かつて「自民党のプリンス」と呼ばれ、逮捕を経験しても当選14回を誇る「無敗の男」。立憲民主党の中村喜四郎衆院議員(72)が、次期衆院選に向けて全国を奔走している。立憲の若手議員を引き連れ、アポ無しで自民党に近い団体にも乗り込んでいく姿はまるで水戸黄門のようだ。全国行脚で「喜四郎流」選挙手法や心構えを伝授する、その思いとは――。
横浜市長選 自民側団体をアポなし訪問
22日投開票の横浜市長選で、野党系候補の山中竹春氏(48)の当選確実が報じられた。中村氏は朝日新聞の取材に「菅義偉首相は市長選にめいっぱい介入した。一地方選では終わらない。流れをたぐり寄せることはできている」と語った。
7月29日、中村氏は、その「流れ」をたぐり寄せるべく横浜市内にいた。自民に近い約30もの団体を回っていた。
「45年前に衆院議員に当選し、1期先輩は小泉純一郎さん、2期先輩は小此木(八郎)さんのお父さん。一緒に閣僚をしたことも……」
神奈川県を地盤とした自民党政治家との縁を強調するあいさつを繰り返した。
そばには、立憲で地元選出の若手議員、青柳陽一郎、中谷一馬両氏がいた。アポはない。
「こういうときは団体の管理職や事務局長に応対してもらうんだ」
そう指南した中村氏に、若手2人は「勉強になります」と大きくうなずく。
「市長選の関係で、県外から中村喜四郎先生がごあいさつにまいりました」
支援団体ではなく反対陣営の支援団体をまわる狙いは何だったのしょうか?そこには、単なる「自民切り崩し」にはとどまらない、高度な心理戦を勝ち抜く知恵がありました。若手を引き連れて行脚する中村喜四郎氏の思いを含め、記事後半に。
青柳氏が受付の職員に声をかける。すっと中村氏が前に出る。
「あの男性と話をしたいんだ…
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