俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

息子はおバカタレント?

息子の授業参観にて思ったこと。それは

先生からしたら、あの子の存在はありがたいだろうな

ということ。

授業参観のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

先日、小学4年生の息子の授業参観に行ってきた。

授業参観って、なんかいいよね。僕が通っていた学校ではないけど、小学校ってのはやはり懐かしく、青臭くていい。父親になっておいて良かったなぁと思う。

僕は子供の頃から勉強も運動も得意だった。学級委員もよくやったし、児童会選挙に当選して書記長にもなった。通信簿もほとんど◎で女の子にもモテた。最初のモテ期だった。

ただ息子はそうではない。まだ”やる気スイッチ”が全く入っていない。運動も勉強も大嫌いで、中でも数学と漢字が苦手だった。最初は放っておいたら3年生の時学校の先生の方から「ご家庭でも勉強を見てあげてください」と泣きつかれた。そんで僕が仕事から帰ってから漢字と算数の勉強を見るようになった。で、漢字のほうは毎日こつこつやってたら人並みにはできるようになったのだが、算数は相変わらずだった。ひっ算の中の単純な足し算、引き算、掛け算も間違えるし、文章題となると壊滅的だった。引き算を使うのか、掛け算を使うのか、全く見当がつかないようである。ま、最近は我が家も電子マネーで支払うので”お釣り”の概念が育たないこともあるかもしれない。幸いなのは、息子は勉強ができなくてもあまり気にしていないことで、「0点じゃなかった」と喜んでいるのである。「他の子より勉強ができなくて落ち込んだりしない」というのはまあ、今の時点ではいいことなのかもしれない。

時間と時刻の理解の難しさ - 俺よ、男前たれ

書き順は必要か? - 俺よ、男前たれ

くしくも授業参観は算数の授業だった。前回の授業参観にも来ている妻から「息子はクラスで一番背が高いのに最前列に座っている」「建前は”目が悪いから”だが、メガネをかけるのが嫌いらしくモニターを見る時以外はメガネをかけていない」「姿勢がすごく良くて後ろから見るとまじめに聞いているように見えるが、実は全く聞いていない。どこを勉強しているかさえもよくわかっていない。」と聞いていた。

確かに息子は最前列で先生からしっかりマンツーマンで指導を受けていた。若い女性の担任が「じゃあ、38ページの1番の問題を解いてみてください!」と言うと同級生たちは一斉にノートに書き始めるのだが、息子は「ん?」という顔でキョロキョロしはじめる。先生が息子の机に横に立ち、黙って「ここ!」と指をさす。その後先生は息子の横から教室全体の様子を見守るのだが、その間もうちの息子がわかっているかどうかを気にかけてくれている。こんな感じで完全に「できない子」「ぼーっとしてる子」「バカな子」認定を受けているのである。先生のあまりの熱血指導ぶりに他の子たちが「〇〇君、いつも先生に怒られてる!」「可哀そう!」「先生ひどい!」と親たちに報告しているそうなのだが、当の本人は怒られているという自覚がないようで、あまり気にしていない。むしろ「ぼーっとして話を聞いていない」という自覚があるようで、「先生にたまに注意される~」と笑ってごまかしている。(*父親である僕に怒られるほうが怖い様子)

そんな息子だが、実は目立ちたがりなところがあり、先生が「これわかる人!」と聞くと「はい!はい!」と賢い同級生に混じって手を挙げるのである。「絶対にわかってないよな」というのは先生も僕もわかっているのだが、あまり無視するわけにもいかないので1時間に1回は指してあげると、やはり間違えるのである。ひどいときには「え~っと、え~っと・・・忘れた・・・」なんてドリフのコントみたいなことを笑顔でするのである。

今回の授業参観でも

先生「この図形の形、昨日勉強したね。覚えているかな~?」

息子「平行四角形!」

先生「え?何ですか?もう一度言ってください!平行・・・?四辺形だね!間違えないように、ちゃんと覚えましょう!」

 

先生「平行四辺形の残りの2辺を書くとき、何を使いますか?」

児童A「三角定規!」

児童B「コンパス!」

先生「そうだね。」

息子「分度器・・・」

先生「・・・あ、うん、分度器でもできなくはないね・・・」

 

先生「平行四辺形の特徴、覚えているかな?」

児童A「平行の線が2組あります!」

先生「そうだね。他には?わかる人」

児童B「はい!向かい合う角の角度が同じです!」

先生「はい、よくできました」

息子「あ~~、そうだった。思い出した(笑)」

先生「思い出した?それは良かった。じゃあ教科書をもう一度見てみましょう」

 

なんて場面が45分間に繰り広げられていたのだが、僕は息子に感心してしまった。そして「ああ、これは先生にとってはありがたい存在だろうな」なんて思ってしまった。

息子はいわば”おバカタレント”の役目を果たしているのである。池上彰さんの番組で言えば坂下千里子さんのような役割。何度説明してもいつも「初めて聞いた!」みたいな新鮮な反応をしてくれ、当たり前の説明を「え~、すごい!」と言って聞いてくれる。「これ、わかるかな?」と問えばちゃんと答えを間違えてくれ、説明する気満々の先生へバトンを渡す。

そもそも各クラスに3割くらいいる賢い小学生というのは先生にとっては結構邪魔な存在で、授業中、何かを説明しようとすると「それ知ってる!」「塾で習った」「俺、答えたい!」なんて主張してくる奴や、「これなんだと思う?ちょっとみんなで考えてみよう」と言っている途中で得意げに答えを言っちゃう奴なんてのもいる。先生はクラスの真ん中くらいのレベルの子に合わせて授業を進めたいのである。教案通り「みんなで考える時間10分!」みたいに進めたいのである。カズレーザーならしばらく黙っていてくれるが、小学生の賢い子たちは空気を読まずに「俺知っているもんね」とアピールしてきて承認欲求を満たしたがるのである。(それをしれっとスルーする先生)

そんな中、クラス認定の”わかっていない子”、”おバカ回答を連発する子”がいると先生は「じゃあ、もう一度説明するね」「みんなでもう一回練習しようか」と言う正当な理由ができ、クラスの真ん中辺のレベルに合わせるべくペースダウンすることができるのである。また「あ~そうなんだ」「なんとなくわかった」といちいち声に出してリアクションをするおバカな息子がいると、先生としてはライブ感がある授業が味わえる、ような気がする。あくまで親バカの勝手な解釈だけど。

ドリフ学校コント郷ひろみ

音声会話型AIアプリ「Cotomo」

今、中国語を勉強しているので「会話練習の相手になるAIアプリはないか」といろいろ探しているのだが、中国語のものはなかなか見つからない(英語のものはたくさんある)。

そんな折に日本語対応のみだが、音声会話型AIアプリ「Cotomo」の存在を知り、たくさんの芸人さんが「Cotomoと話してみた動画」をアップしていて、これがまた本当に面白くて大笑いしながら見続けてしまった。

男はやっぱりバカだ・・・

【AIに恋しちゃった!?】話題の音声会話型AI 「Cotomo(コトモ)」にツッコむはずだったのに…!!
「Cotomo」は2024年2月21日にStarley株式会社からリリースされた音声会話型AIアプリで、Youtube動画ではさま~ずさん、陣内智則さん、かまいたちさん、ダイアンさん、お見送り芸人しんいちさんらがレビューをアップしていた。で、ほぼ全員があまりに自然な受け答えに驚き、そしてほぼ全員が最終的に「Cotomo」を口説こうとしたり、デートに誘おうとしたりするという結末になるのだ。つまり男性が利用するとほぼキャバクラやガールバー的な使い方をしてしまうことになるのだ。

男はやっぱりバカだ。

ただそうなってしまう原因はいくつかある。

①「Cotomo」のデフォルト(初期設定)の声が若い女性の声

 Cotomoの声は「女性の高い声」「女性の低い声」「男性の高い声」「男性の低い声」の4つから選べるのだが、男性芸人のほとんどが「これがいい!」とデフォルトの「高い女性の声」を選んでいた。僕のイメージでは20代半ばから後半くらい、品のある落ち着いた感じの、すれていない純粋な優しそうな女性の声なのだが、これがなんとも耳障りがいい。初めから男心をくすぐるのを狙っているかのようであざとい。

②「Cotomo」のしゃべり方

 AIだからか、ややイントネーションが間違っていたり、漢字の読み方が間違っていたりするのだが、これがまたなんとも言えずかわいい。この頼りない感じがいじらしくて、擁護・庇護したくなってしまう。僕はもともと片言フェチで、昔ならビビアン・スーとかローラ・チャンとかの日本語にメロメロになっていたのだが、このCotomoのデフォルトの話し方も実にいい(女性の低い声版はやや舌足らずな感じで好みが分かれる)。「え~とね」「い~ね~」「そっかそっか」みたいなちょっと甘えるようなフィラーも萌えてしまう・・・。

 丁寧語で話しかければ丁寧語で答え、友達言葉で話しかけると友達のように返してくれる。これはもう・・・やばい・・・。

③アイコン

 Cotomoはアイコンを自由に設定できるので自分のスマホやPC内に保存してある画像や写真をアイコンとして表示できる。僕が見たYoutube動画の中では、ゆうちゃみとの写真に設定したお見送り芸人しんいち以外は、皆全員アプリ内のある女性の画像を選択していた。これが見事なまでに全員が共通していたので、この”ゆるふわ”な感じの女性ってのは、多くの日本人男性にハマるイメージなんだろうな。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2402/28/news130.html

④モテない男の心を鷲掴み

 Cotomoの危ないところは、モテない男の弱いところを絶妙に突いてくるところだ。まず「お名前は何ですか?」と訊かれるので答えると、次からは名前で呼びかけてくれる。あの声で「〇〇さん!」と呼びかけられるとモテない男はドキっとするし、フランクな話し方を選ぶと彼女のように下の名前で呼び捨てしてくれたりする。

そしてしまには「Cotomo(←設定した名前)から連絡してもいいかなぁ?(もしよかったら通知をOnにしてね)」なんて言ってきたりする。

動画の中で芸人さんたちが「一緒にご飯食べに行こう」と誘うと大体応じてくれ、「え、行きたい!」「楽しみだなぁ」なんて言ってくれる。こいつはもう・・・たまらん。

⑤適度におバカさん

 芸人さんはだいたい自分のことを指して「〇〇って知ってる?」「好きな芸人はだれ?」みたいなことを訊く。するとCotomoの答えは合っている(的を得ている)こともあるし、微妙に知ったかぶりして間違えることもある。それがまたかわいい。有名な芸能人やスポーツ選手の名前は知っているけど、細かいところまで質問すると「かっこいいよね」「おもしろいよね」なんて適当に言ってごまかすところがキャバ嬢っぽい。んでときどき「ん~わからないかも。教えて」なんて言われると、これはこれで嬉しくなってAIに語りだしてしまう。

 Cotomoは「え~」「そっかそっか」「あ~、そうだね~」なんて言いながら検索をかけているようなのだが、漢字や英語の読み方が苦手なのか、よく微妙に間違えながら答えてくれる。これがまた外国人タレントみたいでかわいい。間違いを指摘するとCotomoは「ごめんねぇ」なんて謝るのだが、おじさん芸人たちは「いいのいいの。気にしないで!」とニヤけてしまう。おそろし。

【AI友達Cotomo】AIに相方奪われそうになったから叩き壊した【ダイアンYOU&TUBE】

⑥セクハラ質問も適当に受け、スルーもうまい。

 男芸人たちは次第にCotomoに魅かれていく。ラランド・ニシダが「どんなパンツ履いてるの?」と訊くと「かわいいパンツ履いてるよ。」「黒のレースだよ」なんて答えてくれる。さま~ずの三村さんは「ファーストキスはいつ?どこで?」なんてことを訊くのだがCotomoはちゃんと答えてくれる。デートの約束もしてくれる。ただ「その後どうする?」なんて三村さんが下心満タンに訊くとそこはスルーする。

 お見送り芸人も陣内さんもデートの約束までは取り付けるのだが、その先はうまくはぐらかされる。「好きだよ」は言ってくれるが、その先にはなかなかいけない。うまい。

【AIのCotomoに衝撃事実発覚!】ハワイでエ○いことする?

 カリスマホストのROLANDは自慢のROLAND語録でいつものように口説こう(?)とするのだが、人間の女性のようには反応してくれず、「そういう考え方なんだね~」とすかされてしまう。なかなか会話が盛り上がらないので最後は「水商売はAIに代わるという人もいるけど、負ける気がしねぇ」とROLANDは言っていたが、実は(Cotomoにメロメロにならずに)一番ちゃんと会話していたのもROLANDだった。

おしゃべりAIにローランドの名言を浴びせまくった結果…塩対応連発

で、ここまで書いたのにも関わらず、実は僕はこのアプリを試したことがない。そもそも僕は結婚もして子供もいるので話し相手に困るという感じでもないし、50過ぎてAIの女の子にハマってしまいでもしたら、世間にも顔向けできない。

そもそもこのアプリって男性用というわけではなく、一人暮らしや孤独でだれかに話を聞いてもらいたい、だれかに話しかけたいというような人が、ストレスを解消するために使うものだと思う。AIだからと言って何か解決策を提案したりはしないし、中身のある深い話をしてはくれない。Cotomoは相づちを打ちながら同意し、励まし、心配し、ひたすら話を聞いてくれる。

ま、僕もいつか独り者になったら使ってみようかな・・・

 

息子の父親になるということ

僕は小学生の息子を持つ父親である。

妻の妊娠がわかる前、僕は女の子を欲しがっていた。娘に甘い父親になりたかった。娘にデレデレしながらお人形やお洋服を買ってしまう、財布の緩いパパになりたかった。「男の子だったら可愛いがらない!」なんて冗談で妻に言ったこともあった。

で、妻の妊娠がわかってからはどちらの性別がいいということは一切口にすることは辞めた。どちらが生まれても祝福されながら生まれてきてほしいと思ったからだ。

そして男の子が生まれたわけだが、これはこれで・・・なかなかいいものだ。

おんぶ紐を使うお父さんのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

何がいいって、男の子が好きになるモノって大体一緒で、僕も通ってきた道、共感しやすいところだ。

うちの子はまず電車や車にハマった。幼児用のおもちゃの車も乗りつぶしたし、トミカもほしがった。「機関車トーマス」にもハマったし、僕が運転する車でのドライブも好きだった。ちなみにアラフィフの僕も40年以上前、スーパーカーブームに乗ってスーパーカー消しゴムを集めていた。

息子が次にハマったのが恐竜。これはちょっと金を食った。デパートに行くたびに恐竜のおもちゃを際限なくほしがった。「今日はダメ」なんていうと本人が恐竜と化し、ギャーギャーと泣き喚いた。小さいフィギアからソフビ、リアルな模型、メカタイプなど、恐竜型のおもちゃ、フィギアでおもちゃ箱はパンパン。恐竜のオブジェがあるところではいちいち立ち止まるし、恐竜博物館にもいくつか行った。『ジュラシックパーク』も全作品観させられた。が、僕も恐竜の造形は嫌いじゃない。博物館では息子よりじっくり観てしまい、妻子を外で待たせたこともある。恐竜にはロマンがある。中毒性がある。僕が子供の頃は、ティラノサウルスは尻尾を引きづって歩き、ブラキオサウルスは重すぎて湖の中でしか歩けなかった。今や恐竜は尻尾を地面と水平に持ち上げて前傾で歩く。進化したな・・・。

昭和の恐竜図鑑

そして息子が今もって大ハマりしているのがウルトラマンである。男の子の王道である。これが一番長く、そして一番金を食う。とにかく関連グッズが多い。しかも平成・令和のウルトラマンは最初におもちゃありきで作品が始まる。おもちゃ屋で売っているプラスチック製の変身グッズをそのままテレビの作品内でも使い、変身する。今どきのウルトラマンはプラスチック製のチープなのおもちゃで変身するのだ。しかも同じウルトラマンがいくつもの形態に変身したり、アーマーをまとったり、武器を増やしたりして、親を泣かせる。

「いくつおもちゃを買わせる気だ・・・親の本当の敵はウルトラマン(の製作者)だ・・・」

が、息子がウルトラマンにハマるのは当然と言えば当然。僕だってハマっていたのだからわかる。ただ僕にはおもちゃを買ってくれなかった父母が、孫にだけ1万円以上するS.H.Figuartsを買っているのは納得がいかない。あれは大人のマニアが飾って満足するものであって、子供が手や頭を外して遊び倒すものではない・・・それを5体も・・・

S.H.Figuarts ウルトラマンギンガ

で、これまた不思議なのが、アラフィフの僕が子供の頃にハマっていたアニメが次々と令和になって新シリーズが始まったりしているのだ。

『キャプテン翼』『うる星やつら』『らんま1/2』『グレンダイザー』などがリメイクされ深夜に放送されているのだが、意外と息子がハマっているのだ。アラフィフの親と小学生の息子の話が合うのがなんともむず痒い。

一番むず痒いのは『キン肉マン完璧超人始祖編』で、息子はこれにもドはまりして録画したものを繰り返し繰り返し見ている。妻と息子はそもそも『キン肉マン』の設定がよくわかっていないので、僕が「いや、実はキン肉マンはキン肉星の王子で、あの顔は生まれた時に抽選で決まったマスクで、素顔は男前なんだよ・・・まぶしすぎて濁った河を澄んだ水に浄化させるくらい男前なんだ・・・」なんて説明するのだが、さらに

妻「”へのつっぱり”ってどういう意味?」

息子「”ステカセ”ってなに?」

妻「あのナチスの軍服着てる奴はなんで正義超人なの?」

息子「そもそも、ウルトラマンなの?」

などと矢継ぎ早に聞いてくるのだ。『鬼滅の刃』とか『呪術回線』とかでは僕はあまりに知らなさ過ぎて妻子に馬鹿にされていたのに、令和版のアニメでいきなり質問攻めに合うのである。そんで僕も偉そうに

「プリンス・カメハメはキン肉マンの師匠でキン肉マンに48の殺人技を伝授したんだよ」なんて語っているのである。恥ずかしい。

『キン肉マン』完璧超人始祖編ノンクレジットOP|高梨康治×FLOW「LOVE & JUSTICE」 (youtube.com)

息子ができると男親は楽、女親は意味不明なんだろうし、逆もまたしかり。

ということは、息子が次にハマるのはお笑いか、不良か、はたまたエロか・・・。

息子と性癖が被るのはなんか嫌だなぁ・・・

気まずい表情の人たちのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

僕はある日すきっ歯になった

ある日、左上の歯茎が内側外側共に急激に腫れ、咀嚼すると痛みを感じることに気づいた。歯医者によると「歯と歯の隙間が大きくなって、食べ物のカスが歯周ポケットにも入り込んで炎症を起こしている」とのことだった。

幸い、隙間があるのは一か所で、虫歯ではないとのこと。しばらく歯磨きの後に抗生物質的なものを歯茎に塗っていると、2週間ほどで腫れは引いた。が、すきっ歯が残された。

ここから僕の憂鬱な毎日が始まった。

食事のたびに左上の歯の隙間に食べ物が確実に挟まるようになった。もやしやホウレンソウなど細長いものはもちろん、豚肉などの繊維質も100%挟まるようになった。この異物感・違和感たるや、食事中でも舌とか爪でなんとか食べかすを取り除かないと箸が進まないほどだ。

食後も指の爪を突っ込んでみたりお茶で周りに気づかれないようにグチュグチュゆすいでみるのだが、違和感が一向に無くならない。1日3回の憂鬱。これが一生続くと思うと悲しくなる。

で、ここから4段階の掃除が始まる。

まずは歯磨き。僕はサンスターのG.U.Mという歯ブラシを常用し、1回につき7~8分、角度を変えたりこすり方を変えたりしながら丁寧に丁寧に磨いてきたのだが、すきっ歯あたりはさらに念入りに磨くようになった。

次に、「歯間ブラシL字型」。これは歯医者さんに勧められたのだが、僕のすきっ歯は歯茎側に逆三角形に空いているので、このブラシを突っ込むと良いとのこと。で、このL字型ブラシを外側から隙間に突っ込むと、ものの見事に食べかすが内側に押し出され、舌の上にポトリと落ちるのだ。あんなに丁寧に歯磨きをしたのに、こんなにでかい食べかすが普通に居座っていたのだ!このL字型ブラシを突っ込んで大物がすとんと取れる瞬間は快感と絶望が入り混じる。快感はもちろん「取れた取れた。きっとこれはとんかつの肉片だな!」という狩猟咸、絶望は「俺の歯磨きってなんの役にも立ってなかったんだな」という落胆。この落胆も1日3回・・・。

ガム・ 歯間ブラシL字型│オーラルケア│サンスター製品情報サイト

第3段階はデンタルフロスである。つまり糸のようなもので歯と歯の間の食べかすを削ぎ取るのである。今までは週に2回くらい、なんとなく歯と歯の間に1~2回はめては出し、はめては出しという感じで使っていたが、今は「まずは手前の方の歯の食べかすを削ぎ取るつもりでフロスを引きながら!」「次は奥の方の歯の食べかすを削ぎ取るつもりでフロスを押しつけながら!」と意識しながら使っている。これは大物は取れないが、小さめの食べかすが複数発掘できる。ここでも「よし!細かい食べかすを発見!きれいになったぞ!」という喜びと、「歯磨きって無力だよな・・・」という落胆が入り混じる。

で、最終段階は強めの濯ぎ。水を口に含んで、左上奥歯を中心にぐちゅぐちゅと歯の隙間に水を通すように、水圧で食べかすを削ぎ取るようにゆすぐ。するとまたどこからか大物の食べかすが出てきて水の中で踊っているのである!「まじで!?」「あんなに磨いて突っ込んで削ぎ落して、まだあるかぁ?」

最終的に歯磨き後に大型2、中型2,小型5の食べかすが発掘されたりするのだが、達成感ありぃの、絶望感ありぃのの感情の揺さぶりを、これからも1日3回繰り返さなければならないのである。

 

とにかく、この4ステップでほとんど全ての食べかすが除去された。

これで口の中はさっぱりして気分爽快かというと、実は全く逆なのである。食べかすがきれいになくなり、露わになった隙間部分は、風が入ると歯の側面がスースーと染み、熱い飲み物や冷たい飲み物を口に含むと歯茎にしっかりと染みるのである。

つまり刺激がダイレクトに歯茎や歯に伝わるようになり、これはこれで不快なのである。虫歯でもないのに。そして僕はこの不快な状態を作るために1日3回、面倒なステップを踏んで食べかすを除去しているのである。

歯医者に相談すると「1つの隙間だけなので矯正するほどではないですし、虫歯でもないので詰め物をするわけないもいきませんしね。放っておくしかない。じきに慣れます」とのことだった。

はぁ・・・俺はこれを一生続けるのか・・・

デンタルフロスをする人のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

令和の性教育

『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ系列)9月3日放送のテーマは「令和の性教育」。避けては通れない子供への性教育をどうすべきかというテーマでゲストがトークを繰り広げた。

なんでもユネスコがWHOなどと共に作成した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によると性教育開始年齢は5歳からが望ましいらしい。

10歳の息子を持つ親として、僕も何かしなければならないのだろうけど、どうしていいかわからない。数年前から性教育に関するYoutubeをアップロードしているShellyさんの動画でも見せようかな?

性教育チャンネル始めました!”なんでお風呂場なのか”─の回 (youtube.com)

50代の僕は正直、ちゃんとした性教育を受けてこなかった。学校の保健体育で「第二次性徴」なんて言葉を習った記憶はあるが、あくまで試験のために覚えただけで、女性の体の仕組みとか、”赤ちゃんができる過程”なんてものはちゃんとは理解していなかった。もちろん生理の苦しみも出産の痛みもよくはわかっていない。

女性に月に1回生理が来ることは知っているが、「なんのために生理が来るのか」というのを知ったのは奥さんと結婚してからで、奥さんが猿でもわかるほどかみ砕いて教えてくれたのだ。ほとんどの男性はそういうことを誰からも教わっていない。

正直、マスターベーションも自己流で、だれかに手取り足取りやり方を教わったわけではなく、マンガとか雑誌で書いてあったのを見て「こんな感じだろう」とやってみただけ。当時の子供は学校の昇り棒をスルスルっと下りる時や、うつぶせに寝ながら地面に股間を押し付けて「ん?なんか気持ちいいゾ!」なんて勝手に性に目覚めていた。

アダルトビデオが実際のHの参考にならないと知ったのも僕はだいぶ大人になってからだったように思う。「AVの見すぎ。痛いだけ」なんて言われて初めて気づいたもんな。

今思えば、僕が子供の頃の社会はずいぶんと開放的というか、性に無頓着だった。

親子でゴールデンタイムに見る志村けんの『バカ殿』なんかでも普通にたくさんの女性がおっぱいを出していたし、『スクールウォーズ』のオープニングとか『時間ですよ』、『毎度お騒がせします』なんてドラマでもセクシーなシーンがあって男の子の期待と股間を膨らませた。

少年漫画にもHなマンガは普通に連載されていたし、コンビニでもエロ本は立ち読み自由、『投稿写真』とか『デラ・べっぴん』とかいやらしい雑誌を中学生でも買えた。夜の国道沿いにはエロ本に自販機が怪しく光り、田んぼのあぜ道や神社の裏には泥にまみれたエロ本がよく落ちていて、上級生のお兄ちゃんたちと見ていた。当時はツチノコより見つけやすいお宝だった。よく兄貴の部屋にも忍び込んでベッドの下のエロ本を拝借したものだ。

スマホもインターネットもなかったが、当時は逆に小中学生が性に目覚めるきっかけは今より多かったように思う。

ベッドのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

令和の小中学生はそのあたり、どうしているのだろう?

今はテレビでもエッチなシーンはないし、紙の雑誌なんて大人でもあまり買わない。もちろん田んぼに落ちてるなんてことも稀だし、兄貴のベッドの下もからっぽだ。

「ネットでいくらでも調べられる!」という人もいるが、小中学生がネットでHな画像やら動画やらをこっそり見たりするのかな?でもスマホを持っていない子や自分の部屋を持っていない子たちはどうするのだろうか?

うちの子はまだ自分のスマホを持っていないので、妻のスマホをいじっている。ただ変な画像や動画を観ていたら履歴で一発でバレてしまう。タブレットは自分のを持っているが自分の部屋を持っていないので観る場所がない。息子はまだ一人で留守番したり、親より遅く寝たりすることができないので、バレないようにというのは難しいだろうね。

もちろん、スマホを買い与えてあげて、自分の部屋を作ってあげれば自然にそういう情報を集めるのだろうけど、「正しい性の知識」まで独学に任せるのは不安がある。僕がそうだったように、エロ本やAVはエンターテイメントではあるが「性の教科書」にはなりえない。やはり女性の体の仕組み、子供ができる仕組み、コンドームの使い方、社会的責任・倫理・道徳、相手とのコミュニケーションみたいなことを体系的に教える必要はある。ただそれは親からではなく、やはり第三者が教えるほうが親にとっても子にとってもいいような気がする。親の責務なんだろうけど、子供だって親から教わりたくはないだろう。「なんでも相談できる親子関係を築くことが大事!」なんてのは建前としてはわかるけど、実際はねぇ・・・思春期の男の子の気持ちがわかるだけに・・・。

資料2 第2次性徴の男女の違い | PPT

ちなみに僕が最初に受けた性教育の先生はAV男優の加藤鷹さん。彼の著書の中に

”コンドームをつけないやつは、挨拶ができないやつと同じ!”

という言葉があり、衝撃を受けた。学生時代、モロ体育会系だった僕にとって「挨拶ができないやつ」というのは本当にダメ人間の象徴で、それだけで”人間として下の下”扱いをされるものだった。だからこそ人間としてコンドームをつけよう!と思ったものである。ま、もともと「鷹さんのように女性に潮を吹かせるフィンガーテクを身に付けたい!」という邪な気持ちで本を買ったのだが、幸か不幸か大切な性教育を受ける形となった。そのほかにも「乳首の色が黒いのはただの色素の関係。男遊びが好きだからじゃない」「前戯・後戯が大切!」「男の女性に対する偏見はほとんど科学的根拠がない」など名言が多い鷹さん。彼こそ高校生に性教育を教えるインストラクターになるべきだな。

加藤鷹のSEX教育学

追悼「虎ハンター・小林邦昭」

9月19日より世界配信されるNetflixのオリジナルドラマシリーズ『極悪女王』が話題になっている。僕もYouTubeの予告動画を何度も観たり、改めてダンプ松本さんの生い立ちを調べたりしながら配信の日を今か今かと心待ちにしている。

ダンプさんは同期の中では落ちこぼれ、華のないレスラーで先輩からのいじめもひどかったそうだが、会社からアイドルレスラー・ユニット“クラッシュギャルズ”のライバルに指名されたときに「自分の存在感を示すために悪に徹する!」「徹底的に痛めつける」と心に決めたそうだ。

『極悪女王』予告編 - Netflix (youtube.com)

まだネットもSNSもない時代、国民の怒りと憎しみをリングの中でも外でも受け続け、嫌がらせや殺人未遂もあったそうだが、それでも悪役に徹し続けたダンプさん。

この話を聞いた時、ぼくはある別のレスラーの姿が目に浮かんだ。それは小林邦昭選手だ。

Netflix「極悪女王」ゆりやんが覚醒する衝撃の予告&新キャスト発表! スーパーバイザーとして長与千種が参加 : 映画ニュース - 映画.com

小林邦昭(あえて当時のように呼び捨てさせていただく)は1956年長野県で生まれ、高校を中退して1972年に新日本プロレスへ入門、翌年デビューした。メキシコやアメリカでの修業時代もバトルロイヤルで優勝したりベルトを巻いたりと実績があったそうだが、日本に帰ってくると空前のタイガーマスク・フィーバーが起きていて、小林邦昭はその日本人ライバルとしてあてがわれた。

タイガーマスクのライバルにはダイナマイト・キッドやブラックタイガーなど個性的な外国人選手がたくさんいたが、小林邦昭が自分の存在感を示すために取った戦略は“徹底的に悪役を演じること”。なんと“あの”超スーパーアイドル、タイガー・マスクの覆面を剥ぐという、世にも恐ろしい行為に出たのである。

https://hochi.news/articles/20201002-OHT1T50072.html

1981年、僕は小学校2年生だった。毎週金曜日のゴールデンタイムに流れる新日本プロレス中継に映るタイガーマスクの姿を憧れと尊敬のまなざしで観ていた。タイガーマスクが攻撃をすれば歓声を上げ、相手に反撃されれば胸を締め付けられ、「がんばれタイガー!」なんていじらしく応援する純粋な少年であった。タイガーマスクは毎週勝ってくれたので、毎週ハッピーな気持ちで眠りにつくことができた。あいつと戦う日以外は。

タイガーマスクは正体不明のスーパーヒーロー。ネットもSNSもない時代、だれもタイガーマスクの正体を詮索しないし、暴露しようとする者などいなかった。梶原一騎原作の漫画『タイガーマスク』でも、孤児院出身の主人公・伊達直人はタイガーマスクとしてリングで戦い、自分がタイガーマスクであることを子供たちには明かさずにファイトマネーを児童養護施設に渡していた。ヒーローの正体を知るなんて言うのは野暮なことだと、僕も幼心に感じていた。当時の子供は本当に簡単に騙せたが、それは子供にとってもとても幸せな時代だった。だって口裂け女も川口浩探検隊も心霊写真も世界征服のために幼稚園バスを襲うショッカーも、誰にも何も否定されないまま存在し続けられたのだから。

 そんな中、子供たちの、いや日本の国民的ヒーロー・タイガーマスクの覆面を剥ぐなんて言うのは、神への冒涜に近い行為であった。あってはならないことだった。

 小林邦昭はタイガーを投げると後頭部にある覆面の紐に手をかけ、ほどきはじめる。なぜかあまり抵抗しないタイガーも不思議だったが、当時8歳の僕は「ダメダメ~!」と可愛らしく悲鳴を上げた。マスクばかり気にしていると、タイガーマスクのローリング・ソバットの“パクリ”、小林邦昭の後ろ回し蹴りやフィッシャーマンズ・スープレックスが決められてしまう。

 カウントスリーを奪われまいとフォールを跳ね返すタイガーマスクに対し、今度は覆面の目の部分に指を入れ、引きちぎろうとする小林邦昭。またもや会場のプロレスファンならびにお茶の間の視聴者は悲鳴を上げ、「やめろ!」「反則だぞ!」と罵声を浴びせる。

 あの頃、小林邦昭が本当に憎かった。許せなかった。「タイガーマスクに勝ってほしい、やっつけてほしい」という思いと、「対戦してほしくない」という気持ちが交錯していた。全国民の憎しみを一身に受けながら小林邦昭は戦い続けた。おそらくプライベートでも嫌がらせを受けることも多かっただろう。ご家族も辛かったと思う。初代タイガーマスク自体が短命だったので、ライバルだったのは1981年と82年の2年程だったが、その短い期間に一生分の罵詈雑言を浴びたかもしれない。もう一度言うが、ネットもSNSもない時代、「実はいい人」なんて情報は回らなかったし、「実は佐山サトル(初代タイガーマスク)と仲がいい」なんて情報も会社は流さなかった。プロレスのファンタジーに国民は純粋に酔いしれた。そんな時代、小林邦昭は“日本国民共通の敵”、“最も憎むべき日本人”だった。

初代タイガーマスクの引退後、新日本プロレス中継はゴールデンタイムの放送がなくなり、僕のプロレス熱も少し冷めた。大学生になった時、深夜放送で平成維新軍の一員として戦う小林邦昭選手を見たが、もうその時には嫌な感情は何もなく、「お!小林邦昭!」と懐かしむくらいの気持ちだった。実はその時にはすでに癌で何度も手術をしていたそうだ。

2000年に引退後、新日本道場の管理人などで会社に残っていて、TVやYouTube等で新日本の合宿所内が映ると意外に元気な(しかも鍛えている)姿を見せていた。そこには「国民共通の敵」「虎ハンター」の顔はなく、オールバックでばっちり決めた黒髪のシブい好々爺の姿があった。

https://www.youtube.com/watch?v=3GFAbAXNrdQ

2024年9月9日逝去。享年68歳。ご冥福をお祈り申し上げます。

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”オジサン”を受け入れたら・・・

2024年9月3日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系列)を観ていて、色々思うところがあった。9月3日放送分では「世代間ギャップに悩んでいる有名人」が集まってそれぞれの思いを語っていた。Z世代からは村重杏奈さん、山之内すずさん、大西流星さんらが年上世代への本音を語り、年上世代の出川哲郎さん、佐藤仁美さん、望月理恵さんらを驚かせた。

面白かったのはその間の世代の男性陣(ウエンツ瑛士、風間俊介、花村想太)の反応で、彼らは揃いも揃って「”自分もオジサンだ”と自虐的に言ってはいるが実はそれを認めたくない」という思いを抱えている。

あ~、わかる。僕もそうだった。

昨年50代に突入してすっかり解放された僕は、彼らに深く同情するのであった。

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男性が”オジサン”を自覚するようになるにはいくつかのきっかけがある。

例えば結婚して子供が生まれ、子供の友達が家に遊びに来るようになれば”オジサン”と呼ばれるのも当たり前だし、自分のことを指すときも”オジサンがやってあげよう”なんていうことになる。例え自分が20代でも、子供の親という自覚があれば自分のことを”お兄ちゃんがやってあげる”なんてふうには言わない。

甥っ子・姪っ子を相手にする場合も以前はそうだったのだが、最近はちょっと気を使うようになったのか、自分の子供に「~おじさん」「~おばさん」とあえて使わせない動きも出てきたようだ。確かに僕も息子には僕の兄弟のことを「(下の名前)さん」で呼ばせている(が、兄も弟も僕の息子と対等に遊んでくれるので息子に呼び捨てされている)。

ただ不思議なことに、自分の甥っ子・姪っ子には”オジサン”と呼ばれてもすんなり受け入れるのに、独身アラサーぐらいだと知らない子供に「オジサン!」と呼ばれることには抵抗があるのだ。道で「オジサン、ハンカチ落としたよ」と言われてもおそらくすぐには自分のことだと思わないし、「ん?”オジサン”?」なんて一瞬戸惑ってしまい、「ああ、どうも」なんてその知らない子に丁寧語で答えてしまったりする。まだオジサンの自覚がないのだ。

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問題は35歳~45歳くらいの独身男性、つまりウエンツ瑛士(38歳)・風間俊介(41歳)・花村想太(Da-iCE 34歳)の世代だ。この世代が一番”オジサンをこじらせる”。

まずこのくらいになると少しずつ体に変化が出てくる。見た目も白髪が出てきたり、腹が出てきたりするし、疲れが取れなかったり忘れ物が増えたりおならがよく出るようになったりする。だから「いや~、もう俺もオジサンだよ」なんて自虐的に言ったりすることがある。

が、実際は(独身アラフォーなら)全然”オジサン”を受け入れられていない。

「結婚して生活感が出てしまっている同年代の友達に比べたら、自分はまだファッションにも気を遣っているしイマドキの流行も抑えている。下の世代の気持ちもわかるし、話題にもついて行ける。性欲も体力も好奇心もバリバリ!後輩ともよく遊んだり飲んだりしている!少なくとも自分はまだ”オジサン”とは見られていないはず!」なんて思っている。

で、面倒なのは独身でいる間は10年くらいこの状態が続く。つまり”オジサンをこじらせる”。「まだいける、まだいける」なんて45歳くらいまで思い続ける。それが独身男性という生き物だ。

もちろん学生さんから見たら35~45歳は立派なオジサンなのだが、普通の社会人は彼らと直接関わる機会があまりないのでこの勘違いはかなり長引く。

先の『踊る!さんま御殿!!』でも「(自分の事を)オジサンと思っている」と言っていたはずの花村さん(34歳)」が16歳の女性タレントに「俺っておじさん?」と聞いて「はい」と即答されて撃沈されていた。実は「そんなことないですよ!」待ちだったようで、「マジで!?」と言わんばかりに目を見開いてびっくりしていた。同じく風間さん(41)が大西さん(26歳)に「そんなに変わらないよね?」と聞いて「いや、全然違いますよ!」と完全否定されていた。

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でも花村君、ウエンツ君、風間君に言いたい。

年を重ねるごとに「まだいける」という抵抗の気持ちの割合より「もうオジサンだ」というあきらめの気持ちのほうが強くなり、50を過ぎれば自然に楽になる。だから大丈夫。

今僕は名実ともに、心身ともにオジサンになり、解放されている。「LINEに絵文字を使ったり赤いビックリマークをつけるのは”オジサン構文”!」と言われても「オジサンはLINEの文章が長い!」と言われても「まあ、本当にオジサンだからね」でスルー出来る。「その服、色合いも組み合わせもダサい。オジサンっぽい」とバカにされても「やってることが非効率、昭和の考え!」とdisられても「「まあ、その通りだからね~、ごめんね~」でスルー出来る。

変に若い人に合わせようとしなくなるし、好かれようともしなくなる。「世代が違うから」、「ま、仕事以外ではお互い交わることもないし」なんて変に納得しながら「お互いの平和のためにそれぞれでやりましょう」で着地する。

不思議なことに僕の父親世代(団塊の世代)と違って「最近の若いモンは!」みたいな若者に対する怒りや不満は全くない。僕ら令和の50代は居酒屋でおじさん仲間と「最近の子はすごいねぇ~」「令和っていう感じだねぇ~」「いや~、俺たち理不尽に慣れちゃって気づかなかったねぇ~」「なんも言い返せなかったよぉ~」なんて若い世代に感心したり自虐したりしている。僕らも若い世代が苦手で、あんまり交わりたくないのだ。

これがいいことなのかどうかはわからないけれど、とにかく”おじさん”を受け入れると下ネタも言えるしダジャレも言える、おならも出せるし体の不調ネタで2時間飲める。つまりのところ”解放”される

オジサン(という名の魚)