津田監物とは? わかりやすく解説

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つだ‐けんもつ【津田監物】

読み方:つだけんもつ

[?〜1567室町後期砲術家津田砲術の祖。紀伊の人。名は算長(かずなが)。種子島ポルトガル伝来の銃を譲り受け砲術とその製造法学んだ


津田算長

(津田監物 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 05:21 UTC 版)

津田 算長(つだ かずなが、? - 永禄10年12月23日1568年1月22日〉)は、戦国時代の人物。通称は監物[1]。父は津田算行[2]。子に津田算正[2]杉坊照算[2]、津田自由斎がいる[2]根来寺杉坊の院主・明算は弟とされるが、異説もある[注釈 1]

略歴

津田氏紀伊国那賀郡小倉荘の土豪[4]、算長は小倉にある吐前城(和歌山県和歌山市吐前[5])の城主という[6]。算長ら津田氏は、楠木正成の子孫である津田正信の末裔とされている[6][7][注釈 2]

天文12年(1543年)または13年(1544年)、種子島に渡った算長は鉄砲一丁を譲り受けて、紀伊へと持ち帰った[10]。『鉄炮記』によると、鉄砲を求める杉坊某公(明算)の指示で種子島を訪れたという[11][注釈 3]鉄砲鍛冶・芝辻家に伝わる『鉄炮由緒書』には、紀伊に戻った算長は根来の門前・坂本にいた芝辻清右衛門に鉄砲を作らせたとある[10]。元々堺にいた芝辻家は後に堺へ戻っており、これにより堺で鉄砲が生産されることになったともいわれる[10]

また、後に成立する津田流砲術は算長、または算長に鉄砲を教えたポルトガル人らしき屏太郎(袂太郎)を流祖としている[2]。算長の長男・算正や三男・自由斎は算長から砲術を教わり、津田流を継承したという[2]

なお、算長の存在を示す一次史料はなく[13]、屏太郎に該当するポルトガル人も確認できない[7]。『鉄炮記』における記述も津田流などの秘伝書を元に書かれた可能性があり[14]、算長が種子島で鉄砲を教わったという伝承は疑わしいとの見方がある[6]

永禄10年(1567年)12月23日、算長は死去した[6][7]

関連書籍

脚注

注釈

  1. ^ 『津田家系譜』は明算を算長の弟とするが、近年の研究で明算は遊佐長教の弟とされる[3]
  2. ^ ただし正徳4年(1714年)成立の『武芸小伝』では津田監物は「紀州那賀郡小倉人也」とされており[8]、津田氏は当初紀伊出身を自称していた[9]文化9年(1812年)発行の『紀伊国名所図会』になると、津田監物は河内国交野郡津田城主・津田正信の長男とされるようになっており、紀州津田氏は河内出身を名乗るようになっている[9]
  3. ^ 『鉄炮記』からは、算長は元々種子島の住人であったとも取れる[12]

出典

  1. ^ 宇田川 2007, p. 58.
  2. ^ a b c d e f 太田宏一「津田流砲術と奥弥兵衛について」『和歌山市立博物館研究紀要』第19号、2005年。 
  3. ^ 廣田浩治 著「杉坊明算・照算―軍事を担った根来寺の院家」、天野忠幸 編『戦国武将列伝7 畿内編 上』戎光祥出版、2022年、362、365頁。ISBN 978-4-86403-446-3 
  4. ^ 宇田川 2007, p. 57.
  5. ^ "津田監物". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年12月29日閲覧
  6. ^ a b c d "津田監物". 朝日日本歴史人物事典. コトバンクより2022年12月29日閲覧
  7. ^ a b c 今村嘉雄 編『日本武道全集・4 砲術・水術・忍術』人物往来社、1966年、26-27頁。全国書誌番号: 54002796 
  8. ^ 日夏繁高『本朝武芸小伝』大日本武徳会本部、1920年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/927114/120 110丁表-裏。
  9. ^ a b 馬部隆弘椿井文書―日本最大級の偽文書』中央公論新社中公新書〉、2020年、172頁。 ISBN 978-4-12-102584-5 
  10. ^ a b c 宇田川 2007, pp. 56–57.
  11. ^ 宇田川 2007, pp. 57–58.
  12. ^ 根来寺の歴史”. 岩出市ホームページ. 岩出市. 2022年12月29日閲覧。
  13. ^ 宇田川 2007, pp. 58–59.
  14. ^ 宇田川 2007, p. 10.

参考文献

  • 宇田川武久 編『鉄砲伝来の日本史 火縄銃からライフル銃まで』吉川弘文館〈歴博フォーラム〉、2007年。 ISBN 978-4-642-07980-8 
    • 宇田川武久「鉄炮伝来の実像」(2-27頁)
    • 太田宏一「堺鉄炮鍛冶と紀州」(55-82頁)


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