NHKラジオセンター
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NHKラジオセンター(エヌエイチケイラジオセンター)は、日本放送協会(NHK)のラジオ番組を制作する協会本部メディア総局配下の組織[1]。
概要
1984年4月に設置された。
特に、1985年に控えていた、ラジオ放送開始60周年のタイミングに合わせて、番組ごとに担当する制作部局が異なっていたという事情から、相互連携がなされていなかったこと、特に報道局報道番組部はテレビとラジオが別セクションであったり、教育局農事番組部はテレビとラジオを1人で兼業するといったバラつきが生じていたことから、ラジオの独自性を生かし、ラジオ専従の番組スタッフを受け入れる体制を整えることで、番組の企画・制作を一元化することでスムーズな連携を取れるようにした。この当時のスタッフはアナウンサー出身15人、番組制作出身26人、報道局出身16人が転属した[2]。
東京・渋谷の協会本部であるNHK放送センター本館13階にあり、ラジオスタジオに隣接する[3]。ここで制作した番組はNHKラジオ第1放送(中波)で放送されるが、同じ中波のラジオ第2放送のほか、FM放送(超短波)、NHKワールド・ラジオ日本(短波・衛星ラジオ)でも放送される。
ラジオセンターは、ラジオ第1の放送編成を一日を早朝・午前中・午後・夜間・深夜の5つのゾーンに分け、「ワイド番組」を核とした、報道、生活情報、音楽、バラエティーなどの番組を制作する。
番組編成面ではラジオセンター設立前の1983年11月に「第6回ラジオ週間」と銘打ったリスナー感謝イベント期間中に、パイロット版「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」[注 1]の時間帯別3ゾーンと、午前9時-12時は各ブロックごと[注 2][4]の特別編成のパイロット版として放送後、1984年4月改編・発足時から、上記3ゾーンに加え9時-12時の「ふれあい」を加えた1日4ゾーンに分けて[注 1]、事実上終日ワンフォーマット形式で「ラジオセンター」の冠をつけた番組を放送。その後これを発展させる形で1989年から数年間、終日「NHKラジオセンター」という題名で放送したことがあった[注 3][2]。
深夜放送は1988年9月に昭和天皇の危篤による病状報道を行った際、総合テレビ・FM・BS2共々暫時的に24時間体制で放送したのをきっかけに、昭和天皇の没後の1989年11月に「ラジオいきいきラリー」を3日間生放送、これをきっかけに「特集・ラジオ深夜便」を1990年4月から不定期特番で開始、同年10月から「特集」の冠のままで、週末に限りレギュラー放送に移行し、1992年4月から正式なレギュラー番組として放送を開始、事実上の24時間放送完全移行を果たした[注 4][2]。
特に、ラジオ第1放送は1日の編成の約96%が生放送である。これは「24時間安心ラジオ」を目標とした「生活情報チャンネル」の位置づけをなすため、突発的な災害や事件などで必要に応じて速報を伝える体制を整えるためである。特に1989年に4ゾーンを踏襲した形で事実上ワンフォーマット編成に統一化した「NHKラジオセンター」の時代は、日曜日の早朝・夜間の一部(「日曜名作座」「上方演芸会」「真打ち競演」など)の事前収録番組こそあるが、原則として全放送時間帯を生放送で統一した[2]。その後も、録音番組(主に20・21時台と、ラジオ深夜便の一部時間)が放送されている時間も、基本的に生放送で速報が出来るようにアナウンサーやスタッフ数名が待機している。
アナウンサー・キャスター
ラジオセンター専属のアナウンサーを設けて、番組の進行役を務めさせている(NHK放送センター#ラジオセンター参照)。かつてはそれだけでなく、番組制作業務(プロデュース、ディレクターなど。かつてはアナウンスをせず業務専念のアナウンサーもいた)を担当するアナウンサーもいた。番組出演はラジオセンター所属以外からもメディア総局アナウンス室、日本語センター所属のアナウンサー、またNHKを一度退職したアナウンサーも出演している。
2010年度、NHKの組織改革に伴い、制作業務のみに専念していたアナウンサー(過去に地方局でアナウンス業務をしていた人も多くいた)については職種カテゴリがアナウンサーから番組制作者に変更された。NHKオンラインではアナウンサープロフィールのページは番組に出演するアナウンサーのみとなった。この組織改革は3年間の中期経営計画に基づき、報道・番組制作分野は人員を増やす一方、他の分野は抑制・減員させる方針が明確化されたことによるものである。制作担当者の氏名についてはNHKのアナウンサー一覧#ラジオセンター所属の制作担当者参照。
なおラジオセンター所属アナウンサーは原則としてラジオ番組のみ出演するが、柴田祐規子、阿部渉らのようなテレビのドキュメント番組などのナレーター担当での出演や、異動前より競馬中継を担当していた稲垣秀人が引き続き担当することもある[注 5]。
アナウンサー以外にも、ラジオセンターと番組出演契約を交わした契約キャスターがいる。2019年4月時点の所属者は以下の通り。
- 石垣真帆(いしがき・まほ)(ごごラジ!担当、気象予報士)
- 浦野遥(うらの・はるか)(NHKきょうのニュース担当)
- 大久保彰絵(おおくぼ・あきえ)(NHKけさのニュース、マイあさ!担当)
- 黒崎瞳(くろさき・ひとみ)(Nらじ担当)
- 菅野真美恵(すがの・まみえ)(NHKジャーナル担当、気象予報士)
- 柴原紅(しばはら・べに)(ちきゅうラジオ担当)
- 高嶋未希(たかしま・みき)(NHKけさのニュース、マイあさ!担当)
- 高橋春菜(たかはし・はるな)(NHKきょうのニュース担当)
- 横山亜紀子(よこやま・あきこ)(NHKきょうのニュース担当)
- 渡辺ひとみ(わたなべ・ひとみ)(マイあさ!(土曜日・日曜日)担当)
スタジオ
ラジオセンター内にスタジオがあり、ラジオ第1の生放送の番組は基本として放送センター13階の131・132スタジオから放送されている。
- CR131スタジオ - マイあさ!、NHKけさのニュース、ごごカフェ、NHKきょうのニュース、NHKジャーナル、らじらー!など。
- CR132スタジオ - ラジオ深夜便、らじるラボなど。
- ニューススタジオ - 131スタジオと132スタジオの間に位置する。定時ニュースや関東甲信越向けローカルニュース等を放送。
- CR133スタジオ … 実用化試験放送におけるデジタルラジオで使用。132スタジオの副調整室の隣にある。
なお、2013年の春にラジオセンターで大規模な放送設備の交換が行われ、それに伴い、新しいラジオスタジオがこれまでとは反対側に設置され、NHKのラジオニュースの制作現場も移動されることになり[5]、2013年4月13日より運用を開始した。[6]
イメージキャラクター
2011年4月20日、NHKラジオ初のイメージキャラクター「らじる」が発表された。5月3日の渋谷DEどーもにてラジオ第1初出演を果たしている。詳細は同項目を参照。
脚注
注釈
- ^ a b
- 毎日午前5時 - 9時(日曜は - 8時)「おはようラジオセンター」
- 月曜 - 土曜 午前9時 - 12時「ふれあいラジオセンター」
- 月曜 - 土曜 午後1時 - 7時「こんにちはラジオセンター」
- 月曜 - 土曜 午後7時 - 12時(翌日午前0時。当時は原則0時終了)「こんばんはラジオセンター」
- ^
- 北海道:「ラジオ週間北海道」(基本札幌発、一部ブロック別番組の時間あり)
- 東北:「○○(各県ごと)ラジオ週間」(東北6県別番組)
- 関東:「たっぷり関東」(関東7都県を毎日1つづつ取り上げる)
- 甲信越:「甲信越ラジオ特集」
- 東海・北陸:「ラジオ週間〇〇(各県ごと)」(中京ブロック、静岡県、北陸3県別番組)
- 関西:「近畿ふれあいの3時間」
- 中国:「ちゅうごく5県ふれあいの秋」
- 四国:「ラジオ週間四国」(基本松山発、一部県別番組の時間あり)
- 九州:「ラジオ週間九州」(基本福岡発、一部県別番組の時間あり)
- ^ 1990年代に入ると、KBCラジオ、エフエム京都、セント・ギガ(BSラジオ)、ZIP-FMでもほぼ同じようなワンフォーマット編成を実施している。
- ^ ただし、NHKの公式な資料では、1994年度まで23時台のみを定時番組、24-5時は不定期特番扱いで、1995年度から正式な24時間化を果たしたとされているが、実際には1992年度から月曜日深夜、及び年数回の送信設備メンテナンス日の1-5時を除き、終日生放送されていた。
- ^ 民放では福井放送にも「ラジオセンター」という明確な部署があり、所属アナウンサーは原則テレビ出演しない。
出典
- ^ NHK組織図(2011年3月31日現在) (PDF) - NHK年鑑2011 p.815
- ^ a b c d NHKラジオ放送史 6章 24時間放送とラジオの多様化
- ^ R1 NHKラジオ第一:ラジオセンターとは?[リンク切れ]
- ^ 日本放送協会放送文化調査研究所 放送情報調査部 編『NHK年鑑'84』日本放送出版協会、1984年9月28日、94頁。NDLJP:12277626/76 。
- ^ R1 blogNHKブログ NHKきょうのニュース あと少しで完成 新ラジオスタジオ[リンク切れ]
- ^ “新年度も「きょうのニュース」をよろしく”. 2013年4月1日閲覧。[リンク切れ]
関連項目
- NHKラジオ第1番組一覧、NHK FM番組一覧
- NHK放送センターのアナウンサー一覧・ラジオセンター(裏方専業アナウンサーはNHKアナウンサー一覧・ラジオセンター所属の制作担当者)のそれぞれの項を参照。
- 日本放送協会(NHK)
- NHK放送センター(協会本部)
- 以下ラジオセンターの冠が付いたワンフォーマット編成の番組
外部リンク
- 知られざるNHKラジオセンターの舞台裏を取材してきました - GIGAZINE 2011年12月26日
- NHKラジオセンターのページへのリンク