タイの死刑囚ミイラ、展示やめ火葬 「侮辱だ」批判受け

ノンタブリ=乗京真知
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 タイの首都バンコクの博物館で長く一般公開されていた男性死刑囚のミイラ化した遺体が23日、火葬された。多くの観光客を呼ぶ展示だったが、国内で「遺体を見せ物にしている」との批判が高まっていた。

 タイ法務省によると、火葬されたのは、児童ら数人を殺害した罪で1959年に死刑が執行された死刑囚(通称シーウィー)の遺体。防腐処理を施され、バンコクの病院付属の博物館にある陳列棚に、直立した状態で入れられていた。

 遺体は23日、バンコクの北隣、ノンタブリ県の寺に運ばれ、読経後に火葬された。死刑囚の出身地から追悼に来た主婦ワナパーさん(68)は「どうか安らかに」とひつぎに手をあてた。遺骨は寺で預かる予定だという。

 展示の目的について、博物館は医学生の研究や見学者の教育のためだと説明し、児童生徒の社会科見学を積極的に受け入れてきた。展示はガイドブックでも紹介され、日本から多くの観光客が訪れていた。

 一方、地元では「死刑囚は人肉を食べていた」「悪さをするとシーウィーが来る」との俗説が広がり、たびたび物議を醸してきた。死刑囚の出身地から「死者に対する侮辱だ」との声が上がり、近年はネットでも批判が拡大していた。博物館が昨年展示を取りやめ、法務省が火葬を決めた。

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