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今年の「#文学」
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原点を超えるエレクトロニック・ミュージック 池田亮司の活動がめざましい。表現が賦活化しているといえばいいか。すでに閉幕したが、夏の終わりまで青森の弘前れんが倉庫美術館で国内では東京都現代美術館での2009年の個展以来、13年ぶりとなる大規模展を成功させたかと思えば、岡山や東京での作品展示があり、12月にもデジタルアートと音楽の祭典〈MUTEK.JP 2022〉への参加のアナウンスもあった。 オーディオとヴィジュアル、時間と空間を横断する池田の活動はいまにはじまったことではないとはいえ、極大と極小が背中合わせになったここしばらくの精細かつ壮大なヴィジョンはサウンド/アートの地平にひとつの領野を拓いたといってもいいすぎではない。となれば2013年の『supercodex』以来となる新作にも期待が高まろうというもの。 池田の母屋ともいえる〈音〉の分野におけるおよそ10年ぶり、10作目のアルバム『
世界中にロックバンドの復活劇は数あれど、結成から数えて37年の時を経て初めてのアルバムを制作し、実際にリリースしてしまうなどという例が、過去にどれほどあっただろうか。 VENUS PETERのフロントマンで、現在はソロアーティストとしても活動する沖野俊太郎が、そのキャリアの最初期にあたる1987年、フリッパーズ・ギターとしてデビューする以前の小山田圭吾を誘って結成したバンドが、VELLUDOだ。散発的なライブの他は、1988年に一枚のEPを残したのみで消滅してしまった同バンドは、おそらく、両者のコアなファンには少なからずその名が知られているだろう。しかし、当時そのライブを目にし、レコードを手にしたものはごく少数で、よくある言い方をあえてさせてもらうならば、正真正銘の〈幻のバンド〉だった。 しかし、昨年2023年。そのVELLUDOが突然の復活を遂げ、一夜限りのライブを披露したのだから驚いた
今年でデビュー35周年を迎えたシンガーソングライター、高野寛。新作『Modern Vintage Future』はエレクトロニックなサウンドを全面的に導入して新境地を切り開いた。 そんな高野とかつて一緒に音楽活動をしていたのが、女優/歌手の原田知世だ。高橋幸宏が結成したバンド、pupaに高野と原田は参加。近年では、原田は新作『カリン』と前作『fruitful days』で高野に歌詞を依頼。原田のデビュー40周年記念コンサートで共演するなど交流は現在も続いている。長年の創作パートナー、伊藤ゴローがプロデュースを手掛けた『カリン』は冬をテーマにしたミニアルバムで、円熟味を増しながらも瑞々しさを失わない原田の歌声は唯一無二だ。 それぞれ独自のスタイルを持ちながら「世界観に通じ合うものがある」と語る2人に、新作を中心に語り合ってもらった。 pupaは私にとって生涯で唯一のバンド。宝物です(原田)
2004年のリリースから20周年のアニバーサリーを迎えた今年、スクエアプッシャーの人気作『Ultravisitor』がリイシューされた。超絶技巧の演奏と緻密なエディットを通じて、打ち込み/生演奏、スタジオ/ライブといった境界線をかき乱す意欲作であり、“Iambic 9 Poetry”や“Tetra-Sync”といった人気曲を収録し、ファンからの支持も根強いアルバムだ。 そんな本作をスクエアプッシャーのキャリアを決定づけた作品として熱烈に推すのが、クラムボンのミトだ。以前、『Be Up A Hello』リリース時にスクエアプッシャーの音楽についてインタビューを受けた際には、少なくない紙幅を『Ultravisitor』の話に割いていたほど。今回のリイシューにあたって、本作との出会いからその音楽的なユニークさ、そして今回のリマスターの持つ意義に至るまで、より深く本作について話を聞くことにした。
繊細に作り込まれ、構成された音世界 柳樂光隆「(聴き終えて)……いや~、素晴らしい!」 ――まるで一本の映画を見たかのようでしたね。 和田博巳「最後の盛り上がりがすごかったですね。螺旋階段で下に降りていくような……いや、むしろ上っていくのかな。 このアルバムには〈終わりのない世界〉という素敵なキャッチフレーズが付けられていて、アンビエント系と言われていたので、最初はリラックスして聴いていたんです。でも、聴いているうちに〈これはすごいレコードだ!〉と思って。背筋をちゃんと伸ばして、きちんと真面目に聴かなきゃシネフロさんに対して失礼だと思ってね。永遠に聴き続けていたいアルバムですよ。今年一、二を争う大傑作だと思います」 柳樂「この環境で聴いたら本当に素晴らしかったですね。和田さんの以前のご自宅でホセ・ジェイムズの『No Beginning No End』を一緒に聴いたのって覚えてます? あのア
スーパーファミコン時代のスクウェア(現:スクウェア・エニックス)にとって、ファイナルファンタジーシリーズと並ぶ看板作品だったのがロマンシング サ・ガシリーズだ。1989年に河津秋敏を中心にして生みだされたサガシリーズのなかでも根強い人気を誇っており、今年2024年10月24日にはスーパーファミコン用ソフト「ロマンシング サ・ガ2」(1993年発売)をフルリメイクした「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」が発売されたばかり。売れ行きも非常に良いだけでなく、各所で大絶賛の声が多数。オリジナルのスーパーファミコン版では自由度の高さゆえに子どもには難易度が高かったが、フルリメイク版では難易度が選べるようになっていたりと、初めてのプレイでも遊びやすい仕様になっている。 10月30日にはこのフルリメイク版のオリジナル・サウンドトラックの発売にあわせて、リリース記念イヴェントがタワーレコード渋谷
ザ・タイマーズのファーストアルバム『THE TIMERS』のリリース35周年を記念した作品集『THE TIMERS 35周年祝賀記念品』が、2024年11月13日に発売された。 言わずと知れた、忌野清志郎に酷似した人物・ZERRY率いる4人組バンド、ザ・タイマーズ。今作には、大ヒット曲“デイ・ドリーム・ビリーバー”を収録したファーストアルバムの最新リマスターに始まり、神出鬼没なライブ活動で披露されていたものの日の目を見なかった幻の楽曲や既発曲の別バージョンといった秘蔵音源も収録されている。特に注目したいのが、“君はLOVE ME TENDERを聴いたか?”だ。RCサクセションのライブ盤『コブラの悩み』の最後にショートバージョンとして収録されていたこの曲が、なぜこの音源集に収録されているのか? 当時、東芝EMIの宣伝担当者として彼らと密接に関わっており、今作の制作に携わった高橋Rock Me
2024年はザ・スマイルとして『Wall Of Eyes』『Cutouts』という2作を連続リリース、ソロでサウンドトラック『Confidenza』も発表し、いつになく精力的に活動しているトム・ヨーク。さらにツアー〈Thom Yorke: everything playing work solo from across his career〉を突如開始、2019年のフジロック以来5年ぶりになる待望の来日ライブが本日11月12日から大阪でスタートする。Mikikiはこれを記念して、音楽ライター9名に今回の日本公演で聴きたい1曲とコメントを募った。読者のみなさんも〈あの曲が生で聴けたら嬉しい〉と考えながら、それぞれの選曲をぜひ楽しんでほしい。 *Mikiki編集部 The Smile “Tiptoe” by 小野島 大 キャリア総括を謳った完全ソロライブ。海外の演奏曲を見ると、公演ごとに曲目も
キング・クリムゾンが1974年にリリースしたオリジナルアルバム『Red』、本作のリリースから今年で50年を迎えた。11月6日には最新ミックスやセッション音源などをコンパイルした50周年記念盤『Red 50』の国内盤も発表され、節目が訪れるたびにその作品価値は更新され続けている。 シド・バレットのドキュメンタリーが公開され、デヴィッド・ギルモアが新作を放ち、イエスが来日した2024年――プログレッシブロックが盛り上がりを見せる今、Mikikiでは『Red』の魅力を再考すべく和田信一郎(s.h.i.)に執筆を依頼。以下、4,000字以上にわたる『Red』とキング・クリムゾンを紐解くテキストをお届けする。 *Mikiki編集部 プログレという枠に留まらない存在感と影響力 『Red』は、音楽の歴史全体を見ても屈指の名作だ。ロックの先進性が最初の極点に達した1970年代のプログレッシブロック、その有
村八分はロックンロールの魂を掴んでいた――久保田麻琴が魅力を語る!! 71年から73年にかけてのわずかな活動期間にもかかわらず、日本のロック黎明期にその名を刻んだバンド、村八分。ヴォーカルの柴田和志(通称チャー坊)とギターの山口冨士夫を二枚看板とする彼らは、ローリング・ストーンズばりの危険な香り漂うロックンロールを鳴らし、解散後もカルト的な人気を獲得した。先頃『一九七三年一月 京都大学西部講堂』『三田祭 1972』という村八分の貴重音源がアナログ化されて話題となったが、このたび最初期のスタジオ録音と71年7月のライヴ音源をまとめた『1971(くたびれて/ぶっつぶせ!!)』がアナログ・リリース。ジャケットには村八分結成前、サンフランシスコのアパートで撮影されたチャー坊の未公開写真が使用され、前2作同様、久保田麻琴がリマスタリングを施した。村八分と同時期に裸のラリーズのメンバーとして活動し、当
名盤と称され、〈みんなの〉お気に入りとなった音楽はいま〈彼女の〉もとに戻った。 一人だけで歌い、演奏した『My Favorite Things』に滲む世界への理想像とは? 今年2月、キャリア史上最高傑作と評するにふさわしいアルバム『Your Favorite Things』を発表した柴田聡子。ブラック・ミュージックなどへ接近しつつ自身の音楽世界を最大限に深化させてみた同作を経て、彼女が早くも新たな作品を届けてくれた。その新作の名は『My Favorite Things』。タイトルからもわかる通り、前作と深い関係を持ったアルバムだ。〈あなたたち〉と共に作った作品を経て、〈私〉の音楽を見つめ直す――。これまでもギター弾き語りなどで〈ひとりぼっち〉のライヴ活動を行ってきた彼女が、みずからの作品『Your Favorite Things』収録曲を、たった一人だけで歌い、演奏したのが本作である。 「
94年に最初のコンピレーションアルバムをリリースしてから、2024年に30周年を迎えた『Free Soul』。これを記念して、『Legendary Free Soul ~ Supreme』『Legendary Free Soul ~ Premium』という2作のCDがリリースされた。さらに今回、橋本徹(SUBURBIA)が監修・選曲を担う7インチシングルのシリーズ〈Free Soul 7inch Collection〉がリリースされる。その第1弾は、11月3日(日)の〈レコードの日 2024〉の対象作品として発表される6タイトル。ジャクソン・シスターズ、オデッセイ、テリー・キャリアー、コーク・エスコヴェード、ジャクソン・ファイヴらの人気曲が集まっており、連続して12月21日(土)にも6枚のリリースが決定している。 今回はこの〈Free Soul 7inch Collection〉について、
AIシティポップとオリジナリティ、著作権と盗作問題 第一の理由には、比較的簡単に思い至ります。文章やイラスト、映像の分野でも同様の議論が巻き起こっていることからも分かる通り、膨大な既存コンテンツを参照して新たなコンテンツを作り出すという生成AIの方法論自体が、著作権法に抵触するのではないかという問題が、ここでも提出されているのです。 あいにく私はこの分野の専門家ではないので深入りは避けますが、一般的な生成AIによって作られた音楽の利用は、基本的には著作権法上許容されると理解されています。その一方で、特定のアーティストの〈オリジナリティ〉を意図的に模倣し、それを明確な利益目的に使用する場合など、不当と判断されうる場合もあるでしょう。〈AIシティポップ〉にも、一部から、まさにそうした〈オリジナリティ〉の収奪にあたるのではないかという疑義が投げかけられています。 元来シティポップは、インストのビ
人間の魂や創造性を信じる者 vs. BGMとして消費する者 第三の論点は、第一の論点と関連しつつも、より本質的なレベルのものです。あえて単純化して言えば、この間のリバイバル以降に浸透した現在のシティポップ観には、二通りの流れが入り混じりながら存在していると考えられます。 一つは、音楽的な野心に満ちたあの時代のミュージシャンたちが作家としての〈個性〉を刻みこんだ、代替の利かない創作物としてシティポップ一般の存在を捉える考え方です。リアルタイムで黄金期のシティポップを楽しんでいたファンに限らず、比較的若い人たちでも、プレイヤー志向の強いクリエイター/リスナー、および、音楽全般に特定の人物の感情の発露を求めるような熱心な聴き手には、どちらかといえばこちらの考え方に近い方が多いのではないでしょうか。 もう一つには、YouTube等のインターネット上での〈バズ〉を通じて、なんとなく懐かしくて洗練され
生成AIによる画像や音楽の〈創造〉。2024年現在、社会は生成AIが孕む様々な問題と向き合わざるを得ない状況だが、それらは徐々に受け入れられ、当然の光景になりつつもある。そんな今、SNSを中心に話題になっているのが〈AIシティポップ〉だ。AIが生み出すシティポップの楽曲が何故これほど議論になるのか? 著書「シティポップとは何か」「ポップミュージックはリバイバルをくりかえす」で知られる評論家の柴崎祐二が迫る。 *Mikiki編集部 生成AIが浸透した今、なぜAIシティポップが議論に? 事の発端は、先日、DJのデラさんが投稿した次のようなポストでした。 ちょっと、怖いの見つけてしまった。ユーチューブにて、AIで生成された80年代シティポップばかりアップしているアカウント。このクオリティが、どの曲も高すぎる。トラックのみならず歌詞もボーカルも素晴らしく、昨日まで存在しなかったはずなのに、どの音源
シンガーソングライター、かなふぁんによるプロジェクトのkiss the gambler。まるで子どものような純粋無垢な感覚とささやかでパーソナルな感覚、そこに潜む深みや複雑さといったものを捉える独創的な歌詞世界、それらを表現する唯一無二の歌声、一度聴いたら忘れがたいソングライティングの才が、じわじわと注目を集めている。 これまでにデビュー作『黙想』(2021年)、谷口雄プロデュースの『私は何を言っていますか?』(2023年)、弾き語りアルバム『何が綺麗だったの?』(2023年)と作品を発表してきたが、2024年に入ってTV東京「シナぷしゅ」へ“あかるいあかちゃん”を提供したり、フジロックへ出演したりと、活動の規模を徐々に拡大させてきた。 そんななかリリースするニューミニアルバムは、その名も『Relax!』。曲ごとに石井マサユキ(TICA)、Shingo Suzuki(Ovall)、鈴木正人
スピッツが1994年9月21日にリリースした5thアルバム『空の飛び方』。“ロビンソン”(1995年)でのブレイク前夜だが、後にドラマ「白線流し」(1996年)の主題歌としてヒットした“空も飛べるはず”のほか“青い車”“スパイダー”などを収めた名盤で、今年は30周年記念盤のリリースも話題になっている。そんな『空の飛び方』について『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』の著者、伏見瞬に論じてもらった。 *Mikiki編集部 ★連載〈94年の音楽〉の記事一覧はこちら 1994年J-POPの状況と『空の飛び方』に張り巡らされた文脈 スピッツというバンドの状況論としても、1994年のJ-POPの状況論としても、『空の飛び方』についてならいくらでも語ることができる。1991年のデビューから最初の3枚のアルバムと1枚のミニアルバムがほとんど売れず(いうまでもなくすべてが名盤である)、プロデュー
裏切りと断絶を繰り返して進む“スパイダー” では、どのようにスピッツは意味を殺して、言葉を更なる跳躍台に変えるのか。多くの曲に言葉を費やす余裕はない。1曲に絞ろう。誰もがその残酷さを前に途方に暮れざるをえない“青い車”については拙著『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』の第9章を読んでもらうとして、ここではもう一つの衝撃、“スパイダー”に接近する。 左右同時に鳴らされるアコースティックギターのストロークがまず爽やかに心地よく、ミュートギターの16分のフィーリングやスネアドラムの快活さにも胸が弾む。ベースだけが8分を刻むことで演奏の中にズレが導入されて、コンビネーションとしての快楽が宿る。演奏の上で、躍動感が育まれる。 その中で〈可愛い君が好きなもの ちょっと老いぼれてるピアノ〉と〈さびしい僕は地下室の すみっこでうずくまるスパイダー〉の対比的なリリックが飛び込んでくる。ここでの〈
タワーレコード新宿店~渋谷店の洋楽ロック/ポップス担当として、長年にわたり数々の企画やバイイングを行ってきた北爪啓之さん。マスメディアやWeb媒体などにも登場し、洋楽から邦楽、歌謡曲からオルタナティブ、オールディーズからアニソンまで横断する幅広い知識と独自の目線で語られるアイテムの紹介にファンも多い。退社後も実家稼業のかたわら音楽に接点のある仕事を続け、時折タワーレコードとも関わる真のミュージックラヴァ―でもあります。 つねにリスナー視点を大切にした語り口とユーモラスな発想をもっと多くの人に知ってもらいたい、読んでもらいたい! ということで始まったのが、連載〈パノラマ音楽奇談〉です。第18回は、読書の秋ということでロック/ポップスに登場する日本文学について綴ってもらいました。 *Mikiki編集部 ★連載〈パノラマ音楽奇談〉の記事一覧はこちら ロック/ポップスに登場する日本文学 今月から2
人気アニメ「ガールズバンドクライ」から飛び出したリアルバンドがいよいよ躍進! 物語を彩ったエモーショナルな名曲たちを実体化するアルバムが早くも登場! いろんな場面が浮かぶアルバム メディアミックス作品「ガールズバンドクライ」の劇中バンドと連動して結成された、〈既成概念ぶち壊し系エモり散らかしロックバンド〉ことトゲナシトゲアリ。リアルバンド活動と声優活動を並行して行う5人のメンバー、井芹仁菜役の理名(ヴォーカル)、河原木桃香役の夕莉(ギター)、安和すばる役の美怜(ドラムス)、海老塚智役の凪都(キーボード)、ルパ役の朱李(ベース)による同バンドが、今年4月から6月にかけて放送されたTVアニメの人気と共に大躍進している。 〈バンド〉や〈音楽〉の夢を追って不器用ながらも真っ直ぐに進む5人の姿を描いた胸を熱くさせるストーリー。葛藤を抱えながらも純粋で現代の若者らしいリアリティを感じさせるキャラクター
2023年にSUMMER SONICのヘッドライナーを務め、2024年4月のコーチェラ・フェスティバルでのライブをもって活動休止したブラー。一方でライブアルバム『Live At Wembley Stadium』のリリースやドキュメンタリー映画「Blur: To The End」の公開など、話題は尽きない。そんなブラーの代表作『Parklife』が1994年4月25日にリリースされてから、30年が経った。今回は名盤『Parklife』と当時の英国で花開いたムーブメント〈ブリットポップ〉について、音楽ライターの新谷洋子に振り返ってもらった。 *Mikiki編集部 ★連載〈94年の音楽〉の記事一覧はこちら 逆境のなかUKロックが試みた復権 ブリットポップとは何かと問われれば、究極的にはグランジへの反動であり、自分たちを呑み込まんとするアメリカンカルチャーに対する、英国人ミュージシャンたちからの押
1986年9月21日にリリースされ、当時少年少女たちに愛されたカセットテープ『キン肉マンのザ・ヒット・パレード 超人の歌ベスト20』。キン肉マン(CV:神谷明)とミートくん(CV:松島みのり)の軽快な掛け合いによるラジオDJ形式のトークとともに、名曲“キン肉マン Go Fight!”から“キン肉マン倶楽部”“キンケシ子守唄”といったレア曲まで20曲がランキング形式で楽しめる作品だ。本作がなんと、38年の時を経て初CD化された。新作アニメ「完璧超人始祖編」も話題の今、これを記念して「キン肉マン」を愛する岸田繁(くるり)に特別寄稿してもらった。 *Mikiki編集部 キン肉マンは、ほんまもんのスーパーヒーロー 私たち〈キン肉マン育ち〉の世代も、気がつけばアラフィフです。キン消しを集め、数々の必殺技を真似して学友たちと遊んでいた放課後も、遠い昔の記憶です。 「キン肉マン」の素晴らしさは、そんな昔
2023年に結成から20周年を迎えた Negicco。3人が、前作『MY COLOR』(2018年)以来実に6年ぶりのフルアルバムにして5作目となる『What A Wonderful World』をついにリリースした。作詞・作曲・編曲には、connieらおなじみの作家から、ノンブラリ・阿佐ヶ谷ロマンティクス・辻林美穂といった初顔合わせのアーティストまでが参加。出産などそれぞれが過ごしたパーソナルな時間も反映し、〈今のNegicco〉を詰め込んだ本作は、今後の活動への期待も膨らむ内容になっている。そんなアルバムについて、リーダーのNao☆へ音楽ライターの南波一海が話を聞いた。 *Mikiki編集部 再び3人で大きな舞台に立つために ――2023年に配信でリリースされた結成20周年記念作『Perfect Sense』が今年の7月にフィジカルリリースされたばかりだったので、まさかその1ヶ月後にフ
高石ともやが死去した。 高石ともやが亡くなったことは、オフィシャルサイトで発表された。〈フォークシンガー 高石ともやに長年ご厚情いただきまして、ありがとうございます。高石はかねてより入院療養中でしたが、去る8月17日 82歳の生涯を閉じました。とても残念でなりません 葬儀は密葬で近親者のみで執り行います。また、御供花、御香典等は勝手ながらご辞退させていただきます。なお、お別れ会は後日開催予定です〉と綴られている。 オフィシャルサイトのプロフィールによると、高石ともやは1941年、北海道・雨竜生まれ。1960年に立教大学に入学し、その後アメリカのフォークソングを訳して歌いはじめる。1966年、大阪労音フォークソング愛好会のコンサートに出演し、初舞台を踏んだ。同年、秦政明に見出され、各地の労働組合や大学、労音のコンサート、反戦集会などで歌うようになる。 さらにシングル“かごの鳥ブルース”でビク
これを終わらせなければ次に進めなかった――新時代のポップ・サウンドを撹乱する恐るべき才能がブレインフィーダーから届けた『魔法学校』は、音楽の現在と未来を圧倒的な刺激で輝かせる! 予期していなかった新たな可能性 ポップでカオティック、緻密にして奔放、複雑かつ刺激的なサウンドと自由で美しいメロディーの邂逅。エレクトロニカからジャズ、ロック、現代音楽に至るまで、多様なジャンルを攪拌する独創的な作風で支持を広げ、いまやポップ・ミュージックの未来をリードする存在となった長谷川白紙が、ニュー・アルバム『魔法学校』を完成させた。『エアにに』(2019年)から約5年ぶりのオリジナル・アルバムとなる本作は、フライング・ロータスが主宰するブレインフィーダーからのリリース。LAビートのシーンを起点に世界各地の先鋭的な顔ぶれをフックアップしてきた人気レーベルなだけに、長谷川としてもこの巡り合わせは創作への刺激にな
暴動クラブは2022年春に本格始動するやいなや、都内の各ライブハウスを席巻。現在もビンテージなロックンロールパーティ、オルタナティブなロックシーンからオールジャンルのフェスまでに活動の幅を広げながら、プロップスを高め続けている。 そんな彼らが1stフルアルバム『暴動クラブ』を完成させた。プロデューサーにTHE NEATBEATSの眞鍋“Mr.PAN”崇を迎え、彼の所有するアナログ機材オンリーのスタジオ、Grand-Frog Studioでの一発録りを決行。50年代、60年代のロックンロールやR&B、ガレージロックやパンクといった自らのルーツへの愛とクリエイティビティが相まって未来を示す、新たなムーブメントの誕生を予感させる作品に仕上がっている。 今回はバンドのアティチュードや作品に込めた想いについてメンバー全員にインタビュー。それぞれの想いのケミストリーという、バンドだからこそのエネルギッ
小沢健二が1994年8月31日にリリースしたアルバム『LIFE』。日本のポップス史に残るこの名盤が発表されてから30年が経とうとする今年、再現ライブの開催と待望のアナログレコード再発が発表され、2024年最新リマスター版が突如配信されるなど、アニバーサリーにまつわる動きが大きな話題になっている。そんな『LIFE』とはどんなアルバムだったのか? そして今、どんな意味を持つのか? 現在も色褪せない、むしろ輝きを増す本作について、リリース当時を知る音楽評論家・宮子和眞が綴った。 *Mikiki編集部 ★連載〈94年の音楽〉の記事一覧はこちら 1994年、最先端の東京の風景 まずはファッションブランドのプラダの話からいこう。 今でこそ日本だけで40を超える店舗を構えているプラダだが、日本で初めてそのブティックが東京・銀座にオープンしたのは2003年のこと。それよりも前の時代にプラダを手に入れるには
発表されるのと同時に大きな話題になった、BLANKEY JET CITYのサブスク解禁およびオリジナルアルバムの再発。2024年7月28日に全カタログの配信がついにスタート、往年のファンは歓喜に沸き、彼らのレガシーを初めて知る若い聴き手は衝撃を受けている。数十年越しのブランキー旋風が巻き起こる今、BLANKEY JET CITYとはどんなバンドだったのかを振り返りたい。時代を並走した音楽評論家・小野島大が、出会いの衝撃から終焉の意味合いまでを綴った。 *Mikiki編集部 解散から24年、きちんと評価される日が訪れた BLANKEY JET CITYの全10アルバムの音源がついにサブスク解禁された。同時にアナログ盤も発売。そのうち7作は初アナログ化だ。待ちに待った待望の再発プロジェクトである。 ブランキーは長いことサブスク未配信で、CDも品切れ状態が続いていた。DL配信は細々と続いていたし
”シカ色デイズ”の圧倒的なキャッチ―さ 〈しかのこのこのここしたんたん〉――軽快なリズムに乗せて、愛らしい女性の声で繰り返し歌われるこのフレーズを、最近耳にした覚えはないだろうか。TikTokやYouTubeなどSNSを中心に話題となり、現在ネット上でミーム化しているこの楽曲のタイトルは”シカ色デイズ”。今年7月より放送がスタートしたTVアニメ「しかのこのこのここしたんたん」のオープニングテーマだ。 「しかのこのこのここしたんたん」は、漫画家/イラストレーターのおしおしおが「マガジンポケット」で連載している漫画を原作とするアニメ。元ヤンキーの素性を隠し、優等生として学校生活を送る女子高生・〈こしたん〉こと虎視虎子(CV:藤田咲)が、頭にシカのようなツノが生えている転校生・〈のこたん〉こと鹿乃子のこ(CV:潘めぐみ)と出会い、なし崩し的にシカ部(シカをお世話することを目的とする部活)を結成す
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