「異次元の少子化対策」をうたう政府だが、具体的な方策は一向に見えてこない。少子高齢化が叫ばれて数十年も経つのに、同じ場所で足踏みをしているかのような日本。少子化の理由は30年前にあった、と指摘する独身研究家でコラムニストの荒川和久さんに話を聞いた。
――少子化の最大の原因はなんですか。
「少子化などという問題は存在しません。あるのは『少母化』という問題です。1980年代と比較しても、今の母親が産む子どもの数の割合は変わっていない。出生率が減っているのは未婚率が増えたからであり、出生数が減っているのは子どもを産む世代である15~49歳の女性の絶対人口が減っているからです。まず、こうしたファクトを認識しないと、すべて的外れになります」
「では、なぜ女性の人口が減ったのかというと、本来90年代に来るはずだった『第3次ベビーブーム』が来なかったからです。なぜ来なかったのかというと、婚姻数が減ったから。なぜ婚姻数が減ったのかといえば、90年代から2000年代にかけて何が起きたかを振り返ればわかります。その頃、バブル崩壊と若者の就職氷河期がありました。『失われた30年』とは若者の結婚が失われた時代でもあるのです」
「婚姻数が減っている理由について『若者の草食化』を挙げる識者がいますが、これも的外れです。そもそも80年代までの日本の『皆婚』を支えていたのは、お見合いと職場結婚という『結婚のお膳立て』でした。職場結婚はお見合いの代替機能を果たしていた。昔は上司がお膳立てをして結婚を勧めることが多く、これは部下の結婚式で媒酌人をすることが上司の誉れとされていた時代だったからです」
あらかわ・かずひさ 広告会社を経て「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など著書多数。
――お膳立て婚が減ったこと…
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら