なぜHSPの人は搾取されるのか 「生きづらさ」を利用する人たち

有料記事アピタル編集長インタビュー

聞き手・岡崎明子
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 不安定な天候に新たな環境。自律神経が乱れやすい春は、HSP(Highly Sensitive Person)傾向がある人にとってはつらい季節とも言われる。生まれつき感受性が強く、心が傷つきやすいとされるHSPは、生きづらさを説明する言葉として急速に広まった。だが創価大学専任講師で心理学者の飯村周平さんは、当事者をターゲットとした搾取ビジネスも広がっていると指摘する。著書「HSPブームの功罪を問う」を出版した飯村さんに聞いた。

 ――「5人に1人がHSP」と説明されることが多いですが?

 「HSPという言葉を知ったおかげで『救われた』『生きづらい理由が腑(ふ)に落ちた』という方はたくさんいらっしゃいます」

 「ただ、HSPは専門的には感覚処理感受性という特性で、生まれ持った気質です。感受性の強弱は正規分布していますが、『上位20%がHSP』といった学術的な基準はありません。だから『HSPの人』『そうでない人』と明確な基準でもって分けることはできないのに、本来の意味から離れ、ポップにこの言葉が広がっています」

 ――「HSPなのに刺激を求めるHSS型」など、四つにタイプ分けする自己診断テストもよく見かけます。

 「4タイプ診断は出典もよくわからないし、少なくとも研究報告はないですね。血液型による性格診断のように、占いの一種として楽しむ分には害はないと思いますが……」

「繊細で生きづらいけど共感を持って反応できる」にある「呪い」と「祝福」

 ――怪しげなビジネスも横行しているのですか。

 「たとえば科学的根拠のない治療で高額な金をとるクリニックや、専門性が疑わしい資格ビジネス、カルト団体の参入などです」

 「一番広がっているのが、精…

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この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|セグメント編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方
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    岡崎明子
    (朝日新聞デジタル企画報道部編集長)
    2023年4月8日10時0分 投稿
    【提案】

    自分が「HSPでは」と感じている人は、結構多いのではないでしょうか。かく言う私も、その一人でした。でも、飯村周平さんの著書「HSPブームの功罪を問う」の中にあった「日本語版HSP尺度」でチェックしてみると、ややHSPの傾向はあるもののほぼ平

    …続きを読む