いつの間にかウェブの神とも、巨人とも呼ばれるようになったGoogle。一方で、“グーグル型雇用”とも称される“超エリート主義”や、働く技術者たち、つまり作り手重視の徹底した職場環境など、その舞台裏についても取りざたされるようになった。
“一流シェフをやとったカフェテリア”“遊び心満載のオフィス風景”といった内容は、IT関連業界ではむしろ「いまさら」の話題ではある。
今回、グーグル本社を訪れた本来の目的も、Google Book Search、Google Analytics、エンタープライズ検索といったエンタープライズ関連部門のディレクターたちに実際にお会いし、それぞれのサービス内容の進捗やビジネス戦略などを聞くことにあった。その内容は、月刊ascii7月号:5/24発売で掲載予定だ。一方で、今年始めにNHKで“グーグル革命の衝撃”なる番組が放送され、あらためてグーグルの今を見てみたいとも感じていた。シリコンバレー界隈、マウンテンビューにオフィスを構えるGoogleを訪ねた。
拡大し続けるインターネット企業の星
いつの間にかグーグルの検索機能を使い始め、いつしかウェブブラウザ上の“HOME”登録を、あの大手ポータルサイトからグーグルに変え始めたのは、いつごろだったろうか。「ググる」とか「グーグラー」なんて言葉を耳にするようになったのは、まだそれほど昔のことではない。そもそも設立から9年と数ヵ月という年月しか経っていないのだから。
“ドットコムバブル”崩壊後のネット界を躍進し、2003年ごろからは社員リクルートを増大させ、企業買収を重ね、さまざまなサービスにも手を広げてきたグーグル。2003年当時の社員数1500名がいまや1万人と聞く。何をかいわんやである。ガレージから始まったサクセスストーリーには、米ヒューレット・パッカード社や米アップル社の例もあるが、それと比べてもグーグルは次世代テクノロジー産業の象徴と言えるだろう。
グーグル本社のある米カリフォルニア州マウンテンビューは、この時期気温も湿度も最適でとても気持ちがいい。それだけでも、日本と比べ、ここに住むエンジニアたちはうらやましい環境にあると感じる。広大なエリア内にいくつもの建物や施設が点在する米マイクロソフト社の本社は、大学キャンパスに習い“マイクロソフトキャンパス”と呼ばれるようになったが、グーグル本社も“グーグルキャンパス”と呼んで間違いない。