ベクトル‐くうかん【ベクトル空間】
ベクトル空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 15:35 UTC 版)
数学、特に線型代数学におけるベクトル空間(ベクトルくうかん、英: vector space)、または、線型空間(せんけいくうかん、英: linear space)は、ベクトル(英: vector)と呼ばれる元からなる集まりの成す数学的構造である。
注釈
- ^ ここではベクトルをスカラーから区別するために、ベクトルは太字で表す。あるいは、特に物理学で、矢印を上に載せる記法も広く用いられる。「ベクトルをラテンアルファベットで表し、スカラーはグリークアルファベット(ギリシャ文字)で表す」などの流儀や、場合によってはまったく文字種の区別をしないこともある。
- ^ この公理は演算の結合性を仮定するものではない。ここでは二種類の乗法、つまりスカラーの乗法 bv と体の乗法 ab との関係性を考えているからである。
- ^ 文献によっては(例えば Brown 1991)係数体を R か C に制限するものあるが、理論の大部分は変更なしに任意の体上で成り立つものである
- ^ 例えば、(無数に存在する)区間の指示函数はどれも線型独立である。
- ^ この術語は、「自身の」とか「固有の」という意味のドイツ語 „eigen“ に由来する。
- ^ Roman 2005, p. 140, ch. 8. ジョルダン・シュバレー分解も参照。
- ^ 書籍によっては(Roman 2005など)この同値関係から話を始めて、それを使って V/W の具体形を導き出す形をとるものもある
- ^ この仮定からは、得られる位相が一様構造を持つことが導かれる。Bourbaki 1989, ch. II
- ^ |•|p に関する三角不等式はミンコフスキーの不等式から得られる。技術的な理由から、この文脈ではほとんど至る所一致する函数は互いに同一視する。こうすれば上記の「ノルム」は半ノルムなだけでなく本当にノルムを与える。
- ^ 「L2 に属する多くの函数はルベーグ測度が有界でなく、古典的なリーマン積分では積分することができない。故にリーマン可積分函数の空間は L2-ノルムに関して完備にならず、また それらに対する直交分解も適用できない。これはルベーグ積分の優位性を示すものである」Dudley 1989, p. 125, sect. 5.3
- ^ p ≠ 2 のとき Lp(Ω) はヒルベルト空間でない。
- ^ ヒルベルト空間の基底というのは、既に述べた線型代数学的な意味での基底と同じものを意味しない。区別のためには、後者はハメル基底と呼ばれる。
- ^ フーリエ級数は周期的だが、この手法は任意の区間上の L2-函数に対して、函数を区間の外側へ周期的に延長することによって適用できる。Kreyszig 1988, p. 601
- ^ これは BSE-3 2001 が言うには、接点 P を通る平面であって、曲面上の点 P1 とこの平面との距離が、曲面に沿って P1 を P に近づけた極限での P1 と P との距離よりも無限に小さいようなものである。
- ^ つまり、π−1(U) から V × U への準同型で、その制限がファイバーの間の同型となるものが存在する。
- ^ S1 の接束のような線束が自明となる必要十分条件は、至る所消えていない切断が存在することである(Husemoller 1994, Corollary 8.3 を参照)。接束の切断というのは、ベクトル場に他ならない。
出典
- ^ Roman 2005, p. 27, ch. 1.
- ^ “ベクトル空間とは、集合 V と次の公理 (A1)-(A4) と (M1)-(M4) を満たす写像 +: V × V → V, ◦: R × V → V からなる三組 (V, +, ◦) である。” 名古屋大学『線形代数学 IⅠ 授業1: ベクトル空間』2014年 。
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- ^ “ベクトル空間 V が V の有限個のベクトルの組で生成されるか, または {0} のとき, V は 有限次元 (又は有限生成) であるといい” 東京工業大学『基底の存在と次元』2013年 。
- ^ “有限次元 ... そうでないとき 無限次元 であるという” 東京工業大学『基底の存在と次元』2013年 。
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ベクトル空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 04:30 UTC 版)
任意のベクトル空間はそれ自身の上のアフィン空間である。またその任意の部分空間による商空間もアフィン空間となる。特に、一次元部分空間全体の成す空間である射影空間はアフィン空間の構造を持つ。 斉次線型方程式系の解の全体はベクトル空間を成すが、一般に非斉次の場合は斉次方程式の解空間を特殊解の分だけ平行移動したものとなり、したがってこの解空間はアフィン空間を成す。
※この「ベクトル空間」の解説は、「アフィン空間」の解説の一部です。
「ベクトル空間」を含む「アフィン空間」の記事については、「アフィン空間」の概要を参照ください。
ベクトル空間
出典:『Wiktionary』 (2019/04/07 09:51 UTC 版)
名詞
- (数学)いくつかの条件を満たす和とスカラー倍が定義された集合。具体的には、ある集合 V の任意の2つの元 X, Y に対して和と呼ばれる新しい元 X + Y ∈ V が唯一つ定まり、V の任意の元 X とある体 K の任意の元 a の間にスカラー倍と呼ばれる新しい元 aX ∈ V が唯一定まり、次の8つの性質が満たすときの集合 V。V の元をベクトルと呼び、K の元をスカラーと呼ぶ。
- ベクトルの和に分配法則 (X + Y) + Z = X + (Y + Z) が成り立つ。(X, Y, Z ∈ V)
- ベクトルの和に交換法則 X + Y = Y + X が成り立つ。(X, Y ∈ V)
- ベクトルの和に単位元あるいはゼロベクトルと呼ばれる X + O = X を満たす O ∈ V が存在する。
- ベクトルの和に逆元あるいは逆ベクトルと呼ばれる X + Y = O を満たす Y ∈ V が存在する。
- スカラーの和に対してスカラー倍の分配法則 (a + b)X = aX + bX が成り立つ。(X ∈ V, a, b ∈ K)
- ベクトルの和に対してスカラー倍の分配法則 a(X + Y) = aX + bY が成り立つ。(X, Y ∈ V, a ∈ K)
- スカラー同士の乗法とスカラー倍の間で (ab)X = a(bX) が成り立つ。(X ∈ V, a, b ∈ K)
- スカラー倍に 1 X = X を満たす単位元 1 ∈ K が存在する。
用法
スカラー倍を規定する体 K と合わせてベクトル空間が決まるため、ベクトル空間 V のことを「K 上のベクトル空間」などと言い表す。
類義語
翻訳
- 英語:vector space
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