醤油造りの仕込み配合の重量換算と塩分濃度の計算

今回は醤油造りにおける麹の仕込み配合の体積から重量への換算、原料と麹の水分量の計算、汲水の配合と塩分濃度の計算について。
前回の水分量計算の訂正も含めて。

前回の記事はこちら。
醤油用の麹造り - よしだ’s diary

原料の単位

原料は重さ(kg)ではなく体積(リットル)で量る。
「大豆:小麦=50:50」と言えば、大豆と小麦を同じ体積使うという意味。
「11水」と言えば、大豆の体積+小麦の体積の11割の塩水を使うという意味。

体積と重さの換算は以下の通り。
・大豆 1kl = 720kg
・脱脂加工大豆 1kl = 600kg
・小麦 1kl = 750kg

第6表 こいくちしょうゆの仕込配合割合の一例

昔 現在
元1石 仕込割合 元1kl 仕込割合
大豆 35貫 1石 720kg
脱脂加工大豆 29貫 600kg 333kg(元0.55kl)
小麦 36貫 1石 750kg 333kg(元0.45kl)
食塩 32貫 1石
食塩水 23% 食塩水 1.2kl
水 1石 (12水)
計 元2石仕込 元1kl仕込

しょうゆの適正製造基準の作成とその要点(2)

大豆:小麦=50:50で仕込みたい場合、大豆1kgに対して小麦1.042kg、小麦1kgに対して大豆0.96kgとなる。
大豆1kgと小麦1kgで仕込んだ場合、割合は大豆:小麦=51.02:48.98となる。

脱脂加工大豆1kgと小麦1kgで仕込んだ場合、割合は脱脂加工大豆:小麦=55.556:44.444となる。

原料と麹の水分量

前回示した製麹経過での水分量。
これは原料を0とした歩合ではなく、水分の含有量。

盛り込み時:40.7%
2番手入れ:34.4%
出麹:27.6%
醤油の丸大豆仕込みについて P625 第3表

日本酒造りでは「出麹歩合」という言葉があるけど、醤油造りでは歩合ではなく水分量を量る。
日本酒の場合は麹歩合が20%程度なのに対し醤油の場合は100%なので、全体量から重量を量るよりも一部をサンプルして水分量を量る方が合理的ということなのかなと思う。(不明)

一般家庭では水分の含有量を測るのは難しいので、原料の水分量から計算する。
公式はこちら。

水分を除いた原料重量 = 原料重量 * (1 - 原料水分量)
出麹時水分量 = (出麹時重量 - 水分を除いた原料重量) / 出麹時重量

原料の出荷時水分量は以下の通り。

大豆。

出荷水分の15%以下まで乾燥を行います。
大豆の収穫・乾燥調製作業/千葉県

小麦。

乾燥仕上がり水分はビール麦で12%以下、小麦で12.5%以下、六条大麦で13%に調製します。
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こういう仮定で例を計算してみる。
・大豆1リットル、小麦1リットルで仕込む。
・原料の時点での水分量は大豆14%、小麦12%。
・大豆は蒸すと原料の240%の重量になる。
・大豆は放冷すると原料の200%の重量になる。
・小麦は炒ると原料の95%の重量になる。

大豆 (水分量) 小麦 (水分量) 大豆+小麦 (水分量)
原料体積 1000ml (14.00%) 1000ml (12.00%) -
原料重量 720g (14.00%) 750g (12.00%) -
水分を除いた原料重量 619.2g (0.00%) 660.0g (0.00%) -
蒸豆 1728.0g (64.17%) - -
放冷蒸豆 1440.0g (57.00%) - -
炒り小麦 - 712.5g (7.37%) -
盛り込み時 - - 2152.5g (40.57%)

盛り込み時の水分量目標値40.7%にだいぶ近い数値となる。

汲水の塩分濃度

醤油の種類によって出来上がった醤油の塩分濃度は変わるはずだけど、醤油の種類による塩分濃度や塩水の配合などは見つからなかった。
理屈はわからないけど食塩水の濃度は以下のように定めているらしい。
塩も体積で量るのではないかと思うけど、具体的な数値は探した限り重量換算のものしか見つからなかった。

元1kl当り12水の場合総食塩として268kgを使用し,食塩水の濃度は22.30と定めてある。
しょう油もろみの製造方法 1.原料の配合割合と汲水

プログラム

Gistにアップした。
example1がこの記事で例に上げた計算。
醤油造りにおける麹の仕込み配合から重量への換算、汲水の配合と塩分濃度の計算 · GitHub