25年ホークス見どころの1つが正捕手争いだ。直近8年間、絶対的な司令塔で常勝軍団を支えた甲斐拓也捕手(32)が、FAで巨人入りを決断した。正捕手が流出し、新正捕手へ谷川原健太捕手(27)は「勝負の1年」と位置づけた。

若手と呼ばれる立場でもない。今年でプロ10年目だ。「(正捕手を)狙わないと『昨年、何をやってたんだ』って自分でも思うので。昨年は基礎を作った分、今年は一気にいきたい」と決意をにじませる。

23年のシーズン終わりに「捕手一本」を公言した。内外野も守れるユーティリティーが持ち味も、愛着のあるポジションに強くこだわった。「捕手で入団してきたので」。21年に59試合、22年は自己最多の71試合、23年には61試合に出場。主に守備固め、代走などの役割を担ってきた。「それも大事なんですけど」とし「やりたいことじゃないなとはっきりした。やっぱり(捕手として)レギュラーで試合に出たい」。

昨季は1軍4試合の出場にとどまるも、打率4割4分4厘(9打数4安打)、2打点と存在感を示した。ウエスタン・リーグでは74試合に出場。「この1年間の経験は来年につながると思っている。自分の中ではすごく大きかったし、それはベンチに座っていたら気づけないことだったと思うので」。オフは2年連続で福岡県内で楽天安田と自主トレを行う予定。「まずはバッティングもですけど、守備ではブロッキングに、フレーミングもやっていきたい」と攻守でのスケールアップを掲げる。

海野、渡辺、嶺井らとの熾烈(しれつ)な捕手争いは避けられない。谷川原は「(甲斐が)チームに残られたとしても、(今年は)超えなきゃいけないことは分かっていた。自分のやるべきことは変わらない」。目の色を変え、並々ならぬ覚悟で正捕手奪取を狙う。【ソフトバンク担当=佐藤究】

ソフトバンク谷川原健太(2024年3月撮影)
ソフトバンク谷川原健太(2024年3月撮影)