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ゆるやかで、やさしい空間を作る あかりがもたらす豊かさ

  • より深いリラックスを作る
  • 快適な睡眠を演出
  • 暮らしに寄り添う
  • 一期一会の手仕事 私らは自然を織り込む職人です

あかりの歴史


暮らしに癒しと活性をもたらす、あかりと色

あかりがもたらす豊かさを語るとき、忘れてならないのが古代の人たちがどのようにしてあかりを生み出し、工夫して守り続けてきたか、ということ。震災後、あかりの大切さを意識せざるを得ない時代となった今、改めて「人とあかりの歴史」について紐解いてみましょう。

最初のあかりの元となったのは、縄文時代に火を発見したこと。落雷や火山の噴火、樹木の摩擦によって火が起こることを知り、発火方法を学んだことからだと言われています。以来、闇夜から解放され、「あかり」のもとで暮らせる安心・安全を手に入れました。それだけでなく火とあかりによって、食の楽しみ方もどんどん進化し、集う喜びを通して家族の「だんらん」が生まれました。

日本に西洋のランプが入ってくる江戸時代の後期までは、行灯(あんどん)や堤灯(ちょうちん)、燭台、カンテラなど、多種多様な「あかり」が作られていました。日本でのランプ作りは明治5年頃、鍛冶屋ではじまったそうです。その頃、横浜の馬車道で点灯されたガス灯は大正時代にかけて人々の生活の中にも溶け込み、家々を照らすようになりました。

明治19年には、白熱電灯が実用化。当初のシンプルなシェード(かさ)に裸電球というスタイルから、お椀型や鉢型などさまざまなデザインが生まれ、充実した生活空間を演出するための必需品となりました。

そしていまや、生活シーンにあわせて「あかりの色」を選ぶ時代になりました。
たとえば、光の色には「電球色」と「昼白色」などがあり、くつろぐときや食事をするときなど、それぞれのシーンに合わせて選ぶことでより快適な空間を演出できることがわかっています。闇夜を照らすためのあかりから、快適な空間を演出するためのあかりへ。時代が移り変わり節電を意識するようになった今こそ、「あかり」との新しい関係を見直すいい機会なのかもしれません。

光の色による使う場所の選び方 お部屋の雰囲気や目的に合わせてあかりを選びましょう。

あかりとセラピーと空間

暮らしに癒しと活性をもたらす、あかりと色

あかりをテーマとして、最近注目されているのが「カラーライトセラピー」です。もともとはヨーロッパの北欧など、1年を通して太陽の日照時間が少ない地域で、心と体のバランスを保つための「光(太陽)療法」として発達してきました。

日本カラーライトセラピー協会の理事である、清水雅子さんは「ドイツで天井に照明がない家が多いのは、夜は頭上に太陽の光がないのに部屋の天井にライトがあるのはおかしい、という考えのため。夜はキャンドルライトで過ごし、照明はあってもダウンライトだけで過ごす家庭がほとんどです」。また、ドイツに限らず、ヨーロッパや日本国内でもホテルなどでは間接照明が多く使われています。

医学的にも、就寝前に日中と同じような明るい光を頭上から浴びていると、安眠に必要なメラトニンというホルモンが出ないと実証されています。さらに清水さんは、「全世界的に広がっている『うつ』に関して、『光治療』が有効であると実証されたことで、カラーライトセラピーが普及しつつあります。」と、話しています。

また、節電に有効なLEDはカラーライトセラピーの分野でも推奨していると、清水さんは言います。その理由は、LEDの光の作られ方やエネルギーが、太陽光線に比較的近いため。逆にパソコンや蛍光灯の光は太陽光とは一番遠い光で、長時間浴び続けていると疲れやすい、とも言われています。清水さんは「分光器でLEDの光を見ると、太陽光に近いフルスペクトルで、きれいな色のグラデーションが出ています。蛍光灯の光はバーコードのように分断されたスペクトルなため、欠落した部分を無意識に補おうとするため、余計なエネルギーを使うので疲れやすいのではないか、という説もあります。その点、LEDは太陽光のフルスペクトルに近い光源なので、人にやさしいのです」

あかりのもたらす影響を利用するカラーライトセラピーは、暮らしの中の知恵とも言えます。洋服と同じように、その日の気分や時間帯によってあかりを変え、居心地のいい空間を演出することが、新たなあかりの楽しみ方なのかもしれません。

取材協力:日本カラーライトセラピー協会

光の色を使いこなす 生活のシーンによって光の色を上手に使い、素敵な暮らしを

料理は『電球色』を使うと、おいしさが引き立ちます
ものの見え方は光の色によって変わります。あたたかみのある電球色ならお料理が美味しそうに見えます。「お食事のときは電球色のLEDが、仕事や勉強、新聞を読むときなどは昼白色が適しています。現在は生活のシーンごとに、ふさわしい明るさと光色に切り替え可能な照明器具がたくさんあります。省エネについても我慢する節電ではなく、生活スタイルは崩さず自然と省エネができる、心地よい照明空間づくりをすすめています」
服を選ぶときは「昼白色」で
電球色だと本来の色より赤みがかって見えるので、外光で見ると「思ったより派手な色だった」「気付かなかったけれど、色あせしていた」ということが。その点、昼白色なら微妙な色の違いを見分けられるので、服を選ぶときは昼白色がおすすめです。「肌の色を美しく見せ、モノの色を自然に見せる『美光色LED照明器具』も新しく発売されました。これからのLEDは長寿命、省エネに加え、光の質を追求する時代になります」
日本の寝室のあかり
「太陽の自然光を考えてもわかるように、朝はオレンジ色の光が下から登り、昼間は頭上から白っぽい光が差し、夕方になると、また暗くてオレンジ色っぽい光になって日が沈みます。照明も同じで、勉強や仕事、料理などの活動時には白っぽいあかりが、寝る前の団欒や、くつろぐ場所には、温かいオレンジ色のあかりが適しています。日本でいうと、行灯や焚き火などもまさに団欒やくつろぎのあかりの代表といえますね」

協力:パナソニック(株)
インテリア照明BU営業推進グループ 山本 望さん
パナソニックの「シンフォニーライティング」
パナソニックの「美光色LED照明器具」

あかりを演出するランプシェードたち

和紙や布、ガラス、鉄、木…。
ランプシェードひとつで光りのゆらめきが違います。

あかりは暮らしのさまざまな空間で活躍していますが、ランプシェードの素材や形状によってあかりの広がり方に違いが出てきます。

ランプシェードのシェードとは「笠」を意味し、むき出しの光をやわらげてじんわりとあかりを広げる役割を担っています。照明器具の大部分を占め、ランプシェードの素材や形状でデザインが決まると言ってもいいほど。素材は和紙からガラス、プラスチック、木材、陶器、籐など実に多様です。華やかなものは、江戸切子を使ったランプシェードもあるほどです。さらに、ビーチグラス(波打ち際で見かけるガラスの破片。波に洗われて角もまるくなっています)やペットボトルを使ったエコ的な商品も出てきています。

最近はさまざまなランプシェードに出会えます。この機会に、自分のお気に入りのランプシェードをみつけて、やわらかなあかりを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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