海食崖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/07 16:00 UTC 版)
海食崖(かいしょくがい、英語: coastal cliff)とは、海に面する山地や丘陵地や台地が、主に波浪による侵食によって形成された急崖、または急斜面。波食崖、海崖ともいう[1][2]。
後退プロセス
崖の形成や陸側への後退のプロセスは、化学的・物理的風化による崖面内部の亀裂の発達、波による崖錐堆積物の除去や脚部の洗掘、地震による斜面崩壊、など複数の現象が複合して発生している[3]。
海食崖の基部の侵食により形成された波食窪が拡大することで海食崖は崩落し、ショアプラットフォーム(shore platform)が形成される[4]。
後退速度
海食崖の後退速度は、海食台海岸では0.2 m/年から1.5 m/年、波食棚海岸では平均で0.03 m/年、プランジング崖の後退速度はゼロに近い[5]。後退速度を決定する要因として、地形構成物質の岩質のほか、侵食する波の強度、崖前面地形が挙げられる[6]。
ジオパークでの利用
風光明媚で海側への眺望がもよく、なおかつ崖面に内部の地層が露出することから、例えば山陰海岸ユネスコジオパークでは複数の海食崖がジオサイトに選定されている[7]。
脚注
- ^ 砂村 2017, p. 276.
- ^ 日本地形学連合 2017, p. 73.
- ^ 青木久「波食棚の形成をもたらす海食崖の後退プロセス」『地学雑誌』第126巻第4号、2017年、413-424頁、doi:10.5026/jgeography.126.413。
- ^ 松倉 2021, pp. 208–209.
- ^ 砂村 2017, pp. 276–277.
- ^ 松倉 2021, p. 212.
- ^ “山陰海岸ジオパークで遊ぶ”. 山陰海岸ジオパーク推進協議会. 2024年7月18日閲覧。
参考文献
- 砂村継夫 著「岩石海岸」、小池一之・山下脩二・岩田修二・漆原和子・小泉武栄・田瀬則雄・松倉公憲・松本淳・山川修治 編『自然地理学事典』朝倉書店、2017年、276-277頁。ISBN 978-4-254-16353-7。
- 日本地形学連合 編『地形の辞典』朝倉書店、2017年。ISBN 978-4-254-16063-5。
- 松倉公憲『地形学』朝倉書店、2021年。ISBN 978-4-254-16077-2。
海食崖(sea cliff)
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「岩石海岸」の記事における「海食崖(sea cliff)」の解説
海に面した山地や大地で、おもに波による侵食を受けてできた崖のことであり、波食崖ともいう。山地が沈降し急斜面が沈水するとその斜面は波による侵食を受けるため、崖の下部に海食窪ができる。下部がくぼむとやがて上部は崩れ落ち、これが繰り返されることで崖は後退していく。崖の後退は波による打撃のほかに、岩盤の割れ目に入り込んだ水や空気にかかる圧力によっておこる。崖の下には岩石が削られたあと、ほぼ平坦な波食棚が形成され、さらに波食が進むと波食洞が生じることもある。海食崖の後退の速さは波の強さや打ち寄せる回数、岩石の固さなどに左右される。
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「海食崖」の例文・使い方・用例・文例
- 海食崖という地形
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