サンキストの輸入レモンは環境ホルモン農薬漬け――欧州調査で4割がNG、日本ではなぜか農薬が「食品添加物」として認可
サンキストのレモン。4種類の農薬が「防かび剤」として使用されている。そのうち2種類は、環境ホルモン作用がある。妊娠中は特に要注意だ。 |
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- 欧州で農薬使用量上位50成分中4割に環境ホルモン作用
- 日本で多いのは住友化学の「フェニトロチオン」「プロシミドン」
- 日本では農薬が食品添加物に
- 米サンキストのレモンは環境ホルモンだらけ
- 輸入ジャガイモを使ったポテトチップも要注意
欧州で農薬使用量上位50成分中4割に環境ホルモン作用
11月15日と16日に東京大学医学部講堂で開催された環境ホルモン問題についての国際市民セミナーでのこと。
コルテンカンプ博士の講演資料より。欧州でよく使用される農薬の環境ホルモン作用を調べたもの。 |
講演の中で、環境ホルモン研究の世界的権威であるイギリス・ブルネル大学のアンドレアス・コルテンカンプ博士は、欧州で広く使用されている農薬の多くから、男性ホルモンの働きを阻害する作用があることが分かった、との報告がなされた(左図)。
北欧諸国では1970年から2003年にかけて、精巣がんの発生率が4倍に増え、ホルモンが関与する乳がんや前立腺がんも増加していること、また男の子での生殖器の異常や精子数の減少なども増加している、との報告があった。
短期間で精巣がんをはじめとする疾病が増加した原因の一つとして、胎児期の男性生殖器官が作られる時期の男性ホルモンのかく乱が考えられており、そのかく乱物質として、農薬以外にも、塩化ビニルなどプラスチックの可塑剤(フタル酸エステル)や、カーテンや建材に使用される難燃剤、食品や医薬品の保存料として使われるパラベン、香水などに使われる合成ムスク、などが指摘されている。
環境ホルモンの複合作用を示した研究。個別の摂取量では無害でも、複合作用で影響が出る。平成24年の環境省のセミナーでの井口泰泉博士の講演資料より抜粋 |
厄介なことに、環境ホルモン作用の場合、一つ一つの化学物質の摂取量は少なくて有害影響が見られなくても、同時に複数の物質を摂取した場合には、それぞれの摂取量が加算されて、有害影響が出てくるという(右図参照)。
こうした複合影響は、動物実験では既に確認されているが、農薬などの残留基準といった規制には、全く活かされていない。
EUでは、こうした環境ホルモン作用による有害性を重視し、農薬や家庭用殺虫剤への規制制度を強化して、環境ホルモン作用のある成分は使用禁止にすることを決定している。また、一般の化学物質でも、販売前の事前承認を課すなど厳しい管理措置を義務付けることが決まっている。
コルテンカンプ博士の報告の元になっている2011年に発表された研究論文を読んでみると、欧州で使用量が多く、ばく露する機会の多い農薬を、ピックアップして調べた結果、上位50位の農薬中20種類に男性ホルモンを阻害する作用が見つかった。
「予想以上に多くの農薬から男性ホルモン阻害作用がみつかって正直びっくりした。人での影響がないと言えるのか緊急に調べる必要がある」とコルテンカンプ博士は語った。
日本で多いのは住友化学の「フェニトロチオン」「プロシミドン」
環境ホルモン作用が見つかった農薬の日本での使用状況。 |
コルテンカンプ博士たちの研究で男性ホルモン阻害作用が判明した農薬(殺虫剤9種・殺菌剤14種・除草剤2種)について、日本での使用状況を調べたのが左図だ
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日本で防かび剤として許可された食品添加物。7成分中4成分が環境ホルモン。
スーパーの果物売り場では、添加物の使用表示があるので選ぶことが可能。
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