清望のバズド（ウルトラマンデッカー 二次創作）
- 2022/12/20
- 21:00
※オリ主、転生ネタ注意。
バズド星。宇宙に数多ある文明を有する惑星の中でも抜きん出た科学力を持つ星。
現在は謎の存在スフィアによって母星を覆われながらも一定の平和を謳歌していた。
だが、突如として平穏は崩れ去る。
小型のスフィア、スフィアソルジャーがバズド星に対して本格的な侵攻を開始。その戦災の渦中にはアガムスとレリアという夫婦もいた。
スフィアソルジャーから放たれた緑の光線が愛する妻に迫る。こちらに駆け寄ろうとする妻へアガムスは必死に手を伸ばす。
時間の感覚が引き伸ばされるような意識の中で、アガムスは自分の胸の奥に様々な感情が渦巻くのを感じていた。
それは一瞬先には妻を喪うかもしれないという恐怖。スフィアを連れてきた地球人への憎しみ。そしてバズドの科学力ならスフィアを倒せると過信した己への怒り。
──ああ、こんな事になるのなら……
地球人など見捨てるべきだった。
そう思った直後、天上のバリアを突き破り銀色の流星がスフィアと妻の間に飛来する。
「アガムス！」
「レリア！」
震える妻の体を抱き止めたアガムスは流星──果たしてその正体は銀色の巨人であった──を見上げる。
その姿は遠い場所でスフィアと戦う戦友を彷彿とさせた。
「ウルトラマン……なのか？ デッカー・アスミでもアスカ・シンでもない……」
混乱するアガムスの呟きに巨人は頷くような仕草を返した。
『私はM78星雲光の国の宇宙警備隊員。君達を助けに来た』
男はウルトラシリーズのファンだった。
生まれる前の作品や進学や就職で忙しい時期の作品は未視聴も多いが、それでもウルトラマン好きを名乗れるくらいには嗜んでいた。
近年は配信環境が充実していたので欠かさずシリーズを視聴出来るようになっていたが、ウルトラマンデッカーの第22話「衰亡のバズド」で男は打ちのめされた。
地球人を助けようとしたバズド星人の無償の善意、無私の献身、純粋な博愛。それが無慈悲に踏みにじられ、アガムスが己の行為を否定する様が悲しかった。
創作に入れ込みすぎだと思いつつも、バズド星人の在り方が男が好きなウルトラマン達とダブって見えたからあまりの報われなさが胸中を掻き毟る。
半日の間そんな鬱々とした気分を抱え男に寝床に入った。
宇宙警備隊に所属するシルバー族の隊員は化け猫との戦闘中、不意に前世の記憶を思い出した。
地球人だった頃、バズド星の選択と末路に激しい憐憫を覚えた記憶だ。
光の国に帰還後、先輩であるウルトラマンゼットから「数百年前」にトリガーと共闘したという話を聞いた男は後先考えずウルトラ兄弟に自分の状況を全て打ち明けた。
「自分達の戦いがテレビで放映されている」という前例を知っていた為、ウルトラ兄弟達は男の訴えを真摯に受け止めてくれた（それでなくとも善人揃いの彼等なら無下にはしなかっただろうが）
それからは男自身が驚くほどトントン拍子に進んだ。
ウルトラマンゼロのイージスとゼットのベリアロクの力でトリガーの宇宙に跳んだ男はダイナやデッカーと合流。
更にこの時代のユザレとヒカリに協力してもらいスフィアのバリアを突破するアイテムを手にすると一路バズド星に向かった。
──デッカー・アスミが言っていたように歴史を変えてもマルチバースが一つ増えるだけだろう。
自分の行動はただの自己満足かもしれない。それでも伝えずにはいられない。
『私はM78星雲光の国の宇宙警備隊員。君達を助けに来た』
アガムス、あなたがあてのない善意と卑下したものは冷たく暗い宇宙において最も尊いものの一つなのだと！
ファスティ「ごす、俺もいるぞ！」
共振する個性を感じたってやつです。
没文
ゼットに頼み込み、まずはダイナと直接面識がありウルトラ兄弟と比べると畏れ多くないゼロにコンタクト。
追記
花…木…空…風…雲…太陽…虹…海…浜辺…森…石…砂…大地…
これが今は喪われたバズド星の風景を偲んでのものじゃなくてレリアとアガムスが地球人と仲良くなる為に覚えてた地球の言葉だと明かされて俺の情緒は滅茶苦茶だよ！
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