者である原告ら(「音楽教育を守る会」の会員団体249社ほか)が、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に対して、原告らの運営する音楽教室における教師による演奏、生徒による演奏は、著作権法22条で定める演奏権の対象となる「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的」とする演奏に該当しないことなどを理由として、JASRACは原告らの音楽教室に対してJASRACの管理する音楽著作物の使用に係る請求権を有しないと主張
BUSINESS LAWYERS LIBRARY 動画のご案内 「電気通信事業法の基礎と最新動向 - 令和4年改正電気通信事業法の実務対応の勘所」(68分) 講師:山郷 琢也 弁護士(TMI総合法律事務所) BUSINESS LAWYERS LIBRARYスタンダードプランをご契約中のお客様は上記リンクからご視聴いただけます。 BUSINESS LAWYERS LIBRARYスタンダードプランをまだご契約いただいていないお客様はサービスご紹介ページをご覧ください。 改正電気通信事業法の施行日と対象範囲 令和4年11月7日、電気通信事業法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和4年政令第342号)が制定され、本改正の施行期日が令和5年6月16日に定められました。 多くの民間事業者は、自社は通信事業を行っていないため、電気通信事業法は無関係であると思いがちですが、実は同法は思いのほかそ
はじめに 「なまじ日本語だけに始末が悪い」。 法令用語を前にして新人法務担当者はそう感じるかもしれません。法令に使われている言葉すべてを法令用語とは呼びません。法令に使われている言葉のうち日常とは異なる意味で使われている言葉を法令用語と呼ぶのです。ただ、日常生活で使われる意味と大きく異なるものもあれば、少ししか変わらないものもあります。そこがまたやっかいです。時には、日常生活ではほぼ使われない言葉さえあります。そして、そうした法令用語は条文だけではなく、契約書や約款などでも同じ意味で使われています。 こうした法令用語を一種の記号として理解できないと法務担当者は仕事にならないでしょう。 では、どうして法令用語が存在するのでしょうか。それは誰もが条文や契約書などを同じように理解するためです。もちろん、法令用語の理解を同じくしても、その解釈が異なることはあります。しかし、法令用語の理解がぐらつい
当社では、個人データの処理を行うクラウドサービス(SaaS)の利用を検討しております。このクラウドサービス(SaaS)を利用するためには、個人データをクラウドサービス事業者に送信しなければならないのですが、どのような点に留意するべきでしょうか。 クラウドサービス(SaaS)の利用に伴いクラウドサービス事業者に個人データを送信する場合の留意点は、クラウドサービス事業者が国内の事業者であるのか、それとも、国外の事業者であるのかによって異なります。 国内のクラウドサービス事業者に個人データを送信する場合には、基本的には個人データの取扱いの委託に該当し、本人の同意を得る必要はありませんが、クラウドサービス事業者の監督義務を負うことになる点に留意が必要です。これに対して、国外のクラウドサービス事業者に個人データを送信する場合には、一定の要件を備える必要がある点に留意が必要です。 個人データの「提供」
2022年4月1日に迫った改正個人情報保護法の施行。2021年の末に実施したBUSINESS LAWYERSのアンケート 1 では、対応が順調に進んでいるとする回答が見られた一方、約8割方の企業では対応遅延や未対応という状況にあることがわかりました。 本稿では杉浦健二弁護士が、改正個人情報保護法が実務に与える影響について、対応事項リストも用いて概観したうえで、個人データの安全管理措置に新たに追加された「外的環境の把握」など、いくつかの注目すべきポイントについて解説します。 凡例 本稿における主な略称は以下のとおりです。 個人情報保護法/法:個人情報の保護に関する法律 令和2年改正法/改正法:個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律による改正後の個人情報保護法 令和3年改正法:デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律による改正後の個人情報保護法 施行令:個人情報の保護
Emotetは、感染した端末に記録されているメール情報等を収集し、アドレス帳に記録されていた取引先に対してマルウェア付きのメールを送信して感染拡大を図る挙動を有しています。 メール情報等を窃取される結果、改正個人情報保護法のもとでは個人情報保護委員会への報告義務が生じます。また、感染についてセキュリティ体制の不備など過失が認められる場合には、取引先から調査費用といった損害について賠償請求を受ける可能性があります。 Emotetとは Emotetとは、感染したPC端末にトロイの木馬やランサムウェアなどの他のマルウェアをダウンロードさせたり、感染した端末から窃取した情報をもとに、さらに他の端末へEmotetの感染を広げる挙動(Emotetをダウンロードさせるファイルが添付されたメール(攻撃メール)を送信する等)を持つマルウェアです。 Emotetによるサイバー攻撃は、2019年ごろから日本国内
BUSINESS LAWYERS 知的財産権・エンタメ チュチュアンナによるファッションデザインの模倣事案、読み解くポイントや担当者がとるべき対応方法を海老澤弁護士が解説
情報の漏えいのルートには、従業員のミスによるものや不正アクセスによるものなど、様々なルートがあると思いますが、特に退職者による持出し・漏えいを防ぐために有効な手段はありますか。 情報へのアクセス権の制限等の物理的・技術的な防止措置を講じることはもちろんのこと、サンクション(懲戒処分等)を背景とした人的(心理的)防止措置を講じることもポイントになります。また、退職者が退職してしまう前に持出し・漏えいの可能性を検知することも重要であり、そのための手段としては、モニタリング制度の活用などが考えられます。 はじめに 退職者(退職予定者も含み、以下同様とします)による機密情報持出し・漏えい(以下、「持出し等」といいます)は、今も昔も企業にとって重大な問題です。たとえば、経済産業省知的財産政策室の「営業秘密の保護・活用について」(平成29年6月)によると、「中途退職者(正規社員)による漏えい」は、2番
NFTに関する税務上の取扱いの現状 NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)に関する税務上の取扱いについては、現状、国税庁等が公表したものはなく、明確な指針が存在しない状況ですが、すでにNFTに関する相当数のビジネスが現実に展開されています。 そこで、本稿においては、NFTに関わる法人である事業者およびNFTを購入する個人を念頭に、NFTに関する税務上の取扱いについて考えてみたいと思います。 なお、本稿の記載は執筆者の私見であり、所属する法律事務所としての公式見解ではありませんので、念のため申し添えます。 NFTに関する税務上の取扱いに関する基本的な考え方 すでに第1回【弁護士が解説】 NFTとは? 法規制と実務上の留意点において解説しているとおり、NFT自体は、ブロックチェーン上のデジタルトークンとして発行されデータとして存在するにすぎず、単独では所有権が観念でき
システム開発に関する契約では、請負契約か準委任契約のいずれかを用いることが多いと聞きました。それぞれの契約をどのように使い分けるべきか教えてください。 請負契約は結果の達成を約束するものです。そのため、契約を締結する段階で、ベンダーが達成すべき結果が明確になっていない場合や、結果が達成できるか否かが、ベンダーの努力や作業の巧拙以外の要素に大きく依存する場合には、請負契約はなじみにくく、準委任契約が適切といえます。 ウォーターフォール型開発の場合、工程ごとの性質に応じて、両契約を使い分けるのが一般的です。他方で、アジャイル開発やAI開発は、準委任契約に親和的であると考えられます。 請負契約と準委任契約の違い 請負契約と準委任契約は、その契約の目的が、ベンダーが役務を行うことそのものにあるのか、それとも、ベンダーが役務の結果として完成させた成果物(システム等)を給付することにあるのかという点に
<編注> 2021年10月11日:個人情報保護委員会『「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A』(2017年2月16日、2021年9月30日最終更新)、および『「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A』(2017年2月16日、2021年9月10日最終更新)の更新を踏まえ、2および4-1について加筆、修正しました。 行動ターゲティング広告とは 行動ターゲティング広告とは行動履歴情報から利用者の興味・嗜好を分析して利用者を小集団(クラスター)に分類し、クラスターごとにインターネット広告を出し分けるサービスで、行動履歴情報の蓄積を伴うものをいいます(JIAAガイドラインより)。 個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」(令和元年12月13日)では、
以下、①暗号資産、②前払式支払手段、③為替取引、④ポイント、⑤有価証券、それぞれの定義および要件について解説します。 暗号資産 暗号資産とは、以下の( i )ないし( iii )の要件をすべて満たすもの(「1号暗号資産」)または、不特定の者との間で、1号暗号資産と相互に交換できるものであって、( ii )および( iii )の要件を満たすものをいいます(「2号暗号資産」)(資金決済法2条5項)。 上記要件( i )・( ii )に関して、ビットコインなどの暗号資産には特定の発行者が存在しない場合があり、発行者等の特定の者に対してのみ使用することを想定しているものではありません。そのため、発行者や加盟店など、特定の者のみに対する使用を想定しているSuica等の電子マネーに代表される前払式支払手段は暗号資産には該当しないものと考えられます(金融庁「事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16 暗
契約は、一方の申込の意思表示と他方の承諾の意思表示が合致することで成立します。そうすると、申込書には、申込の意思表示しか記載されていないため、およそ「契約書」に該当することはないように思います。申込書が「契約書」に該当することはあるのでしょうか。また、どのような場合に申込書が「契約書」に該当するのでしょうか。 申込書は、原則として、「契約書」に該当することはありません。しかし、仮に文書の表題が「申込書」となっていても、それが契約の成立を証明することができる場合には、「契約書」に該当します。そのような場合として、印紙税法基本通達21条2項は、3つの場合をあげています。 申込書、注文書、依頼書などの文書 申込書、注文書、依頼書といった表題のつけられた文書(以下、単に「申込書」といいます)の取扱いには注意が必要です。「契約書は印紙が問題となる」ということは広く知られていますが、それゆえに「文書の
クレジットカード情報の漏えい事案の場合、漏えいしたクレジットカード情報の不正使用を伴うため、一般的な個人情報漏えい事案と比べて損害額が大きくなります。また、サイバー攻撃を受けた企業および個人情報が漏えいした個人に加えて、クレジットカード会社、ECサイトの開発・保守を担うベンダー企業も関わるため、一般的な個人情報漏えい事案と比べて当事者関係が複雑となります。 クレジットカード情報の漏えい事案の概要 ECサイトの普及により、クレジットカードに係る情報(以下「クレジットカード情報」といいます)の漏えい事案が増えています。 ここでのクレジットカード情報の漏えい事案とは、ECサイトで商品を購入するうえで、決済画面でクレジットカード情報を入力して決済を行う場合に、その入力したクレジットカード情報が盗み出され、不正に使用されるという事案をいいます。 不正利用分について、クレジットカード会社がクレジットカ
長瀨 威志弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 井上 乾介弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 片山 智晶弁護士 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 奥田 美希弁護士 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 鈴川 大路弁護士 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 「リアルアート」「NFTアート」の創作・流通の法律関係 前回の議論を前提に、Aが「アート」を創作し、AからB、BからCと転々流通する過程における民法、著作権法のデフォルトルールを中心に、リアルアートとNFTアートを対比させながら検討します 1。なお、「NFTアート」については、NFTの提供の技術的な方法によって、問題となる支分権等の分析は異なり得ますが、議論の便宜のために一定程度模式化しています。 Aによる「アート」の創作 「リアルアート」
NFTアート クリエイターであるAは、NFTを活用して、ひまわりを描いた「NFTアート」を作成した。Aは、「NFTアート」を取引するプラットフォーム上において、当該「NFTアート」を出品し、Bが購入した。その後、Bは当該NFTアートをNFTプラットフォーム上で販売し、C、D・・・の手に渡っていった。 著作権法のポイント 著作権法は、端的にいうと、創作的な表現である「著作物」について「著作者」ないし「著作権者」がもつ「著作権」や「著作者人格権」等の権利を保護する法律であるといえます 1。 「著作物」とは 著作権法は、保護の対象とする「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています(著作権法(以下「法」といいます)2条1項1号)。 著作権法は、著作物の例として、「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」(法10条1項4号)をは
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