クリスマス市襲撃の犯行は3分間、逮捕の男は薬物陽性の報道…ドイツ政府の亡命者対応に不満か
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【マグデブルク(ドイツ東部)=工藤彩香】ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州都マグデブルクで起きたクリスマスマーケット襲撃で、州の捜査当局は22日、拘束されたサウジアラビア出身の医師の男(50)について、殺人と殺人未遂の容疑で逮捕状を取ったと発表した。当局は、男がドイツ政府によるサウジ亡命者への対応に不満を持っていたとの見方を示し、動機の解明を進めている。
20日の事件では子供を含む5人が死亡、200人以上が負傷した。警察によると、男はレンタカーで、車の進入を防ぐコンクリートブロックがない緊急車両用の通路から現場に進入し、群衆に突っ込んだ。犯行時間は約3分間に及んだ。独紙ビルトは、男の薬物検査で陽性反応が出たと報じた。
独メディアによると、母国の迫害を理由にドイツに亡命した男は、サウジ女性の国外亡命を長年支援した。反イスラム主義の活動家として、イスラム教徒にも寛容とされるドイツの移民政策を批判していたといい、今年5月にはX(旧ツイッター)で「ドイツ社会は大きな代償を払う」と投稿。ナンシー・フェーザー内相は「犯人は明らかにイスラム嫌悪者だ」と述べた。
報道によれば、男は今月、反イスラム活動団体のインタビューに応じ、「ドイツは(自分のような)サウジの元イスラム教徒の人生を破壊しようとしている」と非難。ドイツが元イスラム教徒をサウジに強制送還し、「そこで処刑される」とも主張した。サウジ治安当局も男を問題視していたとみられ、独治安当局に警告していたという。
マグデブルクの大聖堂では21日、事件発生時刻に合わせて追悼式典が行われ、ショルツ独首相やシュタインマイヤー大統領らが黙とうをささげた。雨天の中、大聖堂前には約1000人が集まり、街中の教会は追悼の鐘を鳴らした。
近くの教会を献花に訪れたロナルド・グリュッツマッハーさん(60)は「なぜこんな事件が起きてしまったのか理解に苦しむ」と話した。
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