作品と音楽様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/05 09:52 UTC 版)
ゲッツは、交響曲と単一楽章のヴァイオリン協奏曲、2つのピアノ協奏曲、たくさんのピアノ曲、ピアノを含んだいくつかの室内楽曲を遺した。シェイクスピア原作のオペラ《じゃじゃ馬ならし》のほか、ダンテの原作によるオペラ《フランチェスカ・ダ・リミニ》の作曲を進めていたが、誕生日を目前にした急死により、その遺稿はスイスの作曲家エルンスト・フランクの手により完成された。 ゲッツはメンデルスゾーンやシューマンの流れを汲む穏健なロマン主義の作曲家であった。ブラームスやビューローと親しく、その支持を受けた。当時は、フランツ・リストやリヒャルト・ワーグナーらの新ドイツ楽派が優勢であったが、ブラームス同様にウィーン古典派の伝統に心酔し、伝統的な音楽観のもとに作曲活動を続けたため、これ見よがしの効果をほぼ完全に避け、作曲技法の習熟を創作の特徴とした。ゲッツ作品は、抒情性と明晰さが際立っている。 グスタフ・マーラーが作品の数々を指揮したとはいえ、永年にわたってゲッツの名は忘れられてきた。その重要性が見直されるようになったのは、1990年代になってからのことである。ゲッツは決して新音楽の急先鋒ではなく、むしろ作曲技法を完全に操作できる作曲家であった。その作品は高水準を保っており、ゲッツを過小評価することが正しくないことを裏付けている。
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