アマゾン社員が語る「ベゾス退任後、顧客第一主義→コスト重視に変わってしまった」現場
配送・コールセンター・UI…すべて法人向けのみ改善、リテール放置
A:優良企業 (仕事4.0、生活3.7、対価4.6) |
「Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています」――。アマゾンが今でもミッション・ステートメントの筆頭に掲げるのは、創業以来変わらぬ「地球上で最もお客様を大切にする企業」、カスタマーオブセッション=顧客への執着、顧客第一主義である。ところが、ベゾスが退任した2021年以降、「コスト重視になったと感じることが増えた」と、コロナ禍以前から在籍する社員は、変化を感じている。
- Digest
-
- 誤配もカスタマーサービス対応も最悪
- 配送品質の低さを放置
- コストを顧客に転嫁する「アマゾン第一主義」
- 日本語ネイティブだけのコールセンターをBtoB向けに新設
- ビジネス向けだけ別の専用配送に切り替え
- 週2時間の「クレーム対策会議」
- 出品者住所で「日本国内のみ表示」可のUIに
- 顧客重視→コスト重視に変わってしまった
- 無用に箱数を増やす最悪なUIを放置
- グーグル出身者「グーグルは天国だった」
- 週3出社義務、ほぼ5日来るのが実際
- とにかく女性のD&I
- 月30時間以上の残業は事前申請が必要
- 1日1問アンケート調査「コネクションズ」
実際、顧客(消費者)に近い配送やコールセンターの現場では、何が起こっているのか。現役社員に聞いた。
公式サイトより |
誤配もカスタマーサービス対応も最悪
アマゾンは、カスタマーサービス(コールセンターのこと)で応対すると、その対応者名で自動的に顧客にメールが送られ、フィードバックを求める仕組みになっている。この仕組み自体は顧客第一主義ともいえるが、中身が伴わなければ意味がない。
以下は、昨年の配送トラブル(誤配)の際の、対応履歴だ。配送完了時の写真が、筆者宅とは別の家の玄関に置き配されたものだったので、連絡せざるを得なくなったのが発端である。誤配の場所が近くなら、受け取りに行って即解決したかったし、住所や氏名など個人情報が記された箱を、行方不明にされているわけで、本来、すぐに対応すべきトラブルである。
■Amazon.co.jpカスタマーサービス対応者と日付
徐(ジョ) 2023年2月11日
権(ケン) 2023年2月12日
朱 2023年2月12日
辺(ヘン) 2023年2月13日
郭(カク) 2023年2月14日
松田 2023年2月17日
劉(リュウ) 2023年2月24日
チームリーダー西城 2023年2月24日
上記のとおり、毎回、対応する人間が変わり、なぜか8人中6人がネイティブの日本語話者ですらなく、コミュニケーションがたどたどしい。ニュアンスが伝わらないから、事実関係がわからず、モノがどこに行ったのか、問題がいつまでも解決しない。
買い直せば済む品なら返金で終わりだが、運悪く、生産終了した型落ち品で、二度と入手できないモノがたまたまアマゾンの在庫で見つかったから注文した、というケースだった。だから、どのデポから出て、どこに誤配され、いつ回収されて戻されて、という基本的な事実関係を確かめる必要があった。
だが、デポの名前から時間から返品プロセスから、言うことが担当者によって次々と変わり、毎日、嘘が発覚するため、矛盾点を尋ねると、延々と解決しないのだ。
QRコード管理でモノの流れは記録しているはずだから、事実は1つだし、簡単にわかるはず。顧客第一主義なら、事実を調べて教えてくれれば1回の電話で終わる。だが、その姿勢は見られず、やる気がない。適当にその場しのぎで、皆が嘘を言うから、最後までわからなかった。
なぜそうなるのか。あとでわかったのは、「特定の問合せに、責任を持って最後まで1人で対応する仕組みがなく、その場しのぎで嘘を言って電話を切らせてしまえば、自分は二度と同じ客に対応しなくてよい仕組みで、誰か知らない人が引き継ぐから、その人に面倒なことは任せればよい」という、アマゾンが作りあげた超無責任体制に一因がある、ということだった。
「その場しのぎ」「無責任なごまかしや嘘」にインセンティブを与えている。対応者が毎回、別の人間になるため、顧客側は結局、ゼロから説明し直すはめになる。誤配された側が当然のクレームをすると、嫌がらせを受け、諦めさせるのだ。
もちろん、ネイティブでないことによるコミュニケーションロスも確実にあり、国籍によるカルチャーの違いも否定できない。文化が違うから、言葉の定義から始めなければいけない。それを補正するだけの教育研修に、アマゾンがカネをかけていないのは明らかだった。日本人向けのコールセンターなのに、日本語ネイティブではない別の国の人間が対応するわけだから、最初からコミュニケーションロスによるトラブルが仕組まれている。
これらの、どこをどう解釈しても「顧客第一主義」とはいえない。顧客側に、莫大な損失を発生させることを前提で、コストカットしてカネ儲けを企んでいるからだ。
配送品質の低さを放置
この品は、結局、100メートルくらい離れた同じ通り沿いの他人の家に誤配されていたことが判明したが、その間、「委託先の配送会社から連絡させる」と言って連絡がこなかったり、やっと連絡がついたと思ったら、その配送人もまた日本語ネイティブではない外国人で、たどたどしい日本語なのだった。「住所を読み間違えていた」という。日本語の漢字を十分に読めないから、誤配していたわけだ。「少ししゃべれても、読めない」というパターンは多い。
別のモノの配送では、「玄関」に置き配を指定しているのに、かつ細かく「ドアに向かって左側の壁際」と住所欄に丁寧に追記して指定していても、反対側の駐車場内に置いていかれたことが、少なくとも2回あった。ネイティブではないので、日本語を読めないようなのだ。「ドアに向かって左側の壁際」という日本語は、外国人から見たら理解が難しいのかもしれない。
だが、いくらなんでも、日本語の住所表記や最低限の日本語を読めない人に、日本での配送業務を委託するのは、顧客に対して不誠実すぎるだろう。普通の中学生でもわかる日本語レベルである。
低賃金で雇うことだけを考えるから、そうなる。アマゾンジャパン本部の社員が、自分が出世する手段として、このコストカット手法を思いついたのだろう。アマゾンは、トラブルで発生するコストを顧客に押し付けることによって、カネ儲けをしている。
コストを顧客に転嫁する「アマゾン第一主義」
配送も、コールセンターも、日本語ネイティブではない外国人だから、起こるべくしてトラブルが起こり、後処理もすべてが泥沼化し、顧客に迷惑がかかる。
なんだこりゃ?いったいどれだけ現場の人間の足下をみて、日本語を使いこなせないからと安く買い叩き、最低品質&最低コストで顧客に迷惑をかけまくり、アマゾンだけがその差益でぼろ儲けしているのか。顧客第一主義ではなく「アマゾン第一主義」でしかない。
時価総額世界5位以内という、うなるほどのカネがあるのに、ケチって、ケチって、下請け配送員やコールセンター員を買い叩き、日本人が大人しいことをいいことに、顧客に迷惑をかけまくって、コストを顧客に転嫁し、カネ儲けしている。
翌日配送などの便利さや、圧倒的な品揃えで、もはや競合が存在しないから、「独占の弊害」(いわゆる「市場の失敗」の1つ)で、やりたい放題になっている。アマゾンの顧客第一主義は明らかに嘘なので、反省して撤回してもらいたい。
日本語ネイティブだけのコールセンターをBtoB向けに新設
いったい、この安かろう悪かろうの低品質サービスは、なぜ放置されているのか。同種のクレームは、多いはずだ。
「カスタマーサービスは、クレームが多すぎるので、社内でも問題となり、法人向け(『アマゾンビジネス』契約者)だけ、仙台に専用のコールセンターを立ち上げて、日本語ネイティブの人だけが対応する組織に変えました。配送も、従来のBtoCのアマゾンの配送だと、配送品質が低くてクレームが多すぎたので、法人向けだけ、専用配送サービスを始めました。これは、通常の配送とは別契約の配送業者を使います」(中堅社員、以下同)
「地球上で最もお客様を大切にする企業」を標ぼうしながら、実に一般消費者を軽視した、ダブルスタンダードの運用をしていることがわかった。
より詳しくは、以下のとおりだ。
アマゾンの在宅勤務専門カスタマーサービス(公式サイト) |
「コールセンターの番号表示は、仙台(022)や札幌(011)ですが、一部を国外に飛ばして、日本語が話せる中国人など外国人に対応させています。
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り6,794字/全文10,039字
実は日本語ネイティブではない外国人が多い在宅勤務オペレーター
アンディCEO「オフィス復帰計画」
アマゾンジャパン評価詳細と根拠
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。記者からの追加情報
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、こちらよりご連絡下さい(永久会員ID進呈)
新着記事のEメールお知らせはこちらよりご登録ください。