性命の管理者 オナペット・オブリゲーション
- 2021/12/11
- 21:08
↑に出てきたオナペット・オブリゲーションの話。
創造主が生み出した管理者の中でもっとも傲岸不遜なのがオナペット・オブリゲーションであった。
彼は自身を人の上に立つ神と定義し、そのように振る舞った。
種の繁栄にずっこんばっこんが必須な以上、性を司るオナペットがそのような思考に至るのはある意味当然とも言えた。
不敬と断じた人間から性衝動を奪い血筋を断絶させた事も一度や二度ではない。
人を超越した存在として生み出されながら、それ故に人に似た傲慢さを身に付けたのは皮肉である。
そんなある日、
クリエイティブ・デフォルト
彼は一人の人間に出会ったのだ―――いや"彼だけ"ではないが…… ともあれ、出会った当初は彼を単なる下賤な獣だと思っていたオナペットだが……いつしか彼の事を目で追うようになっていた。
ただの性欲を満たすための家畜、繁殖のための苗床。そう思っていた筈なのに気付けば彼に対する興味の方が勝っていた。
しかしオナペットはそんな感情を抱いた事など無いため何が何だか分からず首を傾げるばかりであった。
だがある時唐突に気付いたのだ、自分のこのもどかしさが恋以外の何物でもない事に。
そこからは早かった、今まで培ってきた全てを総動員して彼を落とす為の行動に出た。
とはいえ、彼は鈍感だったようで全く靡く気配を見せない……しかし諦めるという選択肢はオナペットの辞書には存在しなかった。
何故なら彼はオナペットなのだ、オナニーをする為に生まれてきたのだ、ならばオナニーをする事でしか己の価値を示す事が出来ない存在とも言えるだろう。
という事でオナペットは色々と頑張ったのだが、残念ながらオナペットの努力は全く実を結ばなかったのだ……
だがそれでもめげずに行動を続けた結果、ある日奇跡が起きたのだ!
なんと彼が遂に折れて自分と結ばれる事に同意してくれたのだ!!これにはオナペットもう大歓喜!!思わずその場で全裸になってブリッジをしながら奇声を上げて喜んだそうな(尚その後彼は他の管理者たちから制裁を受けた)。
そして彼と結ばれる権利を得た時オナペットは初めて理解する。
(嗚呼私はこのために生まれて来たのか!!これぞ神の恩寵!!私の全てが彼に捧げられる幸福ッ!!!ああぁぁ神様感謝致します!!ありがとうございます!!)
……なおオナペットの頭の中には既に自分が管理者である事は欠片ほども無くなっていたようだが。
クリエイティブ・セリフ
彼が暇つぶしに見下していた人間が反旗を翻した。
彼の持つ権能は強大だがその行使には条件が多く、万能とは言い難かったのだ。
それは彼の創造主も同様で、だからこそ管理者は人間を信頼し協力を要請したのだ。
しかし――
(愚かなり、人間は愚鈍な生き物だったようだ)
彼の認識も甘ければ人間の行動原理を理解し切れていなかったと言えよう。
まさか自分の力に怯えて刃向かう者があろうとはその時まで思いもしなかったのだ。
その結果がこれだ。
彼を封じる事に成功した暁には人間は世界を支配しようと目論んでいる。
それを理解できない程彼は愚かではなく、しかし自らの行いを省みる事は出来なかった。
(……まぁいいだろう、所詮人間は我が力を正しく扱えぬ矮小な種なのだ。いずれ自らを滅ぼすであろう。それまで精々足掻けばよいわ)
結局彼にしてみれば自分に牙を向けるなら滅びれば良いと思っているだけだ。
自分が滅ぶという発想そのものが浮かばないあたり、やはり彼もまた超越種であったのだろう。ただ一つ言える事があるとすれば――
(……そろそろ退屈してきたぞ、早く新たな娯楽を持って来い、人間共よ!)
――どうにもこの男は自分勝手なようである。
☆
―――――――◆―――――――★
クリエイティブ・ナラティブ
彼の管理する世界に変化が起こった。
突如空に巨大な魔法陣が出現したのだ。
(なんだこれは?)
彼が困惑したのは無理も無いだろう。
何故なら、この魔法陣の出現によって世界のルールの一部を書き換えられてしまったからだ。"この世界は、女性しか居てはならない"という一文である。
つまりオナペットは自分が女であるという固定観念を押し付けられた事になり……その結果――――。
(おぉ!)
生まれて初めて得た異性の肉体を見てオナペットは心の中で喝采を上げた。
そこには美しい女性が居たからだ。しかも、絶世の美女と言っても過言では無い程の美貌を持った女性が。
長い金色の髪、宝石のような青い瞳を持つ、絶世と言うべき美貌の女性がそこにいたのだ。
それだけでも素晴らしい出来事だが……彼女はさらにとんでもない行動に出る事になる。
オナペット・オブリゲーションは人間達の前でその美しい身体を見せつけるかのように踊りだしたのである。それもただ踊るのではなく胸を揺らしたり腰を振り始めたりと挑発的なダンスを始めたのだ。そして最終的には複数の男と共に夜の街へ消えていった……
これは彼の生みの親である創造主にも想定外の出来事だった。己が作り出した世界の法則を書き換える謎の存在について調べなければならない時に管理者の一人が享楽に耽っているのだから当然だろう。
慌ててオナペットの機構の修正を試みようと試みるも、その効果は全く現れないようだ。
むしろオナペットは自身の考えが否定される不快さに表情を歪め始める始末。
どうにもこうにも行き詰った彼は直接オナペット・オブリゲーションへと接触する事にしたのだが……。
オナペットの態度はあまり良いとは言えなかった。それはそうだ、彼にとって自分の考えが間違っていると言われるなど侮辱されたに等しいのだから。
結果創造主は激怒し、彼に呪いをかけてしまう事となった。
その内容は……"男性に触れると激しい発情状態に陥る""発情中は他の事が何も出来なくなる"というもの。これによってオナペットの行動に制限が加えられ、自省する事を創造主は期待したのだが……。
残念ながら効果は薄かったようで、むしろ呪いを活用して淫蕩の限りを尽くす方向に突き進んでしまう結果となった。
こうなるともう後は破滅への道を辿るだけだ。
オナペット・オブリゲーションは人間達に媚びを売るかのようなポーズをとりながら街中で色欲を振り撒き続けるようになったのである。
それからしばらくすると創造主が現れオナペットを回収していったのだが、その時も散々抵抗してオモチャ箱の中に封印される事となったのである。
*****
***
感想
オナペットさんが性欲の化身すぎて好き。
女性化する前から男と突き合ってる……