宝塚歌劇団星組トップ礼真琴主演の「政界コメディ『記憶にございません!』-トップ・シークレット-」「Tiara Azul-Destino-(ティアラ・アスール ディスティーノ)」が8月17日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎え、上演が続いている。宝塚は今月22日まで。東京宝塚劇場は10月19日~12月1日。今公演は、トップ娘役舞空瞳の退団公演で、東京千秋楽をもって退く。

★異色作に挑戦

歌、ダンス、芝居とすべてに高い技量を誇る礼が、異色作に臨んでいる。

芝居は三谷幸喜氏の脚本・監督で、19年に大ヒットした映画「記憶にございません!」を原作にしたコメディー。潤色・上演台本・演出は、石田昌也氏が手がけた。憲政史上最低の支持率となった総理大臣「黒田啓介」が、投げつけられた石に当たり、記憶を失ったことで、巻き起こっていく騒動を描く。

この黒田啓介、映画では中井貴一が演じた。暴言に汚職、不倫まで…悪行のかぎりを尽くし、国民からも悪評だらけ。負傷から目覚めた黒田は、悪の所業を忘れ去っていたことで、自身と向き合い、政治家を志した初心を思い起こす。冷え切っていた妻聡子との関係改善にも取り組む。

舞空が妻聡子にふんし、今回の宝塚版では、夫妻の出会い、過去の話も濃く描かれており、礼とそろって学生服に身を包んだ学生時代も2人で演じた。礼演じる黒田啓介の秘書官は暁千星が好演。フリーライターには人気スター極美慎がふんし、熱演を見せた。

★はだしで踊る

ショーの作・演出は、宝塚大劇場公演デビュー作となる竹田悠一郎氏。アルゼンチンのカルナバルを舞台に、情熱的なレビューを展開。祝祭の始まりとともに、次々にダンサーが登場。礼と舞空、暁とダンサーがそろう星組らしく、激しくも華やかな場面が次々に。礼、舞空の当代きってのダンサーコンビは、はだしでの踊りにも挑む。

初日の幕が開け、その終演後には、礼があいさつし、ファンに感謝した。

客席を見やり「今日無事にこうして初日の幕を開けることができ、劇場いっぱいに、お客さまがいてくださることの安心感と喜びを同時に感じております」。

素直な思いを口にし、公演への思いにも言及した。

「お芝居、レビューともに、この夏真っ盛りにぴったりな、星組らしい2作品となっておりますので、今日から皆さまとともに笑い、楽しみ、そして盛り上がっていきたいと思いますので、千秋楽まで、どうぞよろしくお願い申し上げます」と約束し、スタートを切った。【村上久美子】