市長不在で進む本会議 大阪・岸和田市議会、市長への反発続く
大阪府岸和田市議会の12月定例会が、異例の形で進められている。永野耕平市長が政治活動で関わりのあった女性と性的関係を続けたことをめぐり、謝罪して解決金500万円を払う内容で大阪地裁で和解したことについて、市長の説明に議会側が反発。定例会への市長の出席を「拒否」したため、10、11、12日と3日間あった一般質問は、いずれも市長不在で終わった。
12日の一般質問。議員からは公共工事や業務委託に関する質問があった。担当部長らの答弁に続き、挙手したのは「市政全体に関わることなので私から答弁します」と前置きした岸勝志副市長。市幹部が並ぶ席の中で、市長が座る場所は空席だ。
市長抜きで進められることになったのは、初日の9日午後に議会側が「市長が出席されないように求める」と申し入れたから。市長が所属していて離党勧告処分となった大阪維新の会の会派も含む全会派一致だった。
この日午前、永野市長の和解内容などに関する説明を聞いた議会側が、「不貞行為をしていた市長が、男女平等やハラスメント、ジェンダーに関する施策を提案し、市民は納得するか」「真摯(しんし)に対応しない市長と市政を進めることに不安を感じる」などと反発したことが背景にある。
烏野隆生議長は「説明責任を果たしていると判断できず、議案を市長と審議するのは難しいという判断になった。市民生活に関わる議案もあり、審議を滞らせるわけにはいかなかった。難しい選択だった」と明かす。
申し入れを受け、永野市長は議会には出ていない。
市役所前では連日、辞任を求めるプラカードを掲げて抗議する人々が集まっている。市役所内で見えるのは、戸惑いや不安だ。ある市幹部は「議会対応はただでさえ、物理的な事務作業や精神的な負担もあり、重みがある。部課長が答弁することは今までもあるが、市長が不在の特異な状況で、言葉に表せないプレッシャーはある。さらに議案が可決されても、執行に向けて漠然とした不安もある」と口にする。
議会内には、市長の責任を問おうとする動きが始まっている。
可能性があるのが「問責」「辞職勧告」「不信任」の各決議。この中で最も重いのが、法的拘束力がある不信任だ。
市議会事務局と市選挙管理委員会によると、不信任決議が可決されれば、市長は10日以内に議会を解散するか、失職かの選択を迫られる。
可決には議員の3分の2以上が出席し、4分の3以上の賛成が必要。市議会は定数24で、全員が出席した場合、可決に必要な人数は18人となる。
10日たって自動失職した場合は50日以内に市長選が行われ、当選した場合の任期は4年。ただちに辞職する場合は議会の過半数の同意が必要となる。辞職して当選した場合、任期は辞職前の残りの期間となる。
議会を解散した場合、40日以内に市議選が行われる。
定例会は20日まで。各会派で、どう対応するか調整が進められている模様だ。