知床岬東側で発見した子供の死亡確認、死者は11人に…業務上過失致死容疑などで捜査方針
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北海道・知床半島の沖合で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」(19トン)が消息を絶った事故で、第1管区海上保安本部(北海道小樽市)は25日、知床岬東側の海上で子供1人が見つかり、死亡が確認されたと発表した。これで死者は男女11人となる。1管は安否不明の15人について捜索範囲を半島東側の海域に広げるとともに、業務上過失致死と業務上過失往来危険容疑を視野に捜査する方針。
1管によると、子供を発見したのは北海道の漁業監視船「海王丸」。24日午後8時55分頃、知床岬の先端付近にある知床岬灯台から東に14・5キロの海上で見つけた。乗客乗員26人には7歳の男児と3歳の女児が含まれていたとみられるが、発見された子供の性別や年齢は不明。発見時、ライフジャケットは着用していなかった。
24日に死亡が確認された男女10人はいずれも、観光船が消息を絶った知床岬西側の海上や岩場で発見されていた。地元漁業者などによると、半島西側は、海流が西から東に流れている。残る安否不明者が半島の東側の海域に流された可能性があり、海上保安庁は25日、巡視船艇6艇、航空機8機の態勢で捜索を進めている。
また、同日午前の時点で観光船の船体は見つかっておらず、1管は沈没した可能性もあるとみている。現場周辺の海域は水深100メートルほどの場所もあるといい、24日からソナーを使って海底なども調べている。網走地方気象台によると、半島周辺の海域は今後、風が強まる見通しで、捜索が難航する可能性がある。
観光船の運航業者は「知床遊覧船」(北海道斜里町)で、事故当時、船には子供2人を含む乗客24人と、船長の豊田徳幸さん(54)(同)、甲板員の曽山聖さん(27)(東京都調布市)が乗っていた。
斜里町などによると、乗客は北海道のほか、東京都や大阪府、福島県、香川県など9都道府県から訪れていた3~78歳。
乗客の家族らは25日午前、斜里町の宿泊施設で、前日に続いて捜索状況などの説明を受けた。船が行方不明になってから3日目に入り、施設に到着した数組の家族らは疲れた表情を浮かべながら、支え合うように会場へ入っていった。海上保安庁や運航事業者の担当者が出席し、家族側は約30人が出席したという。