英国の大英博物館が収蔵品や主要な展示会を会員に紹介するため年3回発行している雑誌の表紙に南風原町出身の現代美術家、照屋勇賢さん(51)の紅型を用いた作品「結い、YOU-I」(2022年制作)が採用された。同博物館が約800万点のコレクションの中から選んだ。日本人美術家の作品が表紙を飾るのは異例。今年4月から常設展示される。(社会部・知念清張)

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 「結い、YOU-I」は、古典的紅型の絵柄をベースに米軍機から降下するパラシュート部隊やオスプレイ、辺野古新基地の滑走路、追いやられるジュゴンなどを芭蕉布に描いた作品。紅型の圧倒的な華やかさに、琉球の文化と歴史の豊かさが描かれている。

 「結い、YOU-I」は、新基地計画が具体化しつつあった00年ごろ、着想した。照屋さんは取材に「20年以上かけてここまできた」と快挙を喜んだ。また「メッセージは確実に英国や世界に伝わっている。諦めてはいけない。作品の収蔵、今回の表紙への採用は、大英博物館の反植民地主義への理解を示している」と話した。

 大英博物館キュレーターのロジーナ・バックランドさんは同誌で「沖縄の米軍基地の長年にわたる緊張状態とそれに対する人々の継続的な抵抗について、示唆的なコメントを提示している」と評価。4月からの展示では、琉球王国が中国と日本を平和的に結ぶ場所としての役割があったことを紹介する。台湾有事を念頭に、作品には歴史を踏まえ、現在の「地政学的な問題」への疑問や思考を深めるよう来館者に訴える魅力もある、とした。