雨ノ日ノススメ 甲武信ヶ岳(2475m)ハイク 1日目その1
巷では土曜日から3連休だが、私も金・土と連休が貰えることになった。
コロナ禍前から行きたかった山小屋を予約しようとするも、なぜか15日は休館日(涙)
どこの山に行こうか悩んでいたところ、たまたま前日(14日)早朝6時からBSプレミアムで再放送されていた田中陽希さんのグレートトラバース3で、この山が取り上げられていた。
甲武信ヶ岳
”こうぶしんがだけ”でなく、”こぶしがだけ”と読む。
甲州(甲斐国=山梨県)、武州(武蔵国=埼玉県等)、信州(信濃国=長野県)の3つの国に跨ることから、頭文字をとってこう呼ばれるようになった説が有力。
奥秩父山塊のほぼ中央にある日本百名山で、新・花の百名山、山梨百名山、埼玉百名山、信州百名山にも選ばれている。
山登りを始めるまで全く知らなかった山で、正直数年前まで読み方さえ知らなかった。深田久弥翁も著書「日本百名山」の中でこう綴っている。
私の覚えている最初の山の遭難は,甲武信岳のそれであった。 あの騒ぎは大きかった。何しろ田舎の少年にも大事件として伝わったのだから、当時の世間に与えたショックの大きさが察せられる。 このごろのように一週間にいっぺんは登山者の死が報じられるような登山ラッシュ時代ではなく、 あれはたしか大正5年であったから、まだ一般には登山が冒険と見なされていた。しかも5名の遭難者の4人が帝大(現東大)へ入ったばかりの前途有望な青年であったことが、一層騒ぎを大きくしたのだろう。 1人だけが生き帰った。 甲武信岳という名が私の頭に沁みついたのはそれ以来であった。 おそらく甲武信岳という山の存在を世間に広く教えたのは、この遭難事件だろう。 昔から名山とたたえられた山ではない。頂上に祠もなければ、三角点もない。奥秩父でも、甲武信より高い峰に国師や朝日があり、山容から言ってもすぐ北の三宝山の方が堂々としている。 深田久弥・日本百名山より |
山頂直下に甲武信小屋という山小屋があり、1泊2食で8,500円と、値上げラッシュが続き1万円超が当たり前になった最近にあっては超良心的な料金設定。
早速てんくらで天候を確認すると、15日はまずまずの予報。
でも何度も裏切られているので、どうしようか迷っていたところ、
小屋のHPのTOPにあるこのコピーに目が留まる。
雨の日にきてほしい
甲武信岳にいて心底思うのは、雨の日にきてほしいということです。甲武信岳はどう贔屓目にみても、 雨のほうがきれいな山だと思うのです。 甲武信岳からは、もっとも条件のいいときで百名山が43座見えるという、展望の山でもあることは認めます。ですが展望のいい山というのはけっこうあちこちにある。だけれども雨が降って苔がしっとりした様子というのが見られる山というのは、そうあるものではない。北八ツなんかもそうだけど、こういう山は雨の時のほうが美しいものである。もうね、雨降って、森にガスがふわーっとあがってきて、それは幽玄になったときの美しさったらないよ。 雨の日は歩かないという人は多いかと思いますが、ぜひ、雨の日にこそ、甲武信岳にきてもらいたい。歩くには少ししんどいかもしれないけど、1度雨の甲武信岳を体験してもらいたいと思っています。 甲武信小屋ネットより抜粋 |
いくつかあるコースの中で、長野県側の川上村から苔が美しい渓谷沿いを登っていく千曲川源流コースが初級者向けで、山頂までの標準CTも約4時間30分と亀足の私向き。しかも途中には千曲川(信濃川)の源流碑もあるそうだ。
穿った見方をすれば、本音は宿泊者が減る雨の日にも来て欲しいのかもしれないが、この熱い想い?がこもったコピーを信じてソッコーで予約する(笑)
仕事を終えて帰宅後、21時に自宅を出発。
R158を東上し、東海北陸道、東海環状道、中央道と進む。
山梨県の中央道八ヶ岳PA(上り)で車中泊(2:00)
時間調整の大型トラックで9割方占拠されており、カオス状態。
大型車兼用の小型車スペースも大半が占拠され、駐車するのにひと苦労だった。
アラームで起床(7:00)
弱い雨が降っており、あんなに停まっていたトラックもほとんどいなくなっていた。
てんくらを確認すると、15日からAが消え、BとC。
一方16日はAが増えていた。ということは天気は回復に向かうのか?
約2㎞先の長坂ICで降り、R141(清里ライン)で野辺山方面へ。
予報とは大違いの激しい雨が降っている。
こんな雨の中登るのか?
長野県に入り、川上村(南佐久郡)へ。
標高1000m超の高地にあり、レタスの生産が盛んで日本一の生産量を誇る。
人口(約4300人)の約6割が第一次産業に従事する一見過疎化の進んだ山村に見えるが、1人あたりの平均年収が1500万円超という超リッチな村で、住民1人当たり換算の市町村税納税額は約70万円で、我が福井市(約25万円)の約3倍(令和2年度)
このため沿道にはレタス御殿とも称される豪邸や外車も多数見受けられる。
レタス街道では、レタスを満載した大型トラクターがガンガン走っている。
農道ではトラクターの方が優先なのでスピードは控えめに。
今年は6月に真夏日が続いたせいか、大きくなり過ぎたり、一斉に収穫期を迎え、
供給過剰により一時小売価格が1玉30円程度まで下がるほど大暴落。このまま出荷しても輸送コストも賄えないので、かなりの量が畑に放置して廃棄されるようだ。
今流行りのSDGsに逆行する感があるが、経済原理上は致し方ないのだろう。
農道終点から数百mほど林道を走ると駐車場に至る。
8:21 毛木場駐車場(毛木平)(もうきだいら:標高約1460m)
60台駐車可能な無料駐車場だが、先行者の車は1台のみ。ほかに徒歩で到着したと思われるソロの男性ハイカーだけで、雨の日の平日とはいえ日本百名山にしては寂しい限り。伺ったところ、彼も甲武信小屋でテン泊だそうだ。
東屋や水洗トイレ(男女別)も完備されている。
登山届を忘れずに提出。
長野県登山安全条例により、適切な装備と登山届の提出が義務付けされている。
ドーピング剤も忘れずに摂取。
水は白山での熱中症に懲りたので、3.5Lを携帯。
毛木平から甲武信ヶ岳山頂までは距離約7.5㎞、標高差約1,000m。
標準CTは4時間30分(yamap4時間5分)で、亀足倍率1.4倍を乗じて、6時間20分で目標CTを設定。
毛木平から十文字峠を経由する十文字峠・三宝山コースもある。
距離は約7.8㎞とそれほど変わらないが、序盤で標高差500mを一気に駆け上がり、その後も大山(2219m)、武信白岩山(2288m)、三宝山(2483m)などのアップダウンを繰り返すため、標準CTは2時間ほど長い約6時間20分(yamap5時間30分)
エグい勾配のグラフを見るだけで避けたくなる(笑)
なお川上村にある指定の山に登ると、レタ助の登頂証明書が貰える。
対象は甲武信ヶ岳を始め、金峰山(2599m:日本百名山)、小川山(2418m:信州百名山)、横尾山(1818m)、男山(1851m)、天狗山(1882m:信州百名山)、大山(2220m)、国師ヶ岳(2592m:日本三百名山)、高登谷山(1846m)の9座。
レタ助くんは県天然記念物の川上犬をモチーフにしたマスコットキャラクター。
裕福な村なんだから、レタ助くんの缶バッジも付けてくれるといいのに(笑)
川上村マスコットキャラクター「レタ助」
8:55 甲武信ヶ岳毛木平登山口(標高約1460m)
雨はほぼ止んでいたが、カッパを装着してハイク開始。もちろん今日は長靴じゃありません(笑)
序盤はシラカバ林の中の林道を歩いていく。
9:06 十文字峠分岐(標高約1480m)
車が1台停まっており、後から判ったが小屋番さんの車で、今朝食材を歩荷しながら登ってきたそうだ。
千曲川源流までは5.4㎞、甲武信ヶ岳山頂までは6.4㎞。
計画では明日十文字峠を回ってここに降りてくる予定。
岩だけでなく、倒木にもビッシリと生えた苔たち。
分岐を過ぎてもしばらく林道が続く。
前方にフェンスで囲まれた人工物が見えてきた(9:20)
どうやら簡易水道施設のようだ。
9:26 大山祇神社(標高約1560m)
小さな祠があり、山の神様の大山祇神(おおやまつみのかみ)を祀っている。
ハイクの安全を祈願する。
ここは千曲川源流まで4㎞地点でもある。
大山祇神社を過ぎると道幅が狭くなり、ロープ場のある岩場も出てくる。
途中見かけた大きな洞窟。
いざという時は雨宿りできそう。
千曲川左岸を遡上しながら、緩やかに登っていく。
雨で濡れた苔を愛でながらよたよた進んでいく。
9:54 慰霊碑
昭和13(1938)年9月の集中豪雨による山津波で、10名の林業従事者が遭難殉職したそうだ。合掌。
コメツガ林の中を進んでいく。
ナメ滝まで頑張るつもりだったが、ここで小休止(10:21)
小さな支沢には丸太で作られた橋が架けられている。
私の体重で折れないかな?(笑)
階段も濡れて滑り易いので慎重に通過する。
苔とダケカンバが奏でる幽玄な風景。
なるほど、雨の日にきてほしいという小屋番さんの想いも納得できる。
11:32 ナメ滝(標高約1920m)
登山口から2時間37分。標準CT(1時間40分)より1時間遅れているが、亀足補正後のタイムテーブル(2時間27分)では10分遅れと想定内。
甲武信ヶ岳まで2時間とあるが、私のタイムテーブルでは3時間30分(笑)
その名の通り、ナメ床のウォータースライダーのような滝。
蒸し暑くなってきたので小休止がてらカッパの上着を脱ぐ(11:48)
11:51 千曲川源流まで2.1㎞(標高約1930m)
この付近でソロの女性とすれ違う(11:54)
小屋番さんの話では駐車場の車の方で、5時から登り始めたそうだ。早っ!
コケ
コケは詳しくないので、ナニゴケかわかりません。
コケ
12:04 千曲川源流まで1.8㎞(標高約1970m)
コケに覆われた沢のような道を進んでいく。
増水時はここも沢になるのかも。
この付近で水飲みに来ていたシカ2匹と遭遇。
今日はまだ2人と2匹しか出会っていない(寂)
12:28 千曲川源流まで1.45㎞(標高約2030m)
そんなに刻まなくても(笑)
ナメ滝からまだ40分ほどしか経っていないが、たまらずここでも小休止(12:29)
前方に橋が見えてきた(12:55)
木橋を渡って右岸へ。
踏板が濡れている際は慎重に。
13:05 千曲川源流まで0.9㎞(標高約2085m)
本来の沢沿いの登山道が崩落しているのか、高巻きする箇所が増えてきた。
地味なアップダウンが疲れた身体に堪えてくる。
また雨が降ってきたので、カッパを羽織りがてら小休止(13:36)
13:52 千曲川源流まで0.35㎞(標高約2155m)
沢の音が静かになり、水量が目立って減ってきた(14:06)
そろそろ源流かな?
14:13 千曲川(信濃川)水源地標(標高約2240m)
登山口から5時間18分。予定の到着時刻は13時40分なので、約30分の遅れ。
ここが日本一長い(367㎞)、信濃川の水源地。
長野県内では千曲川と呼ばれ、新潟県に入ると信濃川と名を変える。
あの木の根元の岩から水が湧き出ており、ここから長い旅が始まる。
源水で淹れたコーヒーを飲もうと、ストーブ一式も担いできたのに生憎の雨。
仕方ないので喉を潤すだけで済ます。
重い腰を上げ、稜線までの急坂を登っていく(14:25)
約300mで標高差約110mを一気に登っていく。
この付近でデジカメ(WG-60)のマクロスタンドを紛失した模様。撮影に大きな支障はないがショック…
15:00 甲武信ヶ岳・国師ヶ岳分岐(標高約2345m)
登山開始から6時間5分が経過し、目標CTより20分遅れ。
雨ノ日ノススメ 甲武信ヶ岳(2475m)ハイク 1日目その2に続く…
※山梨・埼玉・長野県境の山ですが、長野県側から登ったので”長野の山”としました。
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