根絶、掃滅
WHOが設立して間もない1950年代、2つの感染症根絶計画;マラリア根絶計画と天然痘根絶計画がスタートした。「eradication programme」は日本語では根絶(または撲滅)計画とする。
感染症根絶の意味するものは患者発生をゼロにするだけでなく、病原体を自然界から無くしてしまう(封じ込めてしまう)作戦で、天然痘では達成に成功した。成功の要因として、ワクチンという絶対的な対策ツールが開発されていただけでなく、ヒト以外に感染動物主が存在しないこと、不顕性感染がなく感染者が容易に検出できる、などの条件があった。
これらの条件がそろわないと根絶は不可能であるため、現在ではプロジェクト名に根絶は用いないことが多い。メジナ虫症対策やポリオ対策では習慣的に根絶が使われている。
一方、eliminationとは特定の地域で感染症の伝播がなくなり、患者発生がみられない状況で、地域を限定した根絶である。eliminationでは他の地域から病原体を持ち込まれる危険が残り、その対策が必要である。
eradicationとeliminationは区別しなくてはならないが、eliminationを表す日本語はないため、「西太平洋地域からポリオが根絶された」などと誤用されることが多い。
テキスト国際保健医療学第2版(杏林書院)ではeliminationに「掃滅」の日本語を提案した。「コントロール」は感染症に対する介入活動することで、制御する・対策する・コントロールする、などの日本語をあてる。
根絶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/13 02:43 UTC 版)
「1974年インド天然痘流行」の記事における「根絶」の解説
流行発生当初の1月から、天然痘による症例をこれで最後にして封じ込めを行うべく、天然痘撲滅プロジェクト「ターゲット・ゼロ (Target Zero)」が世界保健機関によって始められた。 このプロジェクトは、正式には1958年から発足していたものの、世界保健機関とインド政府の間で物流に関する合意が結ばれなかったことにより、速やかに進展することはなかった。最終的に、1960年代半ばから世界保健機関の組織が再編されたことにより、インド国内で天然痘撲滅に向けた活動が前進した。世界保健機関の天然痘撲滅プロジェクトを率いるべくニューデリーに駐留していたアメリカ合衆国公衆衛生局職員のドナルド・ヘンダーソン(英語版)は、「天然痘の撲滅に関する関心と懸念が今後数ヶ月間保たれれば、終結に向かうだろう。我々はこの考えが自信過剰であるとは思っておらず、雲行きのすべてが良さそうに見える。1975年6月までに、アジアで天然痘が終結することを願っている」と述べていた。 1975年5月24日の患者が最後のインド人患者であると認定された。この流行から2年後・3年後はインド国内での天然痘の患者が0を記録し続け、4年後の1979年、天然痘は世界中で根絶されたと認定された。
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根絶
「根絶」の例文・使い方・用例・文例
- 人間の野蛮性は決して根絶できない。
- 警察は飲酒運転を根絶やしにしようとしている。
- 犯罪を根絶する.
- その悪弊は根こそぎに[根絶]しなければならない.
- この悪を完全に根絶しなくてはならない.
- 雑草はしぶとい生命力があって, なかなか根絶やしにできない.
- 悪弊を根絶する
- 根絶やしにする
- それらを根絶することにより雑草を掃除する
- 貧困を根絶してください!
- 根絶、または一掃できる
- 破壊されるかまたは根絶されることできない
- 根絶不可能な迷信
- 絶滅または根絶ができない
- 雑草によっては根絶しがたいように見えるものもある
- ヒトラーは、ヨーロッパのユダヤ人、ジプシー、共産主義者、および同性愛者を根絶したかった
- 特に消毒する、または病害虫を根絶する目的で煙で処理する、あるいは煙に曝露する
- 病害虫を消毒するまたは根絶する目的である気体を発生させる装置
- 重い処罰と罰金条項を制定することで組織犯罪を根絶することを意図する法律
- 禁止して根絶する
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