スナク英首相、ノルマンディー式典途中退席で謝罪 「過ちだった」
第2次世界大戦の転換点となった「ノルマンディー上陸作戦」から80年となった6日の式典を途中退席したとして、英国のスナク首相が7日朝、X(旧ツイッター)で異例の謝罪をした。7月の総選挙を前に、英国に戻ってテレビの取材に答えていたことが発覚し、選挙戦を優先したとして批判が高まっていた。
ノルマンディー上陸作戦があった1944年6月6日は英語で「Dデー」と呼ばれ、特別な響きを持つ。今年は80年の節目で、作戦に参加した兵士の生存者も少なくなっていることから、フランス北西部で開かれた式典は特に大きな注目を集めた。
スナク氏もフランスを訪れていたが、マクロン仏大統領やバイデン米大統領、チャールズ英国王らが並ぶなか、姿が見えなくなっていた。キャメロン外相やシャップス国防相は残っていた。
6日夜になり、スナク氏が英国に戻って民放ITVのインタビューに答えていたことが発覚。野党・労働党の議員らから「恥ずべきことであり、職務怠慢だ」などと非難する声が高まった。
スナク氏はXへの投稿で「(作戦から80年の)節目の日は、国のために究極の犠牲を払った人びとの話題こそが重要だ。私が最も望まないのは、政治が記念式典に影を投げかけることだ」と強調。一方で「よく考えれば、フランスにもっと長く滞在しなかったことは過ちだった。謝罪する」と記した。
英国では7月4日に総選挙があり、スナク氏率いる保守党は世論調査で労働党に大差をつけられている。SNSでは謝罪投稿に対し、スナク氏が兵役を選択肢に含む「18歳の国家奉仕義務」の復活を公約に掲げことを挙げ、「実際の戦争に参加した退役軍人をたたえるために、1日そこにいることもできなかったのか」などとさらなる批判が広がっている。