車1台の暴走で35人死亡、中国の警察が発表文を差し替え…「離婚後の財産分与巡る判決不服」削除

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 【広州=鈴木隆弘】中国広東省珠海市で11日夜、男(62)が車を暴走させ、35人が死亡した事件で、香港紙・明報などは13日、地元警察が12日の発表文を差し替えていたと報じた。男が離婚後の財産分与を巡る民事訴訟の判決に不服だったことを削除していた。司法の権威や公平に対する不信感が高まることを懸念した可能性がある。

13日、車の暴走事件が発生した中国広東省珠海市の体育センターで献花する男性=AP
13日、車の暴走事件が発生した中国広東省珠海市の体育センターで献花する男性=AP

 当初の発表文には、男が1審、2審の判決に不服で再審を申し立て、審理を行っていることが記されていた。官製メディアも転載したが、すぐに差し替えられた。変更後は「離婚後の財産分与に不満」とだけ書かれた内容に変わった。

 差し替えた理由は不明だが、「訴訟に対する不満が司法の不公平ととられかねない」(香港メディア関係者)といった推測が出ている。 習近平シージンピン 国家主席は12日、「(社会の)矛盾と紛争の素早い解決」を関係機関に指示した。司法が事件を防げなかった印象を与えることを避けるため、削除したとも考えられる。

 中国では司法は共産党の管理下にあり、独立していない。住民の間でも司法は不公平という思いが根強く残り、敗訴した側は不満を抱きやすい。香港メディアによると、広東省広州市で10月、男が小学生ら3人を刃物で襲った事件でも、裁判所や検察が男の訴えを取り扱わなかったことが背景にあるとみられている。

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