『新版 ダメな議論』(ちくま文庫)発売です

 2006年にちくま新書より刊行された『ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)』がなんと!12年ぶりに文庫として発刊されました! 奥付は11月8日ですが書店に並び始める&amazonで在庫有りになるのが今日(11月10日)のようなので,満を持しての宣伝エントリです. 

  文庫版ですから,旧バージョンを持っている人には関係のない話・・・・・・とおもわれるかもしれませんが,タイトルを見て下さい!『新版 ダメな議論 (ちくま文庫)』ですよ.「新版」だし,「論理思考で見抜」いてないですよ! もう一冊買うべきです……とはいえまぁ旧バージョンを底本にしていまして,新章以外の内容面で大きな差はありませんが(大風呂敷ですいません).

 

 改訂のために12年も前の自著を読み返すのはなかなか恥ずかしいもので……12年前の自分がこんなにもったいつけた(なんというかモタモタした)文章を書いていたとは気づきませんでした.こんなはなしに何ページも使うなよ!数行でまとめろよ!という箇所がけっこうある.そこで改訂の際は「くどい!」と感じた部分をばさばさ切りました.

 その結果文字数は30%ほど減少……その分を新しいデータを補ったり,新章を足して最終的には旧バージョンとほぼ同じ分量の新版となっております.「新版」の章立ては,

はじめに

第1章 常識は「なんとなく」作られる

第2章 ダメな議論に「気づく」ために

第3章 予想される「反論」に答える

第4章 日本経済のダメな議論

第5章 ネット時代のダメな議論

文庫版おわりに

となっております.第2章・3章は比較的旧バージョンとの差が小さいですが,第1章は2018年現在にあわせて改訂し,第4章(旧4章・5章を加減)はそれ以上に書き換えています.

 このように書くと,ここ12年の様々なダメな議論を紹介しているのか……と思われるかもしれませんが,旧バージョンでも取り上げたBSE(牛海綿状脳症)問題やニート・フリーター論,構造改革なくして成長なし論などはそのまま生かして論じています.問題自体が落ち着いた今だからこそ,12年前に書いたとき以上に当時の主流だった説のダメさがはっきりわかるという部分もあるんですよね.

 一方,どうしても加えなければならなかったのが5章.旧バージョン発刊の2006年っていったらtwitterのサービス開始の年(日本版は2008年)ですよ.新聞やTV,ホームページやblogといいった媒体を用いた言説とは異なる,現代のダメな議論への注意点などをまとめています.

 

 しかし,『ダメ』が12年も前の本なのかぁ……2006年ってそもそも俺何してただろう……当時の発売告知エントリ「見本出来→来週発売 - こら!たまには研究しろ!!」みたんだけど……もう少しやる気出せよお前.まだ著書を宣伝しまくるのはちょっとなぁという羞恥心を持っていたことを思い出して赤面する43歳の冬でありました.