政府、電力7社の電気料金値上げ承認 来月から2078~5323円

伊沢健司 岩沢志気
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 大手電力7社が申請している家庭向け規制料金の値上げについて、政府は16日、物価問題に関する関係閣僚会議を開き、6月1日から標準的な家庭では2078~5323円引き上げることを了承した。近く西村康稔経済産業相が認可する。

 西村氏は16日の記者会見で「7社に対して、わかりやすい説明を丁寧に行ってもらうこと、徹底的な経営効率化を進めていくことを強く求める」と述べた。

 燃料費の高騰を理由に、7社は昨年11月以降に相次いで値上げを申請。東北、北陸、中国、四国、沖縄の5社は4月1日から、東京と北海道の2社は6月1日からの値上げを計画していた。

 だが、岸田文雄首相が2月に「厳格かつ丁寧な査定による審査」を指示。経産省は値上げ幅について、各社に直近の為替水準や燃料価格をもとに再算定を求めるなどした。その結果、申請時の値上げ率の28~48%から圧縮され、14~42%になった。

 審査の過程で消費者庁は、大手電力によるカルテルや顧客情報の不正閲覧といった不祥事が料金に及ぼした影響について示すよう経産省に要請。経産省が一定の検証結果を示したことや、値上げ後の各社の経営効率化の取り組みについても調べる方針を示したことなどから、消費者庁が15日に値上げを容認した。

 大手電力の家庭向け電気料金は、自由料金と規制料金の2種類がある。自由料金は電力会社が自由に決められるが、規制料金は値上げに国の認可が必要だ。燃料費の上昇分を規制料金に上乗せできる上限に達し、超えた分が電力会社の損失となっている。7社は、2023年3月期決算の純損益が赤字となった。この状況を打開するために値上げ申請に踏みきった。

 ただ審査が長引いたため、各社は24年3月期の業績の見通しが示せず、「未定」としている。

 16年の全面自由化で参入した新電力会社も、今回の規制料金の値上げに同調する動きが増えるとみられる。

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この記事を書いた人
岩沢志気
経済部|消費・流通担当キャップ
専門・関心分野
食、エンタメ、流通、エネルギー