侍ジャパンの“たっちゃん”ラーズ・ヌートバー外野手(25=カージナルス)に、名作野球アニメ「タッチ」で浅倉南を演じた、声優の日高のり子(60)が熱烈なエールを送った。日高は、日本代表入りの夢をかなえたヌートバーの全身、全力のプレーが高校球児のようだと絶賛。南の名ぜりふを引き合いに「たっちゃん、南を(準決・決勝の球場)ローンデポ・パークへ連れてって」と、侍ジャパン3大会ぶりの王座奪還のキーマンになると期待した。【取材・構成=村上幸将】

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9日の中国戦、見ていたんですよ。(3回1死、中飛をスライディングキャッチするなど)高校球児のような全力のプレーに、ものすごく感動して、思わず「たっちゃ~~ん!」とツイートしてしまいました。

日本の代表に入りたかったという、幼き頃からの夢がかなった喜びで、本当に1つも無駄にしたくないという勢いというか、志というか、気持ちがプレーの1つ1つから、ものすごく伝わってきます。バッターボックスで足の調子が悪いのに交代を断ったところもそうですし、ボールに向かっていく勢い…全てが見ていると、すがすがしくて。

私が高校野球を見て感動するのは、幼き日からの目標だった甲子園に立てたという喜びが、全てのプレーに表れているという、すがすがしさを感じるところですね。プロ野球は、たまに東京ドームに見に行ったり、テレビでも中継を見たりするんですけど。やっぱり高校野球の、投手は投手、打者は打者なりの思いの積もった感じは、本当に2人とも主役だなと、いつも思って見ていて。そんな1度のチャンスを、絶対に自分の心にも体にも刻み付けるんだというものが、ヌートバー選手からも、ものすごく伝わってくるんですよね。

「タッチ」のタッちゃん(上杉達也)は、自分の思いをストレートに、ぶつけるところがない…人に譲ってしまうタイプ。侍ジャパンのたっちゃんは、自分の気持ちを、ものすごくストレートに表現しているので、中身はカッちゃん(達也の双子の弟和也)みたいですね。高校野球に憧れ、帽子のつばを折って、という記事も読みました。日本の高校球児や野球への愛がすごく深くて。観客席で応援し、支えているお母さん、おじいさんが、気持ちを通わせているのも良いですよ。その思いがエネルギーになって、ヌートバー選手の力につながっているのか、家族愛も、ほほ笑ましいなと思って見ていますね。

「タッチ」で、初めて浅倉南を演じて38年。4月1日からは「タッチ」の30年後を舞台にした「MIX」シーズン2の放送がスタートしますが“リアルたっちゃん”が登場するとは全然、思っていなかったです。「達治」でも“リアルたっちゃん”ですよ。うれしいですし…やっぱり、どこかで「タッチ」と重ね合わせて見ている方たちも、いらっしゃるんじゃないかなと思ったりして。ただ、平仮名か? って、ちょっと思いました。「タ」と「ッ」がカタカナで「ちゃん」が平仮名なのが「タッチ」のタッちゃんなんですけども…惜しいなぁって(笑い)

たっちゃんの全力のプレーに、感動をいただいています。これから活躍する選手だと聞いているので、大リーグでの活躍も楽しみ。(カージナルスの試合も)たっちゃんが出るなら見ます!! 「タッチ」も「MIX」も、見てね!! 無理して、ケガしないように…気を付けて頑張って下さい。そして…「たっちゃん、南をローンデポ・パークへ連れてって」。

◆「タッチ」 あだち充氏原作の人気漫画。「週刊少年サンデー」(小学館)で81年から86年まで連載。アニメはフジテレビ系で85年から87年まで全101話放送。双子の上杉達也、和也と幼なじみの浅倉南は、思春期を迎え微妙な関係のまま明青学園高等部に進学。「甲子園につれてって」という南の思いを背負い、1年で野球部のエースとなった和也が地区予選決勝前に交通事故死し、達也は野球部に入部する。30年後を描いた続編的作品のアニメ「MIX MEISEI STORY~二度目の夏、空の向こうへ~」が日本テレビ系で4月1日から放送。日高はナレーションを担当。

◆日高のり子(ひだか・のりこ)1962年(昭37)5月31日、東京都生まれ。幼い頃から演技に興味を持ち、劇団に入団。80年12月に「初恋サンシャイン」で歌手デビュー。84年のアニメ「超時空騎団サザンクロス」で声優デビューし、85年の「タッチ」の浅倉南役でブレーク。「となりのトトロ」の草壁サツキ役、「らんま1/2」天道あかね役などで人気を不動のものに。91年にスタートした文化放送「ノン子とのび太のアニメスクランブル」は、地上波放送から配信に形を変え放送は1600回超。NHK総合「あさイチ」(月~金曜午前8時15分)でもナレーションを担当。

※日高のり子の高ははしごだかが正式表記。