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眠りへのスイッチ、パジャマの役割 パジャマをもっと見直そう

  • 眠りへのスイッチ、パジャマの役割
  • 体質別パジャマの選び方
  • 天然素材のシルクパジャマを着よう
  • 一期一会の手仕事 INTERVIEW パジャマクラブデザイナー 佐藤晴香さん

眠りへのスイッチ、パジャマの役割

パジャマにこだわると、寝心地が違う

元気な毎日を過ごすための大切な睡眠時間。ところが7割以上の人が「自分の睡眠に満足していない」(ワコール調べ)というデータが発表されています。確かにどんなに長時間寝ても、熟睡してないと次の日にもだるさが残ったり、不調な感じが続きます。

寝つきを良くして、ぐっすり眠る工夫のひとつに、パジャマが見直されています。

そもそも寝るときにパジャマを着るのは、カラダをしめつけず、汗やムレから守りながら楽な体勢で眠るためのもの。また入浴後、パジャマに着替えて眠ることはカラダを清潔に保つ意味もあります。さらに、トイレに行って歯を磨き、パジャマに着替えることで、眠りへのスイッチが入り、心身ともに睡眠モードになる・・・。こういった睡眠儀式があることで「上手にONとOFFが切り替わり、スムーズな寝つきへとつながるのです」とは今回、パジャマの機能を教えていただいた(株)ワコールの広報室の萩原みゆきさん。

具体的に快適なパジャマの条件とはどういうものなのでしょうか?「快適さのキーワードに『動』『温』『触』があります。自由に寝返りが打てて、寝ている間に着乱れしないもの。夏は熱を逃がして、冬は寒さを感じない素材のもの。肌触りが良い素材で、リラックスできるもの。この3つの快適軸が、心地よい眠りに誘うパジャマといえます」。動きやすく快適で、自分の好きな素材のパジャマを着ることで、自然と「熟睡の眠りモード」に入っていく。こんな風にパジャマは心地よい眠りへ誘う「夢先案内人」といえるかもしれません。

取材協力:(株)ワコール
http://www.wacoal.jp/suyasuya/

パジャマの歴史:日本にパジャマの原型が生まれたのは江戸末期

パジャマの語源は、インドのゆったりとしたズボンからきています。日本人は昔から着物で暮らしていましたが、パジャマの原型といえるスタイルが登場したのは江戸時代の末期。この頃に銭湯が普及し、湯上りに着ていた浴衣が、肌に柔らかく馴染んで汗もよく吸うので、パジャマとして進化していったと言われています。
それから1950年代になると、輸入されたパジャマやネグリジェが急速に普及し、アメリカのホームドラマへの憧れもあって、女性はネグリジェ、男性や子どもはパジャマといったスタイルが定着。その後は、パジャマと部屋着のボーダーラインがなくなり、いろいろな素材やデザインのパジャマが登場するようになりました。

あなたはどのタイプ?体質別パジャマの選び方!

森羅万象をつかさどる東洋思想に基づいた
「陰陽別パジャマ選び」

パジャマを選ぼうと思っても、どんなパジャマを選んだらいいのかわかりにくいものです。素材で迷ったり、色で迷ったり…。そんな時の目安として、体質別のパジャマの選び方を提唱している快眠セラピストの三橋美穂さんに、自分に合うパジャマの見つけ方を教えていただきました。「自分にあったパジャマを着るのは、上質な睡眠をとる近道でもあるんですよ」と三橋さん。

「睡眠時間が長めの人、短めの人。熱めのお風呂が好きな人、ぬるめが好きな人。人にはいろいろなタイプがあります。それを大きく分けると陰性と陽性の2つのタイプに分けることができます。陰性の方は睡眠時間が長めで朝はスロー。睡眠時間が短くて朝の目覚めがいつもスッキリというのは陽性タイプ。すべてが当てはまるわけではないですがまずは左下のチェックをしてみてください」

【陽性タイプ】が多い方は、睡眠中に汗をかきやすいので吸湿性に優れる綿やシルクなどのパジャマを選ぶと体内の熱がこもらず、快眠へとつながります。いずれの素材も薄手タイプを。胸元も開いたものがいいとも。色は寒色系を選びましょう。寝室は落ち着いた冷たい雰囲気にすることが大切です。ブルーやシルバーの調度品、水槽などを寝室に置くと良いでしょう。

【陰性タイプ】が多い方は、まず自分が心地いいと思う素材を選ぶことが先決。というのも手触りや肌触りに敏感な人が多いから。おすすめはやわらかくて、ふわふわした素材。保湿性の高い厚手の綿や暑さと寒さを生地がコントロールしてくれるシルク、これからの季節はフカフカのニット地などを使ったパジャマを。これは身体の熱を逃がさないので、寝ている時も気分よく過ごせます。寝室は明るく温かい雰囲気にすると良いでしょう。木製家具や暖色系の寝具などもいいですね。

自分がどちらのタイプなのかは、その時の季節や体調などで変化します。今現在の自分のタイプはどちらに近いのか?を知り、それに合ったパジャマを意識することで、「快眠」は手に入れることができると三橋さんは言います。こうすることで、いずれのタイプも陰陽の間にあたる中庸に近付き、調度よい体調を作っていけるということです。これは子供のパジャマ選びにも通じるものなので、子供の体質に合わせて柄もの、無地、キャラクターものなど、迷った時のセレクト基準にしてみてくださいね。

取材協力/快眠セラピスト 三橋美穂
http://sleepeace.com/

綿といっても、織り方によって様々な特徴を持った生地になります。

パジャマの需要が伸びるのと比例して、素材にこだわる人も増えているようです。この秋冬におすすめのパジャマ素材と着心地について、パジャマメーカーのパジャマクラブとユーザーに取材しました。
http://www.pajamasclub.jp/

  • 先染め綾ネル裏起毛
    <特徴>肌にあたる裏面に繊細な起毛を施しているため、肌あたりがふんわりと心地よいのが特長。生地にしっかりとした厚みとハリがあり、ナチュラルなやさしい肌ざわり特徴。
    <ユーザーの声>「肌触りと着心地がよくてビックリ。内側のみ起毛なので何度洗濯しても毛羽立つことがありません」(香川県・40歳)
  • シルキーコットン裏毛
    <特徴>サンフォーキン綿の開花後に初摘みされた、超極細綿を厳選して使用。綿100%でありながらシルキーな光沢があり、ソフトな風合い。裏毛も繊細で柔らか。
    <ユーザーの声>「肌触りにこだわっているので、このスベスベした感触が気に入ってます。何度洗濯しても型くずれしない点もいいですね」(神奈川県・38歳)
  • 今治タオルガーゼ
    <特徴>今治タオルならではのやさしい肌触りと優れた吸水性と、ガーゼの放湿・速乾性の2つの素材の特長を活かしています。
    <ユーザーの声>「ふわっと軽くて柔らか。秋のパジャマとしてちょうどいい軽さが気にいってます」(岐阜県・35歳)
  • 3重ガーゼ
    <特徴>3枚のガーゼを重ね合わせたことで、ガーゼ間の空気層が適度な保温と保湿性をキープ。洗うほど、着るほどに柔らかさが増していく素材。
    <ユーザーの声>「洗っても自然な風合いがあるので、一度着たら手放せません。3シーズン着られるので重宝してます」(京都府・37歳)
  • ダブルウェーブ
    <特徴>超長綿天然スーピマ綿100%の極細糸を使用したニットサッカー地。通気、放湿性に優れ、吸水、保湿、伸縮性も高いのでシワになりにくいのも特長。
    <ユーザーの声>「着心地がサラっとしているのに、保湿性に優れているので春から秋までずっと愛用してます。重ね着しなくても温かいので、ぐっすり眠れます」(大阪府・41歳)

天然素材のパジャマを着よう

美と健康を気遣うなら、シルクのパジャマ

シルクのパジャマが良いとはよく聞きますが、その理由は何でしょうか?その回答は、昆虫の蚕(かいこ)が作る「繭(まゆ)糸」にその秘密が隠されていたのです。
シルクセラピストの奥秋貴子さんにシルクパジャマの魅力の元を教えていただきました。

「シルクの肌触りがやさしい理由は繭糸の表面にあります。人間の皮膚組織に近いたんぱく質(セリシン。写真図参照)で出来ていて、その結果、化学繊維で感じるような摩擦や刺激がほとんどなく、肌にとってもなじむんです。しかも蚕が成長するのを守り続ける繭はその繊維の中に空気の層を持って蚕が呼吸しやすいようになっています。それが1年を通して冬は暖かく、夏は涼しいシルクパジャマの魅力を作ってくれているんですよ」。

では綿素材との比較が気になります。
「シルクは綿に比べて、1・5倍の吸水性があって、放湿性にも優れているので、夏の暑い時に汗をかいても、体全体を冷えから守り、冬は繊維の隙間にも熱を保持するので、冷えにくいといわれます。また、シルクは必要な湿度を保つ効果ももっているので、乾燥する寒い冬にはとてもいいですよ」。

特に女性の悩みとして多い「手足の冷え」にもシルクはぴったりな素材と奥秋さんはいいます。「冷えの状態だと、心臓の周りや頭などに対して、足元は、4~5℃も低くなっています。冷えを寄せ付けないようにするためには、上半身は涼しく、下半身は温かい状態にしてあげることがベストです」。頭寒足熱をシルクが自然と実行してくれるというわけです。これからの季節、冷え症の人には朗報かもしれません。

寝入るときの暑さや、寒さなどをやわらげて、深い眠りにスーッと誘ってくれるシルクパジャマ。1度着てしまったら、今までのパジャマには戻れないという方が多いのも納得できます。1年中愛用でき、何度洗濯してもサラッとした着心地を味わえるシルクのパジャマをみなさんも是非試してみてはいかがでしょうか。

★シルクパジャマの洗濯の方法

絹製品を家庭で洗濯する場合には、中性洗剤を使用し、30℃程度のぬるま湯で手洗いが基本です。 洗い方は、押し洗いやふり洗い、つかみ洗いとし、もみ洗いは避けます。汚れのひどい箇所は軽くたたくようにして洗います。できるだけ洗濯機は使用しない方がよいですが、比較的ラフ扱いのできるニット類について使用する場合は、布袋(ネット袋)に入れた上で洗濯時間を短くするとよいです。 よくすすいだ後、軽くしぼって、ハンガーにかけて形を整えてから陰干しします。 強く絞ったり、脱水機にかけることは禁物です。

取材協力:シルク専門店 ふるさと工房
http://www.silk-s.com/detox.html

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