早稲田大学創立150周年(2032年)へ向けたビジョンは、学生がどのような教育・研究環境の中で何を身に付け、世界へはばたくのか、その学窓と早稲田の研究のあるべき様態、そして、卒業生がどのような姿で世界のリーダーとして、あるいは地域社会を支える市民として、世のため人のために活躍しているのか、その姿を示したものです。そして、これらのビジョン実現のための大学経営を執行する大学の姿を示しました。それぞれのVision実現の柱となる基軸を示し、13の核心戦略を実行していきます。
世界中から集まった早稲田の学生は、学生間および教職員との相互作用による知的文化的な刺激の中で、広い教養と深い専門性を身につけ、世界に貢献する高い志を持って世にはばたく用意と覚悟ができている。
日本、世界がグローバル化する中で、早稲田大学は、グローバルリーダーを育成することを重要な柱として考えている。グローバルリーダーは、深い専門性だけではなく、幅広い教養を有する必要がある。外国語の修得や知識の修得はもとより、留学・ボランティア・インターンシップ・フィールドワークなど実践的な学びも重要で、理論的アプローチと実践的アプローチが螺旋的に学べる環境が必要である。また、日本の歴史・文化等を修得していることも重要な点である。教室で学ぶ授業も一方的な講義だけではなく、教員と学生、学生同士が議論を深める場として様々な工夫が必要となる。これらを総合して、人間力・洞察力を備えたグローバルリーダーを育成する。
早稲田の研究が、人類の知を拡充・組織化し、環境・貧困・災害・紛争等の地球的課題の解決に貢献する。さらに、異文化が共生する中で持続的発展が可能な世界を構築するための次の課題を指し示し、世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する。
研究面においては、人文・社会・自然科学の深化と発展に加えて、学問の枠組みを超えて地域や地球規模の問題解決に貢献するとともに、さらに次の課題を指し示し、世界の平和と人類の幸福をより良く実現する活動を続ける。そのためには、教員個々の高度で独創的な研究を支援するとともに、組織的な戦略に基づいた研究の推進および国内外の研究機関との連携を強化する必要があり、研究組織と支援体制の整備を進め、同時に、研究活動を広く世界へ発信し、その成果を人類社会に還元する「国際研究大学」の枠組みを構築する。そして、総合大学としての文理融合型研究を推進し、新たな教育・研究に挑戦する。
早稲田の卒業生(校友)が世界各国で、そして日本の津々浦々で、政治、経済、学問、文化、スポーツ、地域活動等の様々な分野の、グローバルな視点を持ったリーダーとして、歓びを持って汗を流す。
そうした校友が折にふれて早稲田で学び、早稲田大学や他の校友、地域社会などと強固な連携を構築する。
Vision150に沿った教育を展開することにより、多くの卒業生がクローバルな視点を持って活躍し、また市民としても歓びを持って汗を流すことを期待している。卒業生がどのような職業についても、早稲田とのかかわりを持ち、本学は卒業生のために直接的にまた間接的に支援することを目指す。より幅広い校友間の交流の場の提供や早稲田の多様なリソースを活用したキャリアアップ等を通じて、大学が校友と強固な関係を構築し、「校友にとって頼りになる大学」を目指す。そして、校友の実績や経験を大学に還元し、さらに教育・研究に活かす。
財政基盤を確立し、情報公開、説明責任を果たし、ガバナンスを強化し、世界に信頼され常に改革の精神を持って進化する大学となる。
社会の要請に応えるばかりではなく、時代を先取りし行くべき方向へ先導することも大学の重要な使命である。また、内部評価のみならず、外部評価制度も取り入れ、教育・研究・社会貢献および管理・経営など大学事業と大学の向かう方向を世の中に明らかにすることも重要である。地球と人類の未来を見つめ、社会との関係を常に意識し、多様な知を組織する必要がある。そのためには、教育・研究・大学運営への女性教職員や外国人教職員の参画を推進し、新たな視点と思考の導入も不可欠である。これらを通じて、時代を先導し続ける高等教育機関としてのダイナミズムを保障するガバナンスとコンプライアンスの仕組みを構築する。