突然の「ベネズエラ領」宣言、ガイアナの住民が感じた憤りと恐怖とは
国境を隔てているのは幅200メートルほどの川だった。国境線を示すものやフェンスがあるわけではない。対岸にはベネズエラ国旗を掲げた平屋建ての詰め所。壁にスペイン語で「エセキボは我々のものだ」と書かれた文字や、軍人の姿が見える。
「今は静かだが、昨年12月は詰め所にベネズエラの軍人が100人ぐらいいた。とても怖かったし、本気でエセキボを奪いに来ると思った」
住民のシェバロ・レベイロさん(52)はそう語る。
南米ガイアナのインボテロはベネズエラと国境を接する街だ。ガイアナの西半分超を占める「エセキボ地域」の北端にあり、首都ジョージタウンから、小型飛行機(定員10人)や小型ボート(同4人)を乗り継いで4時間ほどかかる。
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街といっても川の支流に沿って家々が点在する住民100人ほどの小さな集落だ。道路は存在せず、移動には手こぎやエンジン付きのボートを使う。住民たちはほとんどが先住民族ワラオで、南米原産のイモ「キャッサバ」などの野菜を栽培したり川魚を釣ったりして自給自足の生活を送っている。
機関銃を手にするベネズエラ軍、避難する住民も
この街に大きな緊張が走ったのは昨年12月のことだった。
以前からエセキボ全土の領有…
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