トリュフを使う有名料理と言えばL’omelette aux truffes「トリュフ入りオムレツ」である。
刻んだ黒トリュフをたっぷり入れて作るオムレツは、シンプルながら贅沢な気分を味わえる人気のフレンチだ。
しかし、トリュフは言わずと知れた高級食材、ひとかけら入れただけでもかなりの値段になってしまう。
そこで、トリュフを削って入れなくても、その香りのするオムレツを食べられる方法が知られている。
ずばり、香りだけを卵に移してしまうのだ。
卵の殻には微細な穴が大量に開いており、そこを通じて外気を卵の内部に取り入れることができる。(有精卵なら「呼吸している」と言えるのかもしれない)
トリュフのような香りの強いものと卵を一緒に置いておくと、その香りを吸い込んで卵そのものに移るのだという。
そうやってトリュフ香を移した卵でオムレツを作ると、見事に香り高いものができると言うのだ。
さて、我が家にはトリュフこそないが、とてもいい香りを発するキノコがある。
そう、今年も何回か記事にしたコウタケだ。
干したコウタケの香りは本当に強く、採取から3ヶ月がたつ今でも十分に楽しむことかできる。
これと一緒に保管しておけば、しっかりと卵に香りが移るのではないだろうか。
やってみよう。
コウタケ卵のオムレツ
まず、賞味期限が十分に残っている新鮮な卵を用意する。
コウタケと共にジップロックに入れて、冷蔵庫で3~5日ほど保管する。
これでOK…のはず。
見た目には何の変化もないが、表面からはしっかりとしたコウタケ香が漂う。
割ってみよう。
こちらも見た目には特に変化がないが…
香りはというと、
…
お、ちょっとコウタケ香がする!
これぐらい香りがあれば、料理にも香りが出るかな?
ということで、まずは本命・オムレツを作ってみよう。
溶き卵にして、味付けは塩のみ。
少量のバターを溶かして、
ほぐしながら加熱して、
形を整えて、
完成。
なんか卵焼きっぽくなっちゃったな…
まあいいや、食べてみよう。
…(・~・)
…
…
バターのいい香りがします。
コウタケ香は…ない?
少し冷ましてからもう一口。
…あ!ちょっと醤油っぽい!
あとなぜか、味が濃くなっているような…?
明らかに旨味が強くて、美味しくなっている。
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
卵かけご飯(TKG)はどうか
残りの1個は、せっかくなので生で食べてみることにした。
コウタケ香は醤油に例えられることが多いが、もし卵にその香りが移っていれば、醤油を入れなくても「いわゆるTKG」の味になるのではないかと思ったのだ。
ということで
塩を少し入れた溶き卵を作り、ご飯にかける。
完成!w
色味は非常にいい。
というかこの卵、どれも美味そうな色してんな…
いただきマース
…(・~・*)
あ、これは香りわかるわ。
顔を近づけただけで感じ取れるような強いものではないけど、口に入れた途端にふわりと上品な醤油のような香りが漂ってくる。
知らない人にこれを食べさせたら、ものすごいいい卵なのかと勘違いするかもしれない。
そしてこちらもなぜか、旨味が強くなったようなカンジがする。
コウタケの旨味って、香り成分と同一なのか…?
味:★★★★☆
価格:★★☆☆☆
ローリスクローリターンのスローフード
ということで、いろいろと疑問点もあったが、なかなか悪くない結果が出た。
なにより、これによってコウタケが目減りしないのが良い。
小学生の時、理科実験の授業で「酸素と二酸化炭素を発生させる場合、どちらが安上がりか?(細かい材料費は勘案しない)」という話題になった。
一見すると「二酸化マンガンとオキシドール」を必要とする酸素の方が高くつくように思えるが、二酸化マンガンは「触媒」であってそれ自体は変化・減少しないため、酸素の方が安くつく、という結論だった。
今回も、コウタケはいわば触媒にすぎない。
本体が朽ちてしまうまでは繰り返し使えるので非常に経済的だ。
5日ほどのんびりと待つ必要があり、それでいて強烈に香るものができるというわけでもないが、期待しすぎないでいれば十分満足はできると思う。
今後も引き続き作ってみよう。。
コメント
卵に香りをつけて楽しむなんて調理方法があるんですね!!このサイト、前回のはぶて揚げなどさりげなく興味深い調理方法が載せられてて密かな楽しみにさせていただいてます(^^)!
今度真似させてもらいますね!笑
ありがとうございます!
ぜひやってみてください。。ハーブとか他の香り食材でもうまくできるらしいですよ。。
日本の松露では出来ないのでしょうか?
アレはそこまで香りの強い食材ではないので…どちらかというと歯応えを楽しむキノコですよね。トリュフとは目も違いますし。